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第9話:暗躍する影


フォルケンの町は昼下がり、穏やかな陽射しに包まれていた。

だがその裏で、暗い影が静かに動いていた。

ライザルトの街――かつてライトを追放したバルク・グレイフォードが

冷たい瞳を光らせ、計画を練る。


「……あの少年が、町で活動しているとな」

机の上の書類を叩きつけ、地図を睨む。

「放置はできん……ギルド内の勢力争いを混乱させる前に、

手を打つ必要がある」


影の手下たちが動き出す。情報収集、待ち伏せ、監視――

バルクは静かに、しかし確実にライト抹殺の糸を絡めていく。

その動きはまだ町中には知られていない。


一方、フォルケンの森の奥では、ライトとアリスが新たな依頼に挑んでいた。

湿った空気、低い風の音、枝や石が足元で軋む。

「……ここで待ち伏せされている可能性もある」

アリスの声に、ライトはうなずき、体を自然に構える。


その瞬間、黒い影が飛び出す。複数の野獣――鋭い牙、爪、鎧のような甲殻。

Fランクの二人には到底危険すぎる相手だ。森の木々が揺れ、低い咆哮が

辺りに響く。


「ライト、気をつけて!」

アリスが前に出て、剣を振るう。

触れられそうな距離で、ライトはひらりと体をひねる。

攻撃はすべて空を切り、体は無傷。無自覚のスキルが自然に働く。


野獣たちが一斉に突進してくる。ライトは一歩後退、体が瞬時に

最適な距離を計算する。攻撃が迫るたび、回避行動が自然に決まる。

アリスもそれを見て、驚きと信頼を胸に戦う。


「……避けすぎ……!」

アリスの声に微笑みが生まれる間もなく、野獣の一撃が

アリスの剣に弾かれ、岩を破壊する。だが二人は無傷だ。


ライトは偶然に小石を蹴り、野獣の足元を滑らせる。

倒れた隙にアリスの剣が弱点を突く。咆哮とともに、最後の野獣が崩れ落ちた。

森に静寂が戻る。


だが安心はできない。遠くの影が二人を見つめる。

バルクの手下が森に潜み、次の機会を待っていた。

ライトはまだその危険に気づかない。無自覚のスキルが彼を守っているだけだ。


二人は息を整え、森の出口に向かう。

アリスが小さく笑う。「ライト、一緒にいると心強い」

ライトも無言で頷く。まだ力の正体を知らない。

だが、この無自覚の力が未来の大きな戦いの鍵となることを、

静かに示していた。


フォルケンの町に戻ると、メイラが迎える。

「無事でよかったわね。今日の活躍も、町で噂になるわ」

二人は微笑む。だが、町の平穏を脅かす影がすぐそこにあることは、

まだ知らない。


夕暮れの空に長く影が伸びる。

無自覚の奇跡を宿す少年と、友情を共有する少女――

その足跡が、やがて大きな物語を動かす。

そして、暗躍する影が、次の試練を静かに待ち構えていた。


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