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第6話:ギルドの噂


フォルケンの町は、昼過ぎの陽射しにもかかわらず

どこかざわめいていた。ライト・エルヴァインとアリス・ヴァレンティナの

ダンジョン帰還が、町中に少しずつ伝わっていたのだ。


「ねえ、聞いた? あの銀髪の少年、モンスターを一人で倒したんだって」

酒場や市場の冒険者たちの間で、話題が飛び交う。

信じられない表情の者、羨望の目を向ける者、様々だ。


冒険者ギルドでは、メイラ・サンフォードが書類整理の手を止め、

窓の外に目を向けていた。

「……あの子、ただ者じゃないわね」

明るい笑顔の奥に、興味と警戒が混ざる。ライトの存在が

ギルド職員の心にも影響を与えているのだ。


だが、平穏は長くは続かない。ライザルトの街では、かつて

ライトを追放したパーティリーダー、バルク・グレイフォードが

眉をひそめていた。

「……あの少年が、フォルケンで活躍している……」


机の上の書類を叩きつけ、冷たい瞳で地図を見つめる。

「放置はできん。ギルド内の勢力争いに、面倒な存在が加わることになる」

静かな口調に、陰謀の影が潜む。バルクは裏で暗躍し、

ライトを排除する計画を練り始めた。


その頃、フォルケン冒険者ギルドの掲示板には、新たな依頼が

張り出されていた。Fランクでも挑戦的なモンスター討伐依頼だ。

ライトは静かにそれを見つめる。胸に小さな決意が芽生える。


「……やるしかないな」

松明の光に照らされる顔は無表情だが、瞳の奥には光が宿る。

アリスも隣で小さくうなずいた。二人は依頼書を掲示板から外すと、

準備を整えて森の奥へと向かう。


外界では、冒険者たちの噂がさらに広がっていた。

「ライトって子、何か普通じゃないぞ」

「無傷で戦うなんて……噂以上の強さかもしれん」

静かに広がる噂は、やがて町全体を巻き込む動きとなる。


ギルドの中では、メイラが資料を片手に呟く。

「ライト、今日も依頼が届いてるわ。あなたなら大丈夫……」

笑顔の裏に心配と期待を含ませる。ライトはうなずくだけだ。

まだ力の正体を知らず、ただ前に進む意志だけを胸に抱いていた。


外では、遠くの森の影でバルクの手下が動き出す。

ライトの存在を監視し、情報を集める影。

小さな奇跡が町に広がるほど、陰謀の糸も静かに絡み始める。


フォルケンの町に吹く風は穏やかだが、その裏で

物語の歯車は確実に回り出している。

ライトの無自覚な力と、冒険者ギルドの噂、

そしてバルクの暗躍――すべてが、やがて交差する日を待っていた。


夕暮れの空に、町の屋根が影を落とす。

無自覚の力を秘めた少年の足跡が、静かに未来を刻み始めた。

まだ知らぬ大きな運命へ向かう、最初の一歩だった。


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