◆プロローグ終了
ランニング中のランとビートが出会ったのは家を出て少したった頃だった。
「おはようラン。いつも頑張ってるね」
「うへへ……ありがとう」
ランは頬を赤らめ幸せそうに言う。
「あ、そうだ。ねぇ、ラン今度の土曜日空いてる?」
「……? 何かあったっけ」
「もし良かったら買い物に付き合って欲しいんだけど……いいかな?」
(ななななななな何言ってんだよう!? そ、そそそれってデデデデートじゃないか!?)
真っ赤に顔を染め頭の中で独り言を呟くランは完全にショートしていた。
「ラン、聞いてる?」
「聞いてる聞いてる! 行く行く絶対行く!」
「そう、ありがとう。詳しいことは学校で言うからね」
「ああ、じゃあ後でね」
「遅刻しちゃ駄目だよラン?」
「分かってるよーじゃねっ」
ランはビートに手を振りながらランニングへと戻って行った。
「僕も早く行かないとね」
ビートは呟くと足を踏み出す。照りつける太陽がビートの体全体を濡らして行く。耳をすませば小鳥の鳴き声が聞こえてきそうな朝の時間。
しばらくするとどこからか鐘の音が聞こえた。
「うわ! もうチャイム鳴ってる……」
ビートは立ち止まり一度広大な空を見上げる。そしてゆっくりと呟いた。
「……今日も楽しい一日でありますように」
※
「ん?なんかビートの声が聞こえたような気がすんなぁ、まぁ、きのせいだろ」
親友の少年は空を見た。
「はわわ、ビートとデートかぁ……えへへ……。それにしても今日はなんかありそうな気がするなあ」
また、少女も空を見る。
「ふぅ、流石に朝からケーキはキツいわね……。太るかしら?」
同様に青き空を見上げる。
「今日は久し振りにビートと外食でもしようかしらねぇ。いつも作ってもらってるしたまにはいいよね流石は私、天才、最高の姉ね」
誰もが明日を信じていた。
それぞれの時間が、始まりを告げた。
この無限の宇宙の一つの惑星で小さな、小さな人間達の命のままたきが今、始まる。