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第2話:ソロ冒険者の決意


フォルケンの町外れ、薄曇りの空が広がる。

ライト・エルヴァインは、冒険者ギルドを出て森の小道に立っていた。

胸に残る重さは、まだ消えない。仲間はいない。

頼れる者は、誰もいない。今日から自分ひとりで挑むのだ。


「……自分で、やるしかないか」

静かに呟き、拳を握りしめる。緊張で指先がわずかに震える。

だが恐怖で立ち止まるわけにはいかない。前に進むしかない。


森の中は薄暗く、枝葉が重なって光を遮る。

木々の間から、獣の低いうなり声が聞こえた。

生き物の気配が近づく。ライトの心臓は早鐘のように打つ。

だが、体は自然に最善の動きを選ぶ――無意識に。


「……大丈夫、きっと何とかなる」

そう自分に言い聞かせながら、一歩を踏み出す。

枝葉が顔に当たりそうになるが、ライトはひらりとかわす。

手も足も頭も、体が勝手に最適な動きを判断していた。


低くうなる声が近づく。目を凝らすと、小型の狼のような

モンスターが数体、茂みから飛び出してきた。

牙をむき、爪を振るい、空気を切る鋭い音が響く。


「くっ……!」

ライトは咄嗟に後ろに飛び退く――つもりだった。

だが、体は自然に攻撃を避ける。

触れられそうな距離でも、爪は空を切るだけだった。


モンスターが囲むように迫る。ライトは一瞬、冷静に状況を

見渡す。次にどこに動けば安全か、体が瞬時に判断する。

――本人は気づかない。だが、無意識の力が、彼を守っていた。


「……避けた……?」

小さな違和感が胸に生まれる。だが、考える暇もなく、

モンスターが牙を振り上げる。ライトはわずかにひねるだけで、

攻撃をかわす。雨粒のように、冷たい汗が額を伝う。


ライトは小石を蹴り、偶然にもモンスターの足元を滑らせる。

倒れた獣の隙間を抜け、森の奥へ進む。

無自覚ながら、戦いのリズムは完全に彼のものだ。


森は深く、道は入り組んでいる。足元の枝が絡まり、

苔むした岩が滑る。普通なら疲労で動きが鈍る場面だ。

だがライトの体は、自然に最善の動きを選び続ける。


森の奥で、一瞬の静寂。ライトは立ち止まり、呼吸を整える。

視界の隅に、茂みが微かに揺れる。獣の群れが追いかけてきていた。

だがライトは焦らない。体が危険を察知し、瞬時に安全地帯を

選んでいた。


――これが、ライト・エルヴァインの無自覚な才能の片鱗だった。

まだ本人は理解していない。だが、この力があるからこそ、

孤独な戦いを生き延びることができるのだ。


森の奥、木漏れ日が差す小さな空間にたどり着く。

息を切らすライトは、遠くに見える道標を目指す。

まだ先は長い。だが、進むしかない――自分の力を信じ、

無自覚のまま、前へ進むのだ。


森の静寂に、無自覚の奇跡が静かに落ちる。

この一歩が、後に大きな冒険の始まりとなる――

ライトの孤独な挑戦は、まだ序章に過ぎなかった。


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