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本編 ◇ビートその1

 少年が目を覚ました。

 起き上がり大きく伸びをすると部屋のカーテンを勢い良く開け、閉めている窓の鍵を外しガラリ、と窓を開ける。

 朝の日差しが等しく少年の部屋の中に入りこむ。勿論、少年の体にも暖かい日差しは当たっていた。

「うん、良い天気だ。けど、寒いな」

 体をぶるり、と振るわせると少年は部屋の端にある自分の机に向かう。そしてその机の引き出しを開けるとそのまだ大人の手とも言い難い手を入れると中から何かを取り出す。

「これが無いと落ち着かないよね」

 独り言を言い少年は手に取っている何かを見る。太陽の光を反射してきらり、と光る。赤い、と言うより鮮やかな紅の色をした宝石のような物にチェーンのようなものが穴を空けて付いている。

 それはペンダントだった。少年が今は亡き母から譲り受けた物。所謂形見であった。

 少年はそれを首にかけると部屋を出た。

 部屋を出ると真っ先に少年が向かったのは隣の部屋だった。

 少年は前に立つとコンコン、とその部屋のドアを叩く。その音に返事するかのように部屋の中に居る人物は言った。

「お姉ちゃんはまだ寝ていまーす」 

 溜め息をつくと少年はドアを開け中にいる人物に言う。

「マリー姉さん、毎朝飽きないね」

 マリーと呼ばれた女性はベットの上で一人でトランプをしていた。

「おお、我が弟ビートよ起きてしまうとは情けない。一緒にやる?」

「やらないから、休みの日しかしないって何時も言ってるでしょ。ほら、さっさと着替えて顔洗う」

「って、僕もか……ほらほら行くよ」

 二人は仲良く揃って洗面所に立つとじゃんけんをして先に洗うほうを決める。マリーがキョキを出して勝つとビートは首を傾げていった。

「なんで姉さんには勝てないんだろう? 毎日やってるのに一度もかてたことないな……」

「カイン君も言ってたけどやっぱり私って天才だからね! 思考読みなんて朝飯前よ」

 洗い終わると二人はそれぞれの部屋に戻り学校の制服に着替える。

「じゃあ僕もう行くねー。姉さんも遅刻しないように」

「それを言わないでよ」

 口をとがらせてビートに言うマリーを置いて先にビートは家を出る。

「もう少しだけトランプしてこっと」

 マリーは呑気にトランプを続けていた。


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