27、支配
長い時が連なった。
果実の中身を吸い取り、女王は王にこの様に告げた。
「王よ何成りと・・・」
――――闇の民を引き連れたフォダネスがブレトルの力に伏せる。
「求婚」という形で交信を始めた。だが、それでも二人の話し合いは済みそうになかった。それ程にお互いが純粋にその身に宿る力を試したいが故に、子を宿す事すら叶わなかった。
「底に伏せて、高に立つ」
アマテスはその様子を唯見るしかなかった。特に民達は付き人なる者を説き挙げる事はしなかった。
「高はやがて低に成り、お互いを認め合う」
ジェイルはその様子を見守る様に、王達の態度に従わず民達を引き連れる事にした。新たなる地で民達が繁栄したり困窮するような姿が在ったが、それでも“眩き闇”として民達を送ってあげた。
時が刻まれる合間に子孫が沢山出来た様である。像の民だった頃は2000だった。しかし蛇の民と交わる事で現在は76万に達していた。
「知恵だけではなく、体と声が必要だった」
「屈強と頭脳が発展した」
このように様々な声が挙がる。
◇ ◇ ◇
――――更なる時を経て280万の域に達していると、どうも王達の様子が交信的な迷いが断ち切れなかった様である。幾つ、交信を重ねていても子は宿らなかった。それは支配を示唆した故の抵抗だったかも知れない、と付き人達は見守る様に言葉を連ねていった。
まだ何らかの変化を得られるには時の満ちる間が必要だったと思われた。
「・・・の実を例えば民と捉えると、鱗の民となりますね。すると針と綿を合わせると、林の民は硬くも柔らかな頭脳を持つのでしょうね」
「では天の使いを、像と合わせると宇宙を漂う生命となるのだろうか。どうもお前の話は繊細に象る時を連ねている様で、大変面白くもある・・・」
食事をする度に、二人はそれ等を並べては配置し直す。それは民の移動に関する事だけでなく、自らも動くための形となるべき楽しみか、と考えていた。眩き力は闇をも覆す、と誰かが告げていたが、その背景は穏やかで賑やかにも捉えられる。そういう意味では闇も眩き力を覆すのだ。
民達は移動をしつつ子孫繁栄をしながら文化を分けては文明を目指している。その文明が活かされるも壊れるも、虹の鉱石のごとく再生し直す。それはかつて、人類が虹の鉱石を含んでは再生能力を得た様に、腹も空かぬ態度へと変化していった様でもある。
アマテスとジェイルはお互いの知恵を民達の為に働かせているが、では、お互いが結び付くことは無いのか?
――――
「私は、ジェイルと名付けられて、ドーグ様は知を教えられました。分からない事だらけで遂に王にその真意を教えて頂いたのです。未だ若い私を教えて現に、この場に付いているのです」
「私は、アマテスと名付けられるまでに踊りを教わったのですが、たった一人の少女だった私を置いて両親は無くなりました。未だ生きているのでしょうが、結びつきとは時と共に刻まれて理解を施して往くのでしょう」
時の差・・・故に、結び付く道理が無さそうだが、何故か話は連なるごとに差し合っては別れ、別れては差し合う。その楽しさが痛快で話が止まらないのが現状だった。それはブレトルとフォダネスの様なやり取りにそっくりだった――――。
◇ ◇ ◇
「この実の皮がひれ伏したとしても、やがては土と成り、苔と水によって湿ると太陽の輝きが育てる事を教えてくれる。それも遺伝という形式なのだろう」
「今回は完敗でした。ですが次は最もらしい変化をきたす形式としませんか」
「無理を通してもよいが、下手をすると俺が完敗しそうだ」
「それは私の力を認めてくれるという意味でしょう」
「当然だ。俺の“交信”という手引きを楽しんで面白ければ、お前を迎えたい」
「それも楽しみであり面白味のあることですね。では、枝に知能を付けたとしましょうか」
それ等は静かに、コツコツと音を立てるように形式を入れていた様である。その力とは他の文化を取入れた故の勢いか、二人のその態度に微笑ましい民達であった。もう少しこの時を楽しむのはどうにも無理が在りそうなのに、つい、見守ってしまうのは情けなのか、愛なのか、いずれにしても実る樹木のように時が刻まれるのを待つしかなかった。
どちらにしても交信されるなら、何らかの力が“宿る”のだろうと考えている内に、宇宙が波の様に揺れて、惑星ゴ・ランズに導かれるように遺伝を送り込んでゆく。王達もそれを感じ取れるまで遥かに永い時を楽しんだのであった。
「永き時に刻まれたこの瞬間は、お前に交信を求める時に在る」
「ふふ、うろたえる時も必要なのです。私達に何らかの交信が得られるとよいのですが・・・」
◇ ◇ ◇
こうして、二つの存在、王たる冠を携える合間にそろそろ様子が変わってきそうである。そうするうちに次の時代に入るのも間もなくである。




