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26、民の行く末


王達は民を別々に分ける事に抵抗はなかった。


 ――――土の民だった民は、眩き民と闇の民として活動を始めていた。王の許しがあってから出身地を決めたようなものだった。それが「居心地よい」と感じられたのはジェイルとアマテスだけだった為、二人の王は何となく理解出来るようにも感じ取れた。


「我等も王の子を望む。どうにかして進展してほしいものだ」

「あの二人は簡単そうで簡単じゃない。複雑なのよ。ブレトル王は単純に考える方だけどフォダネス女王は、踊りの為に忙しいのかも知れない」


◇ ◇ ◇


段々と民達が自分自身たちだけが交信していっても、示すべき王達が交信しないで談話するのでは、あまりに不都合だと感じた。想いが折角なりそうなのに、恋というものは眩いものか、それとも闇なのか、時が刻まれる内に秒針が狂いそうな予感さえしたのだ。

 もう少し近付いてみてはどうかと、付き人達は王達に説くのだが、王達は「これは普通の交信だ」と誤魔化さずに伝えてしまう。これ以上、無理して相談する必要はないのでは、と考えてみたが一向いっこうに話さえ進まないのはむず痒くも在った。

 この二人は唯、果実の中身を吸っているだけではないか、と言いたくなる気持ちも伝わっていない。


「俺は交信したいのだ。フォダネスよ、俺とこのまま交信を続けるのだ」

「ブレトル、私は貴方と交信するだけでいいのです。子を産めと民達はどうしようもない程に言いますね。子が必要ならこの交信は違っているのでしょう」


 ――――闇の民は眩き民と交信したのち、文化を分けたのだった。

 例えば、布袋にその屈強なる体から空気を入れた時に“浮く”事を思い付いた。それが風船だとして楽しむ事も出来るようになった。それに水路は木を管にしたものを繋いでみせると、料理をするときにわざわざ汲みに行かなくとも大丈夫となった。

 それは水道管という形で作られた。屈強なる体と頭脳により完成した。それを伝って苔の周りを湿らすと、様々な樹木が育った。それは時を刻むうちに宇宙線の遺伝を通じて色も形も変化した。二人の王の寿命が長過ぎる為に、他の民達が動いていたのだが、その様にして他の地へ赴くように文化を分けていったのだった。


――――


「女王のお披露目だ」

「王は何もしないのか?」

「フォダネス、今回も踊りを披露するのですか?」

「いえ、アマテス。今回は眩き王とダンスをするのです。踊りとは激しく体を使うから像の体では動きが取れないでしょう」

「ブレトル様、今回も話を合わせるだけに?」

「ジェイル、そうではない。闇の女王と手を合わせるのだ。そうする事で体を動かす事も少なく、我等、早期に進む身体力を操るのだ」


 王達は拠点の中心街となる広間で手を合わせ、フォダネスが体をくねらせると、ブレトルはその腰を支え、お互いが回り始めた。何時もの様な激しさが無いものの、お互いが生んだ楽器を鳴らし合わせ、それらを手拍子で二人を見守る。

 足を踏むタング、お互いの距離を置いて回るグレーム、距離を詰め見つめ合うデシラというそれぞれのダンスの様式を言葉にし始めた。それも「文化だ」として形を織り成した。もうそこに“天使”という形は何処かに向かってしまった様だった。


「もう、勝負という言葉は要らないのね」

「そんな話を女王としていたのですか?」

「私達は親子、姉妹ですし、意気投合する方でもないのです」

「それは何故に?」

「意気投合などしなくとも、彼女は付いてきたのです。それなのに王の素質を持っていた。私がそうしたかったから―――、」


 アマテスとフォダネスには天使の力が分け与えられているのに、ブレトルにそれが通用しないのは、彼が眩い力を発しているからで、頭脳では凡そ見当や提案等だけなら言えそうだった。それ程、“純粋”なのかと考えさせられた。純粋さ故に「眩き王にも負けない」という意見すら覆す程にだ――――。


「これから民の行き先は別れる事でしょうね」

「うむ、民達は賑やかになった。我等はそれを見守ればよい。フォダネスよ、お前はどうだ?力とは何だ?」

「純真、形式、協調、支配、どうでしょうね?」

「それなら快楽、提供、同感、示唆、どうだ?」


 勝負と言う、意見の形で話し合わせる。それは「勝つ」と「負ける」ではなく、お互いの意見を尊重し合うのだ。言葉の違いなどどうにでもなる程に、二人の輪は回り始める。

 ――――それなら純真さを快楽とし、民達を笑わせるとか、形式を提供とし、道を広げてあげるとか、協調を同感として表現をしてみると、支配を示唆する事で支え合うのはどうか――――、という様子を示せばよいだけである。

 何事も単純で明快な話し合い。王達は民達の行く末を案じるのみであった。


「お互いの輪が強調されると、民達はお互いの価値観にも囚われず、自らの道を選ぶのですね」

「もう、決して迷う事も無いだろう。文明が新たに表れる時に再び我等の意見に付いて、再び声を挙げるだろうが、俺の師は声を挙げずに言葉を呼んでいたよ」


◇ ◇ ◇


楽しそうに果実の中身を吸い合う。

それは「美味しい」でなく「求婚」という形で織り成される。


雰囲気は夜の語らい。

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