プロローグ
死んだはずの友人が、勇者として異世界へ召喚されていると聞かされた俺達は、友人を連れ戻すために後を追った。
勇者の使命を果たした俺達『ロクデナシ』は、全員揃って元の世界に帰還する事ができたのだが、再び、勇者パーティーとして異世界に召喚されてしまう。
「南の方は海があるんだろう?今度の敵は大蛸か何かか?」
この男は、明智聡。素手でコンクリートブロックを叩き割り、常に煙管を離さない、俺達のリーダーだ。格闘技をやっていそうな見た目通りに空手の心得がある。主に使用する武器は銃火器とグルカナイフ、日本刀。
俺達が乗っている黒い大型のバンは、彼の所有物で、運転も彼がする事が多い。今もそうだ。
「ダイオウイカとかね」
助手席に座っている彼は、真田一郎。元の世界ではデザイナーをやっていて、戦闘が得意なタイプではない。しかし、この世界に来るにあたって、拳銃の腕前と銃剣を使った格闘術を手に入れている。シルバーメタリックの大口径リボルバーが、メインアームだ。
「そんなのどうやって倒すんだよ?」
俺の隣に座り、呆れ顔で呟いたのが、伊達昴流。彼も戦闘は得意な方では無かったが、拳銃とワイヤーを武器に戦えるようになっている。愛銃はワルサーPPK。ヴァンパイア相手には、銀製の弾頭を使用していたので問題は無かった。けっこうなヘビースモーカーで、いつもラッキーストライクをくわえている。
「そりゃ、魔法でしょ。というわけで、よろしく」
そして、俺は、武田遊。武器は刀と銃。愛銃はシルバーのベレッタ92FS。あまり気は進まないが、魔力を使って戦う事もできる。異世界に来ても、葉巻と紅茶を切らさない。普段は、ドライシガーとシガリロを吸っている。今吸っているのも、お気に入りのビリガーエクスポート マデューロだ。
俺達の様に召喚された勇者は、冒険で貯まったポイントを物資に交換する事ができる。スマホの特殊なアプリを使って。
明智の車も、それで手に入れたものだ。
ちなみに、俺のポイントは、紅茶と葉巻と弾丸にほとんど消えている。
「ええ!?僕ですか!?僕は付き添いですよ!?」
最後尾の三列目に座っている、ショートカットの元気な女の子の名は、エミリー。東の神殿に仕える神官で、今回の旅の案内役だ。
前回の旅では、劣等生故に案内役を押し付けられたのだが、今回は立候補したらしい。
三十歳過ぎの男ばかりの車に、十七歳の女の子が一人乗っているというのは、元の世界では犯罪の匂いしかしない。
神殿は東西南北に計四つあり、それぞれが風、大地、火、水の天使を祀っている。
前回、俺達は東の神殿に召喚されているので、そこの勇者という身分だ。
今回は、南の神殿からの要請を東の神殿が受けて、この世界に再び喚ばれた。
詳しい事は南の神殿へ行かなければ分からないが、俺達が喚ばれたという事は何らかのモンスターの討伐依頼だろう。
そんなわけで、常識の通じないファンタジーの世界に、再び挑戦する事となった。




