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31、王としての自信

 光の時代がやってきて、インシュビ―はすくすくと成長を遂げていった。それも周囲の意見を聞くよりも、進み具合に応じてだった。身体年齢は16歳にも似た状態だった。


――――俺は始め、点だったのだ。

「インシュビ―様、どうされたのです?」

――――俺は英知を得たのだ。

「インシュビ―様、如何なさいました?」



 身体の成長が周囲と比べて遅れている。167センチから175センチに達した頃である。通常、同じ年齢位なら眩き民は235センチから3メートル、闇の民なら145センチから2メートルにも達する。 

 骨格形成もそこから成るのに、インシュビ―は母の影響か、しなるような骨格を持ち合わせていた様だとジェイルは写移機を更なる線に集中させて解説した。


「これは太陽光線というモノで表し示したのだろう?オレの体に丁度いい寸法じゃないか。なぁ、ゴイルお前はどう思う?」

「そうだねぇ、あなたは成長が遅れているのでなく、平均が取れていない。大まかに捉えるのが苦手なのかもしれないね。ジェイル、そうだろう?」

「全くです。流石、王達の子ですね」

「それが点なのだ」

「はぁ・・・」


 知能が高まると次は体の発育が遅れてくる。それは頭脳に栄養が偏るのと近い状態だとフォダネスは、今は居ないマーサの知恵から天使の力によって告げている。それを皆は「闇の女王」と称えるが、その子供である“光”は暗黙のままである。

 何故、純粋な光成る眩き太陽たるブレトルには近付かないのか、そこが民達にも疑問であった。もっと楽しそうに面白く語ればいい筈が、インシュビ―は繊細で皆と別の方向を生きようとしてしまう・・・。


――――

「ジェイル」

「はい、ブレトル様」

「インシュビ―は“はかなく”も在るのだろうか、」

「つまらない、という意味ですか?」

「“余剰”を楽しんではいないのかも知れぬな」

「・・・方式が異なるのでは・・・」

「暫く・・・時が必要だな・・・」



 ブレトルは「もっと俺と同様に楽しく生きよ」と言いたいのに、フォダネスは「優柔不断なる頭脳派」と呼んでしまう。そこは父に似ているのか、と言えばそうではなく母から得た頭脳が太陽に昇る頃から、冴え渡ることを示している。

 それはかつて、何処からかの世界線から産まれた闇の太陽から突き抜ける光によって宇宙全体が焼き尽くされたサンシャインのごとく、強烈なる頭脳が破裂しているかのようにも見受けられてしまうのだ。

 それは惑星ゴ・ランズの誕生と同様に、民の遺伝記憶に従うと、冷たい惑星の中に眠るマグマのような干渉を覚えさせるのであった。


――――

フッ、

ガキの頃から育てて置いて優柔不断だと?

お前達の生き様がどれ程に貴重だったか思い出せよ。

適当に連ねて、笑うがいい・・・アハハ・・・


――さ・・・ま・・・

―――ビ―さ・・ま・・っ

――――インシュビ―様っ!

「うん・・・?オレ・・・は、い・・・ったい・・・」

「あなた様は、大岩を砕いた後に気絶してしまったのですよ!」

「何?オレが大岩を砕いたというのか?何処に大岩があるというのだ??」

「砂になりました・・・」


“時代の王よ、光よ、父の様であれ―――”


 この様な事を起こすには動機が必要だった。それは「父の様であれ」という言葉ほかに成らなかった。父親の身長は285センチであるのに息子たるインシュビ―は175センチとおよそ、半分。

 ――――その体格に見合わぬ力は体に眠る、光の力と呼ばれたモノである事を未だに自覚していない。


「フリスラー、その大岩はどの位だったのだ?」

「ええっと、私の身の丈10個は在りましたか・・・」


 ブレトルは大岩など割った事がない。何故ならその眩き力は象徴であり、民の為に使うべきモノだからである。対してフォダネスは闇を過ごすための力の象徴であり、民達に知識を分け与える。

 それはブレトルの迷いにも貢献するものだったが、インシュビ―は見世物のような生き方をしている為か、自らの力だけを試したがる癖があるのだった。


「確かに、あの屈強なる肉体であれば、大岩を砕くことも出来るでしょう。しかし砂に成らず、土と欠片になるなら分かりますが・・・理解し兼ねます・・・」

「よく見ろ、フリスラーこの砂を・・・まるで閉じ込められた光、いや、虹というべきか・・・何色にも見えるんだが・・・」


 ジェイルは方式を教えるのに対し、フリスラーは肉体が力に対しどの位の違いが起きるか、を教える。だが、それをも簡単に消し飛ばすような出来事が起きるとジェイルと同じく、余り教えすぎるのも問題なのだと彼もそう、考えてしまうのだった。

 いずれにしてもどちらの親にも属さない力を“光”と呼ぶしかなかったのだから・・・。



「父よ、オレは一体、何者なのです?」

「お前は俺の子で、妻の子だ。違うか?」

「いえ、オレは・・・」

――――お前の子などではないッ―――

「どうした、インシュビ―?」

「いいえ、何も・・・」

――――何もかも砕けてしまえ!―――

「無理をするな。俺と異なるといっても、お前はお前だ」

「はい、オレはオレです・・・」

――――失って尚も失い再生するのだッ!―――



 ――――更なる時が流れていった。インシュビ―は既に239センチの体となっていた。年齢は20に相応するのに、まるで幼い子供の様だった。


「自信を持て。王の冠はそのモノ程ではないことを―――」

「ああ、分かっている。父よ、オレも大人になった」


 王たる瞬間。

 民達の文明と共に、生活が実っていくようだった。しかし、未だに成長を続けるインシュビ―の肉体は更なる変異を求めるかのようだった。

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