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#3

「原田さんからメッセージが着たぞ!」


 翌朝、宿の食堂で一服していると、明智がスマホを手に階段を降りて来た。

 明智は朝食後に、二階の客室へ戻っていたからだ。


「原田さん、なんだって?」


 伊達がコーヒーを片手に訊く。

 この世界のコーヒーは苦味が強く、エスプレッソに近い。この国のものだけかもしれないが、あまり好きにはなれないので、俺はマグカップにお湯だけ貰って、自前のティーバッグを使って淹れた紅茶を飲んでいる。砂糖も自前だ。

 そして、あまり朝からちゃんとしたご飯を食べる習慣も無いので、この紅茶が朝食代わりでもある。


「それがさ、対策が無いらしいんだよ。七人岬が、パイレーツセブンと大体同じってのは分かったけど。岬頭っていう長を倒せば何とかできるって小説もあったそうだけど、それ以外には無いってさ」

「岬頭ってのは、俺も小説で読んだ事はあるよ。たしか、海の近くのホテルでの話だったかな」

「そうそう。ホテルになった洋館が七人岬の封じられてたところにある話」


 どうやら、原田が見付けた小説は、俺が読んだ事のある話と同じものの様だ。


「じゃあ、頭を潰す?」

「パイレーツってくらいだから、船長が居るかもしれないしね」


 伊達の提案は悪くはないが、過去に聞いた話では、それで終わるとは思えない。


「昔、俺が霊能力者の知り合いから聞いた話だと、七人岬の誰かを倒しただけで、七人岬に取り込まれるってのもあるんだよ…」


 伊達と真田に対して言った俺の一言に、全員が黙ってしまう。


「七人を同時に倒せば、呪いのロジック自体を破壊する事になるから、何とかなるんじゃないかとは思うんだけどね」

「そんな事できるんですか?」


 エミリーが当然の疑問を口にした。


「相手が悪霊や呪いの類いならね。パイレーツセブンは魔物って話だから、核でも使わないと厳しいかもね」

「かく、ですか…?」


 エミリーの顔にハテナマークが浮かぶ。


「俺達の世界のとある国では、それを使うと問題が解決する事になってるんだよ」

「スゴいですね!かくを使いましょう!」

「いや、ダメだろ。核なんて使ったら、パイレーツセブンは倒せても、何十年も生き物が住めない土地になっちゃうよ」


 俺の説明にテンションが上がるエミリーに、真田がツッコミを入れた。


「えぇ!?そんな恐ろしいものなんですね…」


 エミリーが涙目になる。

 もっとも、核なんて大天使が用意してくれるとも思えない。


「大規模な兵器を使わずに、七体の魔物を同時に倒すとなると、こっちも七人欲しいな」


 伊達がタバコに火を着けながら呟いた。


「今、何人?」


 俺の問いに、明智が指を六本立てる。


「あと一人足りないなぁ。南の神殿で何とかして貰うか」


 神官をもう一人貸して貰うか、冒険者か傭兵でも雇ってもらうしかないだろう。


「誰かこっちに喚べないの?原田さんとかアリスちゃんとか。本田君でもいいし」

「それは大天使次第だけど、難しいかもなぁ。一応、メッセージだけでもしておくか」


 南の神殿をあてにして、会った事も無い神官や傭兵を連れて行くよりも、真田の言うメンバーの誰かが喚べれば理想的だ。しかし、学生をこちらに喚ぶのは難しいだろう。俺達みたいに出張扱いにはできない。


「とりあえず、南の神殿に行こうぜ。それで話をしてみてから考えよう」


 伊達はそう言うと立ち上がって食堂の出口へと向かったので、俺達も続く。

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