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#10

「収穫は無かったなぁ…」


 ロッキーはそう呟くと、テーブルの上に乗せていた足を組み替えた。

 俺達の組は、街の商店等で聞き込みをしてみたのだが、目ぼしい情報は集まらなかった。神官であるアレックスに対しては、街の人間の応対は良かったので、メンバーが悪かった訳では無さそうだ。

 それで仕方なく、他の組よりも一足早く、酒場へと来ていた。


「何度も言うが、テーブルに足を乗せるでない」


 カウンターでバーテンと話していたアレックスが、俺達の座るテーブルへと戻って来た。


「へいへい」


 ロッキーは二つ返事で足を下ろす。


「タケダ殿も注意してください。放置しては、いつまで経っても直りませんぞ」

「いや、俺は雇用主じゃないしね」


 すでに短くなっていたドライシガーを灰皿に捨て、ポケットから新しいものを取り出した。


「タケダ殿は勇者様ですから、こやつの雇用主たる我らの上官ではないですか」

「いや、俺、勇者じゃないし。勇者は、明智だよ。俺達はお供の犬猿雉ってとこだよ」


 新しいドライシガーに火を着け、木製のイスの背もたれに寄りかかる。


「何だ、それ?お前ら、獣人なのか?」

「そういう意味じゃないよ。俺の国に伝わる、とある勇者の伝説だよ。勇者は、犬と猿と雉をお供に連れて、オーガを倒すのさ」

「お前の国の勇者は、ビーストテイマーなんだな」


 ロッキーの納得した内容は、当たらずとも遠からずというところだろう。


「タケダ殿は、お供ではなく勇者なのですよ。勇者は、四人一組のパーティーで召喚されるものと決まっています。東の神殿での最初の召喚の時に明智殿だけが召喚されたのは、何か手違いでもあったのでしょう」


 アレックスがそれを知っているという事は、勇者の情報は各神殿で共有されているという事だ。各神殿は対立しているわけではないし、当然と言えば当然だ。


「お待たせ~」


 ミナを連れて、明智が俺達のテーブルに近付いて来た。


「真田達は、まだ来てないのか?」

「あぁ」


 俺の返事を聞いた明智とミナは、席に着いて飲み物を注文している。


「真田達が来るまで、呑みながら待つかぁ」


 明智は懐から煙管を取り出すと、刻み煙草を詰め始めた。

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