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第10話:無敵の正体


フォルケンの町外れ、薄暗い森の中。

ライト・エルヴァインとアリス・ヴァレンティナは、最後の依頼である

洞窟奥の特殊モンスター討伐に挑んでいた。空気は重く湿り、

木々の間に低い風のうなりが響く。


「……ここが最後の場所か」

ライトは松明を握りしめる。瞳は鋭く、緊張に満ちている。

アリスも剣を構え、少し緊張した表情で隣に立つ。

二人の息は森の静寂に溶け、心拍だけが響いた。


突然、洞窟の奥から巨大なモンスターが飛び出した。

甲殻に覆われた体、鋭い牙、両腕の棍棒のような触手――

Fランクでは到底太刀打ちできない相手だ。地面が振動し、枝葉が飛び散る。


「ライト、気をつけて!」

アリスが前に出る。剣を振るうが、触手が襲いかかる。

ライトはひらりと身を翻す。攻撃はすべて空を切り、無傷。

体が自然に動き、攻撃を回避する――それが、スキルの作用だった。


「……なんで、俺……避けられるんだ……?」

初めて自覚する違和感。体が勝手に動いていた理由を、

ライトは理解し始めた。松明を振り、モンスターの動きを観察する。

触れられる寸前でも、体は最適な距離を保ち、攻撃を受けない。


モンスターの触手が連続で襲う。ライトは体をひねり、

ジャンプし、倒れた岩を利用して偶然のように攻撃を避ける。

アリスの剣が弱点を突く。咆哮とともに、モンスターが揺れ、崩れ落ちる。


「……これが、俺の力……」

体が勝手に危険を回避する――そう理解した瞬間、胸の奥に

小さな震えが走る。圧倒的な力を手にしていることを、

ライトは初めて実感した。


アリスは目を見開き、息を切らしながらも微笑む。

「ライト……本当に、すごい……」

二人の間に信頼と尊敬が静かに芽生える。

戦闘で培った絆が、友情として形を取り始めた瞬間だ。


森の奥に静寂が戻る。ライトは深呼吸し、拳を軽く握る。

まだ力を完全に制御できるわけではない。だが、この圧倒的な力を

理解したことで、未来の冒険への自信が生まれる。


遠く、フォルケンの町では、バルクの陰謀が静かに動き出していた。

ライトの存在を脅威と見なし、次の策を練る影。

だがライト自身は、まだその危険に気づかない。

無自覚の力と、新たな自覚が、彼を未来へと導くのだ。


森の出口に向かう二人。松明の火が揺れ、影が長く伸びる。

ライトは小さく笑みを浮かべ、静かに言う。

「……これから、もっと強くなる」

アリスもうなずく。友情と信頼、そして圧倒的な力。

無敵の正体を知った少年の冒険は、ここから新たな幕を開ける。


薄暗い森に、希望と奇跡の影が揺れる。

静かに、だが確実に――世界を変える力が目覚めたのだ。


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