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#29

「なるほどね……」


 明智の話を聞き終えて、真田が難しい顔をした。お互いのこれまでの情報交換をしたところだ。まず、俺達が話し、それから明智の話を聞いた。


「入り口から下も何も無かったわけでしょ?この船、何で俺達を呼び込んだんだろう?」


 伊達が新しいタバコに火を着けながら、首を傾げる。

 明智の話では、最下層と思われる場所まで探索しても何も見付からなかったそうだ。船自体が魔力体なので、船内は魔力に満ちていて、ミナも奴等の気配を探れなかったらしい。


「いっそ、船を吹き飛ばすか?」


 握り拳を開くジェスチャーをしながら、提案してみる。


「いいねぇ、それ!やっちゃうか!」

「どうやってだよ?」


 俺の提案に盛り上がる明智に、伊達のツッコミが入った。伊達は呆れ顔だ。


「そりゃ、お前、プラスチック爆弾とか仕掛けてやればいいじゃない?」


 伊達にツッコまれたにも関わらず、明智が嬉々として語る。


「プラスチック爆弾じゃ吹き飛ばないよ。魔力体に物理的な攻撃は効かない」


 突然、操舵輪のある方から男の声がした。俺達は一斉に、そちらへ視線を向ける。もちろん、銃も向けるのを忘れない。


「この世界にはそぐわない武器を持っているね」


 喋りながら歩いて来る男は、黒いセルフレームの眼鏡、ワイシャツに毛糸で編まれた薄手のベスト、スラックスを身に付けていた。この世界の服装ではない。明らかに俺達の世界の服装だ。


「お前、何者だ?」


 ベレッタの銃口を男へ向けたまま尋ねる。


「私は、君達の先輩、かな」

「先輩だと?」


 外見的には三十代後半から四十代といったところだから、年上なのは間違いないだろう。しかし、異世界で学校の先輩に会うとは思えない。


「そうだよ。君達も、この世界に召喚された勇者なんだろ?私も召喚されたんだよ。二十五年前にね」


 男は眼鏡の位置を直しながら、そう言って微笑む。


「マジか……」


 男の言葉に、真田が驚愕の表情を浮かべた。言葉には出さないが、他のメンバーも驚いている様だ。俺だって驚いた。


「大先輩が、どうしてこんなところに?」


 伊達が拳銃を下ろして、男に尋ねる。義理を重んじる男だから、先輩に銃口を向けるのはマズイと思ったのだろう。俺は、そのまま銃口を向けているが。


「この船を封印していたのは、私の仲間だからだよ」

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