ランその1
「いやー朝の運動は心地よいな!」
一人の少女が大きく伸びをしながら言う。
一つの風が少女の髪をさらりと撫できらめく紅の髪を一際ひきたたせる。
この少女、名をランといい、朝のランニングが日課であった。ただ彼女には遅刻癖があるのが問題でありこの時間は後少しで学校のチャイムがなる頃であった。
「あら、ランちゃんじゃない。おはよー」
ランが汗を拭いている所に一人の女の子が声をかける。
「あ! マリー姉じゃん、おはよ!」
ランはマリーに駆け寄るととても楽しそうに言った。
「あのさ、あたし今度ビートとデート行くんだ!」
「あら、それは良かったわね。でもあの子鈍感だからランちゃんの気持ちには気づかないかもね~?」
顔を赤くしたランに向かって意地悪そうにマリーは言う。だがランは言い返す。
「でも今回のはビートから誘ってくれたんだよ? 嬉しいよ!」
「あらあら、でもいいのかしら? 早く学校に行かないと他の女の子にとられちゃうかもよ~?」
またもや意地悪そうに微笑みながら優しく言う。その言葉にランは驚きつつも頬を膨らませる。
「ふーん、いいもんあたしもう行くからね!」
「はいはい、行ってらっしゃい。私も遅刻は嫌だからね」
「じゃあまたねー!」
ランは大きく手を振りながら走る。冬の寒さでからりと乾いている落ち葉を踏みしめて学校へと向かって行った。
「ふふ……多分デートのつもりで誘ったんじゃないと思うけどね」
マリーが楽しそうに呟くとランと同じく学校へと向かって行った。町には少しずつ雪が降り始めていた。