#35
朝倉さんに案内されて甲板に着くと、そこには他の勇者も何人か居た。でも、その中には毛利さんの姿も、玲雄くんの姿も無い。
甲板に上がるまでは、何度か骸骨達に襲われた。でも、全て、朝倉さんの折り紙達が蹴散らしてくれたから、僕は瑠美ちゃんを連れて来る事ができたのだ。
「生き残ったのは、九人だけか……」
その場に居る人達を見回して、朝倉さんが呟いた。毛利さんも玲雄くんも、死んでしまったのだろうか……?そう思うと、また目頭が熱くなる。
「みんな、聞いてくれ……」
朝倉さんが、この場に居る全員を呼び集めた。何か話したい事があるみたいだ。これ以上、まだ何かあると言うのだろうか?僕も瑠美ちゃんも、精神的に限界に近い。できれば、何も聞きたくはないけど、仕方がないので朝倉さんの方を向く。
「戦ってみて分かったんだが、パイレーツセブンは、呪いそのものと言える存在だ。倒すには、これよりも大きな力で消し去るしかない」
呪いそのものなんて言われても、よく分からない。オバケとか妖怪みたいなものだろうか?
「そんな大きな力は、俺達全員の力を合わせても無理だろう。だが、封印する事はできる。生き残りが九人という事は、犠牲になったのは七人。パイレーツセブンの七人全員が、呪いによって勇者と入れ替わったという事だ。今なら、外側と内側、両方からの力で可能だ」
呪いで入れ替わった?朝倉さんは何を言っているんだろう?頭が理解する事を拒否しようとしている。
「死んだ仲間が入れ替わったって、どういう事だ?」
誰かが、僕と同じ疑問を朝倉さんに投げ掛けた。朝倉さんのパーティー以外の人は、困惑した表情で朝倉さんに視線を向けている。
「パイレーツセブンという呪いは、殺された者が殺した者と入れ替わる呪いなんだ。殺した者は、呪いから解放されるのか、消滅するのかは分からないが。七人の仲間が犠牲になったという事は、彼らがパイレーツセブンと呼ばれる魔物になっている。今は、俺の術で一時的に抑えているが、時間が経てば彼らが敵として襲ってくる……」
朝倉さんは、辛そうに目を伏せた。彼の言う通りなら、玲雄くんや毛利さんと戦わなければいけなくなるという事なんだろうか?
「嘘よ!玲雄が魔物になんて!」
瑠美ちゃんが、涙声で怒鳴った。僕も同じ気持ちだけど、朝倉さんが嘘を吐いてる様にも思えない。
「残念だけど、嘘じゃない。俺達も仲間を一人殺られて、その仲間が敵として襲ってきたから分かったんだ」
その言葉を聞いて、全員が押し黙る。朝倉さんも仲間を失っているのだ。瑠美ちゃんも無言で俯いている。
「犠牲になった彼らを救うためにも、この呪いを封印したいと思う。でも、そのためには命を懸けなければならない。命懸けの封印に参加するか、海に飛び込んで逃げるか、各自決めてくれ」




