#1
「パイレーツセブン?」
南の神殿に到着した俺達は、応接間で今回の件の説明を受けていた。
南の神殿のある港町から、海沿いに西へ進んだ隣街にある封印の祠が、何者かによって破壊されたらしい。
その祠に封じられていたのが、パイレーツセブンという魔物だ。
「パイレーツセブンは恐ろしい魔物で、彼らに殺された犠牲者は、自分を殺した奴と入れ替わりに新たなパイレーツセブンとなってしまうのです。その代わり、誰かを殺した者の魂は解放されるのですが」
今、魔物の説明をしてくれているのは、南の神殿に仕える神官のミナ。
外見的には二十代半ば、ショートカットのスレンダーで聡明そうな女性だ。
この件の担当らしい。
「じゃあ、呪いみたいにループするわけね…」
真田がアメリカンスピリッツに火を着けながら、渋い顔をしている。
「はい。しかも、一体倒しても、他の奴等が襲ってきて、欠員を補充しようとします」
「なんか、七人岬みたいだな…」
「七人岬、ですか?」
俺の発言に、ミナの顔にはハテナマークが浮かんだ。
「俺達の世界に伝わる怪談だよ。それと、そっくりなんだ…」
簡単に説明しながら、長くなってきていたドライシガーの灰を灰皿の縁で折る様に落とす。
「言われてみれば、そうだなぁ」
明智は得心がいった様で、煙管を灰皿に軽く叩き付けて、灰を落とす動作をしながら頷いた。
「じゃあ、その七人岬と同じ方法で倒せるんじゃないの?」
伊達が新しいラッキーストライクのパッケージを開けながら、提案する。
「七人岬は幽霊とか呪いの類いだからなぁ…。でも、ヒントにはなるかも。明智、原田さんと連絡取れる?」
「取れるよ。どうした?」
「こっちじゃネットを使えないから、原田さんに頼んで七人岬について調べてもらってくれないか?」
「分かった」
明智はスマホを取り出した。早速、原田に連絡を取ってくれるようだ。
「とりあえず、その祠がある街へ行ってみる?」
「そうだね。現地に行けば何か分かるかもしれないし」
伊達はタバコに火を着けながら、真田に答える。
「今日はもう日も暮れますし、皆さん長旅で疲れてるでしょうから、明日、ご案内しますね」
ミナのその言葉で、話し合いはお開きとなった。
「ご飯、何食べます?僕、海のある街って初めてなんで、楽しみです!」
神殿を出た途端、エミリーが口を開く。
「やっぱり、新鮮な海の幸かねぇ」
食にはこだわりがある伊達らしい。
「前は肉ばっかだったから、こっちの魚はどんななのか楽しみだよ」
明智の言う通り、前の旅では魚は食べなかった。俺達の世界の様に、冷蔵技術が発達しているわけではない。魔法で冷凍して輸送するにはコストがかかり、王侯貴族でも無ければ不可能だ。
「ミナさんに美味い店、聞いてくるわ」
伊達が神殿へと戻って行く。
「楽しみですね!」
「そうだね」
エミリーと真田が、伊達を見送っている。
「美味しいお店の情報は伊達に任せるとして、俺達はパイレーツセブンの対策でも考えますか」
俺は、皆に向かってそう言ってから、シガリロを取り出して火を着けた。




