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#39

「お久しぶりですね」


 光が収まると、そこにはアリス、原田、本田、そして、アリシアが立っていた。アリシアは挨拶をすると、笑みを浮かべている。


「アリシアさんも来たんですか?これは計算外ですね。まさか、手を貸してくれるんですか?」

「いいえ。私は手を出すわけにはいきませんから。皆さんの引率ですよ」


 黒田の問いに、アリシアが笑顔で答えた。彼女の水色の髪が潮風で靡いている。天使であるアリシアは、直接、干渉する事はできないルールらしい。俺達をこの世界へ送り込んだ大天使も同様だ。


「それは残念。でも、前もそうでしたし、仕方ありませんね」


 黒田が肩を竦めた。どうやら、黒田達も召喚された時にアリシアに会っているようだ。


「それで、その子達が北の勇者だね。そっちのツインテールの子が真祖で間違いないかな?」


 黒田が、アリシアの連れて来たメンバーへ順に目を向けていき、最後にアリスを見た。


「あなたが先輩の先輩ですね。大体のお話はアリシアさんから聞いてます」


 アリスが黒田の方を見て答える。

 アリスは、ある一件から俺の事を先輩と呼ぶ。黒田が先代の勇者だから、『先輩の先輩』なのだろう。


「さて、役者は揃ったね。君達に何か策はあるのかい?」


 黒田が俺達の方を見て、言い放つ。


「策も何も、この船を吹っ飛ばせばいいんだろう?」

「できるのかい?僕らでも封印が精一杯だったのに」


 俺の言葉に、黒田が不審そうな表情になった。


「勇者としてなら無理だな。でも、俺個人としてならできる」

「どういう意味だ?」

「そのままの意味だ。俺には大天使から使うなと言われた力がある。そのせいで勇者としての加護を貰えなかったような力が。今までは上手く使えなかったが、この世界のマナにも馴染んだ今なら使える」


 短くなったドライシガーを甲板に投げ捨て、右の掌を握ったり開いたりするジェスチャーを見せる。黒田の顔が若干引きつっている様だ。


「その力を使うのは、あまり……。天使の立場としては、賛成できません」

「アリシア、悪いが今回は使わせてもらう。仲間を人柱にされるわけにはいかないからな」


 声をかけてきたアリシアの方へ振り向き、微笑む。


「先輩、あの力はみんなには見せないんじゃなかったんですか?」


 今度は、心配そうにアリスが駆け寄ってきた。


「そう思ってたけど、この際、仕方ないさ」


 そう返して、アリスの頭の撫でる。


「本当に、できると言うのか……?」

「お前らと一緒にするな。こんな船、消し飛ばしてやる」


 半分放心した様な黒田に向かって言い放った。それから、明智達の方へ向き直り、謝罪する。


「悪いな、みんな。俺、中身は人間じゃないんだ」

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