#20
「普通に考えれば、俺達の様に召喚された勇者だよね」
伊達の言うのがもっともだ。この世界で俺達の世界の衣服を纏っているという事は、その可能性が一番高い。パイレーツセブンを倒すために召喚され、返り討ちにあったか、呪いに巻き込まれたのだろう。
「どうします?奴等の対処法は不明のままですぞ」
「死なない程度に痛めつけて、捕獲するのが一番だろうけど…」
アレックスの問いに、伊達が渋い顔で答えた。
「たしか、一体を倒したら、倒した奴を全員で狙ってくるって説もあったよな。それなら考えがある」
「おおっ!」
「どんな?」
俺の言葉にアレックスは感嘆するが、伊達が訝しげに訊いてくる。
「簡単だよ。試しに一体倒してみるだけ」
「なんですと!?」
「何考えてんだよ!危険だろ!」
「大丈夫。俺には呪いの類いは効きづらいし、上手くいけば他の奴等も俺を狙ってくるだろうから、捕まえなくても一ヵ所に集められる」
呪い等の霊的な攻撃は、かなり強力なものでないと俺には効かない。なので、倒しても取り込まれる可能性は低いだろう。
悪霊の様にアストラル系の存在を弱らせて捕まえるとなると、拘束系の術が必要になるが、今のところ俺には使えない。それよりは一体倒して自分をターゲットにさせた方が手っ取り早い。
「待てよ!そんな簡単に…!」
「危険過ぎます!」
「大丈夫だって。フォローよろしく!」
二人の制止する声を背に、刀を握って駆け出した。
「師曰く、『別に倒してしまっても構わんのだろう?』ってね」
三人の男達のうち、真ん中に立っているジャケットの男に向かって袈裟斬りに斬りつける。しかし、男は後ろに飛び退いて避けると、どこから取り出したのか右手に短刀を構えた。
他の二人の男達も、短刀を取り出し、スタジャンの男が斬りかかって来る。
「何やってんだ!」
伊達のワイヤーが、スタジャンの男を絡め取った。男の魔力と反応してるのか、電気を帯びているかの様に輝く。
「サンキュー」
スタジャンの男と反対側に居る革のライダースの上下を纏った男に、横薙ぎの一撃を喰らわせると、胴を裂いた斬撃の傷口辺りに金色の粒子が舞い、白い煙が上がった。男は空いている左手で傷口を押さえて、膝を地面につく。
ジャケットの男へ目をやると、短刀を振り上げて、こちらへ飛びかかろうとしていたので、カウンター気味に刃を平らに寝かせた突きを入れる。刃は首を貫いたので、そのまま刃の向いている右へ薙ぐと、首が大きく斬り裂かれた。
「じゃ、安らかに眠れ」
刀を上段に構え、一気に霊力を流し込む。すると、刀身が光を纏って長さと太さを増し、光の剣に変化した。それをジャケットの男へ向かって降り下ろす。光の刃は男を直撃し、刀身から放たれた光は一直線に十メートル以上進み、地面を裂いた。光の進路上にあった木が燃え上がる。
巨大な光の刃で真っ二つにされた男は、その身を光の粒子へと変えて、消滅した。
「さて、あと二人」
腹を斬られたライダースの男は、傷口を押さえながら後退して行くのが見えた。
伊達のワイヤーに拘束されている男は、逃げ出そうともがいている。
「セイ!」
俺の背後から勢い良く走ってきたアレックスが、正拳突きを放ち、拘束されている男の胸をぶち抜いた。男の身体は光の粒子になり、崩れていく。
「なにやってんだよ…」
「タケダ殿にだけ危険を押しつけるわけにはいきませんからな」
アレックスが振り向き、ニヤリと笑った。




