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◆魂の鼓動
どくん、どくん、と、それはゆっくりと鼓動を奏でる。
辺りは黒の絵の具で塗りつぶされたような一面。それはすなわち、暗闇を意味する。
彼と彼女が命の鼓動を立て、消え、そして、千年がたった。あれは最も人間らしいが。
「まるでアダムとイヴのようだ、それはまさしく我々の祖である、スタンと等しい」
暗闇の中で鼓動を続ける何かを真っ直ぐ見つめながら誰かが呟く。それは、波紋の波になり、暗い世界へと消える。
さっきとは違う、誰かが言った。
「それは違うだろう。貴様の言う、スタンは、人間ではないはず……。わかっているだろうに」
「……だからといって、我々にはどうすることも出来ない」
「千年前と同じにしていけないのだよ。だから、我々は輪廻を続けてきた」
辺りが明るくなり始めた。
「さぁ、また、始まるぞ。これで何回目だろうか」
「今度こそ頼むぞ、子供達よ」




