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第8話:仲間の絆


森の奥、薄暗い空間に足を踏み入れたライト・エルヴァインと

アリス・ヴァレンティナ。前日の戦いから一夜明けても、森の空気は

冷たく湿っていた。足元の枝や小石が踏むたびに小さく軋む。


「……まだ先があるね」

アリスは剣を握り、慎重に歩を進める。まだ不安そうな表情だ。

ライトは無言で前方を見据え、松明を軽く振るう。

体が自然に最適な距離を保ち、攻撃の危険を察知している。


そのとき、洞窟の奥から低い唸り声が響く。

岩陰から巨大なゴブリンの群れが現れ、二人を取り囲む。

鋭い牙、爪、鈍器のような棍棒――Fランクの二人には危険すぎる相手だ。


「ライト、前に!」

アリスが勇気を振り絞り、先に剣を振るう。

ゴブリンの一撃は触れず、ライトはひらりとかわす。

体が無意識に攻撃を避け、偶然に二人の間に安全地帯を作った。


触手のようなゴブリンの棍棒が迫る。ライトはわずかに身をひねり、

攻撃を回避する。目の前でアリスが再び剣を振り、ゴブリンの

甲殻に小さな傷をつける。偶然のようで必然――ライトの動きが

戦局を有利に導いた。


「ライト、今の……本当に助かった!」

アリスの声に、自然と笑みがこぼれる。

二人の呼吸は少しずつ合い、連携が生まれる。

まだ互いに完全には理解していないが、信頼の芽は確かに育っていた。


ゴブリンの群れは次々と襲いかかるが、ライトは体を反応させ、

触れられる寸前でかわす。アリスはその隙に攻撃を集中させる。

数分間の戦闘は緊迫の連続だったが、やがて最後のゴブリンが倒れる。


息を切らす二人。森の静寂が戻り、湿った空気だけが漂う。

「……二人でやったんだね」

アリスは小さくうなずき、ライトを見上げる。

「……うん」

ライトも軽く返事をする。言葉少なだが、心は確かにつながっていた。


松明の光が揺れ、二人の影も揺れる。

無自覚の力がライトを守り、アリスの勇気が攻撃を支えた。

二人の共同戦闘は、友情の礎となる瞬間だった。


森の出口に差し掛かると、二人は肩で息をしながら立ち止まる。

アリスが微笑む。「ライト、一緒にいると心強いね」

ライトは少しだけ表情を柔らげ、頷く。

無言でも伝わる信頼が、二人の間に生まれていた。


その夜、フォルケン冒険者ギルドに戻ると、メイラが二人を迎える。

「無事でよかったわね。二人の活躍は噂になりそうだわ」

小さな微笑みに、二人は少し照れる。だが、その胸には

次の冒険への決意と希望が芽生えていた。


森での戦闘、危険を乗り越えた経験――

それが二人の絆を強め、冒険者としての成長を促す。

無自覚の力と勇気、そして友情。

この小さな勝利が、やがて大きな物語の一歩となるのだった。


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