#21
「銀の弾は効果あるみたいだね」
最初にサナダさんに撃たれた奴は、左手の肩から先が無くなっていた。
「でも、同じ世界から来た勇者と戦うってのは、なんか抵抗あるかなぁ」
パイレーツセブンは、サナダさん達と似たようなデザインの服を着ているから、召喚された勇者様の可能性が高い。殺されて、取り込まれたんだろう。
「もう魔物になっているんだから、情けはかけない方がいいわよ!」
シーナさんの言う事は正しい。ヴァンパイアの時もそうだけど、魔物になってしまった者に情けをかけてはいけない。もう人間ではないのだから。
「えいっ!」
シーナさんのナイフで刺された奴に向かって、浄化の魔法を放つ。
「ぐおぉ!」
魔法を喰らった奴が、煙を上げて苦しみ出した。
「あぶねぇ!」
ロッキーさんが僕の前に飛び出して、バトルアックスを数回振るう。サナダさんに撃たれた奴が、僕に向かってナイフを投げつけてきたのだ。
「ありがとうございます」
「いいって事よ。それより、急にどうしたんだ、あいつら…?」
ナイフを投げつけられて僕の魔法が途切れた隙に、魔法で弱っていた二体が僕らから離れ、そのまま三体とも逃走を始めた。さっきまでとは様子が違う。
「灯台の方へ向かったみたいね」
シーナさんが呟く。
「灯台の方で何かあったのかな。とりあえず、戻ろう」
「そうね」
サナダさんの提案にシーナさんが頷いた。
「わりぃ、俺はちょっと休んでいくわ…」
ロッキーさんはそう言うと、僕らに背を向けたまま座り込む。
「お前、何言って…!?」
ロッキーさんに声をかけながら近付いたサナダさんの言葉が、途切れた。僕もロッキーさんの前に回り込む。
「そんな!」
ロッキーさんの右脇腹辺りが血で染まっていた。傷口を押さえている右手の指の隙間からも血が垂れている。
「僕を庇った時ですね…。すみません…」
飛んできたナイフから僕を守ってくれた時に、受けたケガに違いない。
急いで傷口に回復魔法をかける。
「気にすんなよ。それが仕事だ」
ロッキーさんが力無く笑った。大量に出血しているせいで、顔色が悪い。
「投げナイフくらいで、こんなに出血するかしら?それに、血が全然止まらない…」
傷口に布をあてて、手当てをしているシーナさんの焦る声が聞こえる。
回復魔法の魔力も、呪いに弾かれているみたいだ。
「それなら…」
回復魔法を、瀕死の相手に使うものへと切り替えた。




