5、文明の分かれ道
神スタヴァー・マーズと惑星ゴ・ランズが交信を果たし結ばれた希望たる人類。
“虹”と名付けた鉱石から文明を表し、数式と語学を覚え、その更なる子孫へそれぞれの名前を与えるようになった。それが文化であり発明を呼ぶことに未だ感動を与えられない様だった。
少し「飽きたのか」という傾向も文明が発展する意味ではよい刺激となるのを近々感じることになろうとは・・・。
「いたずらに掘り進めては展開するのも狭すぎる」
「この虹の原石は未だ輝きが衰えない」
「俺は少し名称を変えてみたいと思う」
彼等はそのようにして、赤子のように眠る虹の原石を“虹色の鉱石”、それよりも柔らかな加工のしやすい鉱石にも「“虹”なのだ」と、そのようにして名付ける事にした。多少呼び字が変わったにせよ、それも文化として築き上げた功績とも、その知能の変化に伴い読み取れていた。
「文化は芸術そのものだ」
「いつまで経っても衰えを知らない」
「願ってもない宝物が降りてくる」
時に芸術とは発達だ。唯々、果汁を吸いたいだけなのに語りかける事で果実を落としてくれる事があり、その一度の喜びを皆で分かち合いたい気持ちになる。歩いていた筈が何時経っても人が訪れないが、その姿を想像するだけで「面白い」といって語り紡ぐこともある。
誰かと闘いたいときに勇気を出して円を描こうとしたら漂流したウワサに耳を輝かせて行く事もあるだろう。そんな時々の色を重ね合えば“虹”の頂きに到着するかも知れない。民達は分かち合おうとしている。それはまるで七色の重なりのように―――。
「関わり合いたい。文化と芸術ああ、美しい七色の“虹”かつてスタヴァ―・マーズが降りてきた。そして我が惑星ゴ・ランズにも民が産まれ出でた」
「なんとむず痒く食べ合ってきた事だろう。それが水路から原石を掘る事を覚え、建物だけでなく道路を作り、なんとも勢い潤う分別を楽しむ事だろう・・・、」
―――我々も文化そのもので完成する事は無いにせよ、一時完遂したならそれは「失う」ための準備競争だ。虹もそのようにして意志と意志が重なれば7重もの色となって固い絆を示すだろう。幾ら体が疲れたとしても、何かに認められないのだとしても、それは「一時の自由なんだ」と嘆く間もなく詠い続けるだろう。
「はじめは音に驚いた。カツンカツンと寝床に響いてくるようだった。それが鉱石を含んだ時に静かに滑るような音を立てだした・・・なんと仲睦まじいのだろう・・・」
「必死なる勢いが続いていた。いつの間にか体が丈夫なのに頭脳はいくつも別れて往くのだから・・・沢山の子孫の文明がようやくこの形を紡いできた・・・」
アンクォンが世を去った時、確かに約束した。「もう前に進めないのなら、いっそ別れてしまおう」と。そうする事で形は確かに残り得るし、それが象徴となるならば強い意志を大いなる意志へと届け出る事だろう!そこに「まさに」成ることは果実のように甘い蜜を吸わせる事に民たちを勇気づける事だろう・・・。
そして、民は別れて行った。
一つは河を伸ばしてゆく物語。
神は確かに遺伝を与えてきた。神の民となるまで言葉を授けたのだから、強い意志を、血を分かち合う様に強い絆を“愛”と“情”へ受け継いでゆく事だろう。
「僕はこのレンズの欠片を首に乗せてあの子の元へと向かってゆきたい」
「私はあの爽やかな大気の風に乗って進んでゆきたい・・・」
長い河が身近に感じられるようになる。とても冷たくて暖かな体温の様な気分にさせるだろう。これも自然なる喜びで感謝せざるを得なくて、民は足を跳ねてはバタつかせる心躍るような胎児を産み落とす事だろう。
一つは緑を広げてゆく物語。
強過ぎては、緑は枯れて往く。そうならない様に爽風なる大気の息吹を覚えたのなら、神は園を「美味しい」と言ってこしらえてくれるのだろう。
「ああ、折角わたし達で育てた愛が灰色にしなってしまう・・・」
「枯れては咲き、揺れては裂かれ、そして情けを与え給える」
緑豊かな大地とされる辛くもほんのり苦い楽しみが、僅かにも小さな茂が草に生えかわる時、その細やかなる緑を耕すことを覚えてしまうなら、太陽光線によって温められる事だろう。風流と呼ぶべきか・・・。
一つは宇宙を眺める物語。
太陽から成る直射光線を浴びた時、時を刻む針が初めて現れた。何でもない象りによって人類は地に足を着ける度に「もう忘れる頃」を多くの分野へ費やす事だろう。
「宇宙の気流へ乗って“チクタク”と音が鳴るような感じを受けられる」
「遠き時を眺めてきた。もう何かが何処かへ向かう園を囲う頃だろう」
時が過ぎ去る度に「退屈だ」と思うことが出来たなら、常に考えられ得る可能性に対する敬意を払うべきかもしれない。かつてサンシャインの放った「うんざり」という言葉さえも、それは自らへの“ご褒美”として受け取ることが「忙しい」のだと感じられる場合である事だろう。
「新たなる時代を目指そう」
我々は永い星の時を・・・時代を共に歩んできた。
民たる人となった人類が喜怒哀楽を覚え始めた時、文明が発展を産みだすし、時も忘れ認めを得ざる勢いを表し示す事だろう。
「嫌な気持ちだ・・・だけどそれが一体、何になった?幸せを産みだす場所へと自らの記憶を表せないだろうか・・・」
「たった一つの種が大きな受理となり実を落とし始める。それが例え一端に過ぎないとしても個性を産みだす味方となるだろう・・・」
「美味しい、楽しい、嬉しい、面白い・・・幾つもの時を駆け抜けてきた。時を刻む度に新たな纏まりが必要になるだろう・・・」
それは次の時代への新たなる魂と意志の変動に自らを清める事だろう・・・。
そう、次は神、マーズの意志を受継ごう―――。




