#27
「ここは食堂か?」
階段を昇り、一つ上の階へと進んだ俺達は、そのフロアを探索していた。その途中で見付けたのが、木製のテーブルとイスの並んでいて他より大きめのこの部屋だ。
「そうみたいだね。テーブルには料理が並んでるし」
真田の言う様に、テーブルには料理が並んでいた。木製の器に盛られたシチューみたいなものや焼いた魚等だ。料理からは、まだ湯気が上がっていて、食欲をそそる良い匂いもする。
「歓迎されてるのかな?」
伊達がニヤリと笑いながら、タバコを携帯灰皿で揉み消した。
「仮にそうだとしても、ここにある料理は食べない方がいい。イザナギとイザナミの話だったかな?何かの昔話で、黄泉の国の食べ物を食べてしまったから、自分は帰れないみたいな台詞があったんだよ」
「それで?」
真田に促され、話を続ける。
「生者が死者の食べ物を食べると、現世に帰れなくなるって話。あの料理を食べて、この船から出られなくなっても嫌だろ?」
「なるほどね。まぁ、あんな怪しいもの食べないけどね。毒とか入ってるかもしれないし」
「たしかに食べる気にはならないね。せっかくのおもてなしだとしても」
真田と伊達は苦笑いして、空いているイスに腰かけた。
「でも、若干、お腹は空いたよね……」
真田はテーブルに肘を突いて頬を乗せると、溜め息を吐いた。小腹が空いたところに、料理の良い匂いがしたんだから堪らないのだろう。
「じゃあ、何か食べる?」
「この料理を食べるのですか!?」
「まさか……」
驚愕の声をあげたアレックスにチラリと視線を向けてから、スマホを取り出してアイテム一覧を確認した。前回の冒険の時に食べ切らなかった食糧が残っている。
「ご馳走は無いし、ここのシェフにも負けるが、とりあえず食べても安全なものだ」
空いているテーブルに、パン、ハム、インスタントのスープを並べた。アイテム一覧に収納されている間は傷まないので、賞味期限等は問題無い。食器もアイテム一覧から取り出したものだ。
「いただきます」
伊達が、スープの入ったカップを手に取る。
「これが勇者様の世界の食べ物……!」
アレックスはパンとスープを持って、涙を流していた。俺達の世界の食べ物としては、かなりお粗末な方なので、それで感動して欲しくは無いのだが。
「いやぁ、助かるよ」
真田はパンをかじりながら、笑顔になっている。空腹もあったのだろうが、一息つきたかったのだと思う。
「敵の本拠地で、よくご飯なんて食べる気になるわね……」
シーナは、呆れ顔で溜め息を吐いていた。まぁ、それが普通の反応だろう。
「腹が減っては戦はできぬって言うだろう?」
「何よ、それ……?」
「俺達の故郷の言葉だよ」
シーナにそれだけ言ってから、パンにハムを挟んで食べる。生パンのままだが、スープにつけて食べれば悪くは無い。
「食べ物の匂いにつられて、明智が来たりしないかな?」
「いくら明智でも、さすがにそれは無いだろ。船は広いし」
真田の冗談に、伊達が笑いながら応えていた。




