ハエを見る夜、ほか
上等な巻きグソを用意する。
温める。
手段は問うまい。
ほかほかの巻きグソは薫るのだ。もちろん、いくつ用意したって構わない。
巻きグソを並べて炙ってやる。
次第に薫りが立ってくる。
ピンポーン
来客だ。
ガラガラガラ
<ブ〜ン(オジャマシッソヨ)
玄関を開けると2匹のハエが入ってきた。薫香に誘われ、はるばるコリアからやってきたのだ。
<よっこいしょういち
巻きグソに腰を下ろす2人。玄関からそうであったが、この息の合いようを見るに、おそらく彼らは夫婦なのであろう。微笑ましい限りである。
モリモリモリモリ
ガツガツガツガツ
夫婦揃って一心不乱にディナーを堪能している。その様はまるで狸に化かされた人間のように滑稽で、それでいてどこか可愛らしさを感じさせた。特にメスのほう。ヤバ。まって、超かわいいんだけど。えっかわいっ。可愛すぎん? ハァハァ。かわいい。ハァハァ。どんなパンツ履いてんのかな。気になるなぁ。気になるなぁ!
なぁ!!!
思い立ったが吉日である。
プルルルルルルルルルルルルル
「もちもち、こちらマサチューセッジアナ州立ハエセンターのキャサリンです」
「あの、」
「はい、なんでしょう?」
「どんなパンツ履いてるんですか?」
「パンツ?」
「パンツ」
「パンツ⋯⋯?」
「はい、パンツ」
「パンツ⋯⋯」
「え? もしかしてアメリカってパンツ無いんですか?」
「アメリカ?」
「えっ? アメリカってパンツってハエのパンツはハエじゃないですか?」
「トランポリン大統領ですよ」
「あー」
「ドゥーユーオーケイ?」
「ドゥーユーオーケイ!?!?!? 何言ってんの!?!?」
「おかしいな」
「ん?」
「天狗の死体がちっちゃいな」
「川柳!?」
「なわけ(ヾノ・∀・`)ナイナイ」
〜時は宇宙〜
メビウス⋯⋯
それはうどん、もしくは田中マー⋯⋯
だけどオイラ負けないよ。
駒だっ
駒たちが躍動する⋯⋯
(¦3[▓▓]..Zzz
(¦3[▓▓] ..zzZ
(¦3[▓▓].。oO(きのこたけのこ戦争の夢)
きのこの山
たけのこの里
そして⋯⋯
ぱいの家。
そう、ぱいの家の登場によってこの戦争は終結したのだ。この大きさを見れば力の差は歴然。デカいのだ。デカパイは圧倒的なのだ。
町を歩く。
この町も寂れたもんだ。30年前は商店街も全部開いてたし、人通りも多かった。そこをヤンキーの車が爆走して、ボウリングみたいに人をはねていって、楽しくなかったなぁ⋯⋯
あ、財布だ。いくら入ってんのかな。
中を見てみると、とてもエロいカードが入っていた。ブラックマジシャンガールのエロ画像で作ったオリカ(オリジナルカード)のようだ。
懐かしい⋯⋯
私がまだ小学生だった頃、「ぱんぞうとキサキモンやらせて」と言って親のパソコンを借りて、部屋を閉め切ってブラックマジシャンガールのエロ画像を見てたっけ。死にたい。
死にたいなぁ⋯⋯あ、6万入ってる。交番近くにあったかな⋯⋯
『おい水戸黄門』
誰だ、俺の名前を呼んでいるのは。
『ククク、オレはお前の中の悪魔さ。水戸黄門よ、その金を抜いて立ち去れ』
確かに、わざわざ交番に届けてやる義理もないか。そもそも落とし主が落としたのが悪いんだからな。
『ダメですよ、ちゃんと交番に届けて、警察官に渡して、書類を書いて、落とし主が現れるまでその場で待ちましょう』
その場で!? ていうかあなた誰!?
『え、誰って⋯⋯どう考えても天使やん。分かるやん流れで。もしかして:アホ』
本当に天使なのか⋯⋯?
『天使ですよ、ほら。この真っ白い翼を見てください』
ほんとだ。
『信じてくれたようですね』
でもシラサギとかも羽根白いですよね。
『鳥かどうかぐらいは見て分かれよ』
『6万抜こうぜ』
あ、悪魔もいるの忘れてた。
『ほら、コイツの黒い翼。私と対になっているでしょう? コイツが悪魔ならわたしは天使でしょう?』
天使って人のことコイツとか言うんだ。
『人じゃないからね。悪魔なんてコイツでいいのよ』
『ひどい言われようだ』
ははは、もう2人、くっついちゃえよ。
『そんな流れじゃなかったでしょ』
『オレたちの主人はだいぶ頭がおかしいようだな』
6万抜こうぜとか言ってたやつに言われたくないよ。とりあえずくっついてくれ。
『なんでそんなに?』
『オレたちがくっつくと何かいいことがあるのか? フライパンと同じで何もいいことないぞ? いいことないぞ〜ミスおにぎり』
フライパン?
『フライパン、くっつくやん』
うちのフライパン、くっつかないけど。
『そうなんだ』
とにかく早くくっついてよ。やりたいことあるから。
『なんなんだ。めんどくさいですね』
『まあ仕方ないし、やってみるか』
『くっつくってどうやるんです?』
『そりゃこうするに決まってんだろ』
『きゃあっ! 何するんですか! やめっ! やぁ! みゃあっ! にゃ〜ご。』
2人は複雑に絡み合い、やがてひとつの焼き魚になった。
天界のキャバ嬢「すご〜い、翼だけ残ってる〜」
ぺろーん。
骨ありません。かぶりつけます。最っ高。
いつも言ってるけど、ボラってめちゃくちゃ美味しいんですよ。刺身でも焼きでも、激ウマのウマ。なのに、「ボラって臭いんでしょ?」って人が多い。海のボラは美味しいから!!!!!!!!! 覚えといて!!!!!!!!!
プルルルルルルルル
電話だ。
「もしもし」
「もちもち、キャサリンです」
「キャサリン? 俺にそんなアメリカンな知り合いいませんけど⋯⋯」
「マサチューセックス州立イヌセンターのキャサリンと言えば分かるかしら?」
「ああ、イヌ⋯⋯」
「うん、イヌ」
「で、キャサリンセンターのイヌが俺になんの用なんです?」
『6万抜こうぜ』
『そうです。6万抜きましょう』
悪魔に侵食されてんじゃん。
「緊急事態なんです! どうかあなたの力を貸してください! あなたのチカラが必要なメェ〜〜〜〜〜〜〜(*´ω`*)」
「え? ヤギいます?」
「いません」
「いないんだ」
「で、力貸してくれますか?」
「いいですけど、ちゃんと借用書書いてくださいよ?」
「イヌ⋯⋯」
「イヌ?」
「自由帳でいいですか?」
「いいですけど、ちゃんと書いてくださいね」
「(ちっ、うっせーな)分かりました〜」
「で、何すればいいんですか?」
「巻きグソを用意してください」
「巻きグソを!?」
「用意してください」
「巻き!?」
「グソを用意してください」
「巻きグソを用意してくださ」
「い」
「何このゲーム」
「ふざけてないで巻きグソを用意してください」
「巻きグソを用意してくださいbotになっちゃった。でも、用意したところでどうするんです? マサチューセックス州なんて遠すぎて行けませんよ?」
「FAXで送ってください」
「正気か?」
「正気も何も、もう時間がないんです。あなたの巻きグソに賭けるしか、ないんです⋯⋯」
「でもFAXで送ったらペラッペラになっちゃいますよ?」
「乾燥させれば大丈夫かと」
「俺のうんちのこと、スルメか何かだと思ってます? 巻きグソは乾かしてもペラペラになりませんよ? ていうか時間ないんでしょ? 干してる余裕ないでしょ」
「じゃあどうすればいいんですか! こっちは今にも世界が滅びそうなのに! 私たち公務員は逃げる訳にはいかないんですからね!」
「そっちで世界が滅びそうならこっちもそうですよ」
「じゃあ、少しずつ送ってください。こっちで組み立てるので」
「うんちのデアゴスティーニ? 最初だけ安めにしとけばいいですか?」
「え、お金取るんですか?」
「タダ働きしろと?」
「ですから、今は巻きグソを貸してもらって、世界救ったら後日返しますので」
「巻きグソ返ってくんのかよ」
「借用書書けって言ってたじゃないですか」
「巻きグソ貸せって言われるなんて思ってなかったからな。じゃあなに? 借用書に巻きグソって書くつもりだったの? そういえば自由帳に書くって言ってたよね? 自由帳に巻きグソって書くのが公務員の仕事なんですか? ふざけるのも大概にしようね」
「ぐすん⋯⋯」
「えっ」
「うぅ⋯⋯しくしく⋯⋯そんな言わんでもええやん⋯⋯シクシク⋯⋯シコシコ⋯⋯つべこべ言わずうんこ出せや⋯⋯チクチク⋯⋯」
「しゃーねーな。分かったよ、うんこ出すよ。俺ァ女の涙には弱ェんだ」
「うぅぅ⋯⋯最初からそう言えよなめんどくせぇ奴ほんとめんどくさ⋯⋯しくしく⋯⋯カス⋯⋯」
『すげー悪態ついてんな』
『それより6万円抜きましょう』
天使が悪魔化してる。
「しくしく⋯⋯あ痛っ、目にまつ毛入った⋯⋯口に髪の毛入った⋯⋯鼻に鼻毛入った⋯⋯」
『鼻に鼻毛入ったって何だよ』
『鼻に6万円詰めて逃げましょう』
「しくしく⋯⋯痛⋯⋯耳にも髪の毛が⋯⋯」
『別に痛くはないだろ』
『耳屋さんで6 万円で家を買って乗って逃げましょう』
【一方その頃江戸では】
「誰じゃ城の壁に落書きをしたのは!」
徳川健太郎が激怒していた。
「なんじゃ『みやぞん』て! どういう意味じゃ! 城の壁をみやぞんで埋めるな!」
何者かによって残された大量の『みやぞん』の文字。
「ええい! 奴を呼べい!」
「はっ!」
程なくして馬に乗ってやって来たのは、徳川家の人間でもある江戸随一の名探偵・徳川ドラクエであった。
「ドラクエよ、ワシは悲しい。頑張って建てた城にみやぞんって書かれてマジで意味分からん」
「心中お察しいたします。それでは、すぐに街へ捜査に出掛けまする」
「おお、心強い! 頼んだぞ、ドラクエよ!」
「はっ!」
街へ出たドラクエはタイムマシンに乗り、西暦2135年へと飛んだ。
テレビをつけると、愛嬌のある笑顔の、リーゼントの男が映った。
「間違いない、この男がみやぞんだ」
ドラクエはみやぞんの特徴をおててにメモり、ヤマダ電機のパソコン売場でみやぞんを検索した。
「ふむふむ、お笑い芸人とな。今150歳なのか、ふむふむ⋯⋯」
「ということでございます将軍様」
「大儀であった! ところで、未来ではそのような落書きが当たり前なのか?」
「そのようです。帰りに2025年にも寄ったのですが、街中に『小島よしお』と書かれておりました」
「ほほう、興味深い⋯⋯」
「小島よしおについてもお調べしましょうか」
「いや、よい。あんまりタイムトラベルすると血とか出るし、よくない」
「お心遣い痛み入ります」
ドラクエは歩いた。
馬がどっかいったのだ。
【一方その頃令和7年11月25日では】
朝だ。
昨夜、布団の中で訳の分からない話を書いた記憶がある。
メモアプリを漁ってみたが、それらしきものはなかった。この書きかけのメモだけがあった。これは訳が分かるから違うね。
怖い夢を見た。
私、しょんぼりした顔で二次創作をしてバズったインフルエンサーの女性、やたら背の高い男性、そして元気のない小汚い男性。この4人で自宅の庭にいた。
庭にはなぜかお墓があり、そのすぐ隣の砂の中に紙が1枚埋まっていた。
内容は思い出せない。
その手紙を読み終わった頃に、あいつが来た。
フードを被った女性が、小さな子どもと手を繋いでこちらへ向かっているのだ。当たり前のように門を開け、庭へ入ってくる。怖くなった我々はすぐに玄関を開け、家の中に入ろうとした。
しかし、最後尾だった私はその女に腕を掴まれてしまい、中々中に入れなかった。ものすごい力だったのだ。
心臓バクバクの中、いつの間にか舞台は男女に分かれているタイプのブックオフ(そんなのない)になっていて、両方の店内から客の大合唱が聞こえてくる。全員浜田麻里のMisty Ladyを歌っていた。楽しかった。
さて、ムーンウォークで散歩でもしてこようかな。
15分の散歩で45回転んで頭を打った私は、自認がマイメロになった。おしまい。
よく考えたらぱいの家っておかしいよね。この理論で行ったらビスケットのきのこになっちゃうもんね。じゃあ家の形してるから家の⋯⋯家の村? そうやんね。山も里も見た目関係ないもんね。いえの村にしよ。と思ったけどあまりにもワクワクしないネーミングだからやめます。ぱいの家でいいです。
そういえば切り株のやつも同じシリーズだった気がする。じゃあぱいの家は第4勢力?




