18、名声
平坦な立場像を描いています。
像の民は屈強たる巨体が、色々であるが、ブレトルは巨体であるために民の力が無くとも歩くことも出来る。万が一怪我をしてもその再生能力の高さから、虹の鉱石で出来た植物の薬を塗らずとも大丈夫なのである。
「ジェイル、お前は若い。若いがその小さな体では荷物が重いだろう」
ジェイルは170センチで、あと一つ時を刻んでもそのままの体格であり、どちらかといえば蛇の民に近い。ブレトルと比べていても彼は王の風格を持つのか、自由で在ればそういう事は気に掛けなくてもよい事を教えてあげる。
「ジェイル、気に掛けていてもそれは自身であり、新たなる道へと紡ぎたてる影響だと考えればよいのだ。折角の体をそう嘆く事は無い・・・」
「王よ、私は考えすぎるのでしょうか・・・どうもドーグ様の影響があるのかな、と感じてしまうのですが・・・」
「命令を駆使する事か・・・それもいずれ分かるだろう。『歩く度に性格が出るのだ』と彼は言っていた」
蛇の民と異なる頭脳を活かし、ジェイルへ教えるブレトル。次代となる前の兆しか、「楽しみは遊びに、面白さは手加減だ」とかつて誰かに教えてもらった記憶が在る事をブレトル自身も理解していこうとしている様だ。
どうもそれは歩くだけでなく、ライト・オブ・ホールの影響だと考えても差し支えないような事をドーグは言い残していたのだが・・・、
「翼がそう言っていたのだと俺は思うのだ。俺自身もまだ若い。だから誰かの教えに従おうとするのだろうが、それは従うのとは異なる様だ」
ジェイルは付き人として今、王の傍で動いている。以前は「従うな」と言っていた王が「従おうとするのだ」と言い始めている。かつてこの宇宙の初期であるシースペイン・アインの時にビグヴァルが誕生したように、自ら意志を持ち、突き破った白い世界を統括し、生命を息づかせ、幾つもの宇宙を広めて来て、尚も星をも誕生させてきたように、ブレトルも何かと世話を焼こうとしている様子が垣間見える。
それは旅歩く道筋に迷いが現われ、直立していくための意志の表れだったのか、誰かに命令されたのではなく、自ら命令を下そうとしているような様子をジェイルが目にすると、ブレトル自身もジェイルを目にする。
その決まった道も無い道を「どうにかしよう」と思考を張り巡らせることも民達と決めて往く筈が、結局は頼らざるを得ない状況に直視するのだった。
「ゴリュース、お前ならどの道を進む?」
「わたしなら、適当に枝を拾って丸い石に引っ掛けて倒した先を目指します。王よ、もしかして迷っているのですか?」
「そうだよ。迷うのだ。迷った先に名のある大地を付けたいと思う。ファル、お前ならどうする?」
「そうだなぁ、儂には見えない道を辿る事は出来ない。だから王よ、お前も辿らない道を頼ってみてはどうだね?」
腹を満たせば惚けてしまう事もあるだろう。表情が赤くなるわけでなく体温が上がってしまうので脳がゆっくりと動こうとするのに、命令通り動けないのだ。そんな時に一人では決め手は成らない事を心得て居るブレトルの様子を見ていて若きジェイルはどうしても馴染めない感覚がある様だった。
(誰かに頼れ。しかし、頼り過ぎてもいけない・・・これが遊びと手加減?)
ジェイルなりの答えが見つかりそうな歩みでもあった。その先に見えるような見えない様な大地の先に、我々は向かおうとしている事を実感できないのは誰しも同じだったのだ。だから力を与え合い、支え合うことが必須条件のように反射し合うのだろうかと、ジェイルは少しずつブレトルを理解する様に、感じ始めていた。
「ウヴァンよ、お前なら口を動かす方が楽か?それとも傍に寄って告げる方が楽なのか?どっちが正しいと考える?」
「どちらでもない。僕なら支える様に言葉を表す。あんたと同じだ。道を踏み外したなら、誰かが助けてくれないなら、そのまま数を数えて僕は掴まれる場所を掴み、落ちるならそのまま落ちる・・・折角だけどね・・・」
「では、右の道を下って往こう。民達よ!あの黄色の星へと向かうぞ!」
「王よ~、足元は注意しろよ~!」
それは立場を超えたというべきか、言葉遣いなど遠慮なく声を挙げて往く。民達はそうして王を民として迎えるのが規則だと考えては思いを募らせて輪を繋いでいった。
例えば苔に果実が実っていて、それを食べれない事だと感じるよりも、料理をしてみて腹を下さない事を考え張り巡らせる事や、濁った水が鉱石が混じって飲めないのなら、草で作った藁を使ってろ過をする事を考えてどう思うか確かめる事が大切なのとそう、変わらない。
こうして共に考えては試して美味しいと呼べれば、それが楽しくとも面白いのだと神の遺伝を越して宇宙を漂ってきたのかもしれない惑星ゴ・ランズに住む“人類”としての考えでもあった。
「王よ、あの木を目印にするのはどうでしょう?」
「うん?あの木か。いいだろう、お前のそのいい加減な態度に敬意を表する」
「王よ、私はあの木に穴を開けてみたい」
「穴を開けて住むのか。それもよい事だ」
こうして“何も出来ない”のではなく、声を挙げてみる事で折角の機会を拵えるのだ。周りに居るのは民達だけではなくゴ・ランズの大地に潜む別の大地なのだから、そこに潜むだろう微細生物さえ驚いて脳裏にある言葉を反響し合っている事だろう。
人類には宇宙の線が通っているのだから遺伝がそう、応えるかのように進んで歩いてくるのだろう。
* * * *
「では、ここで休む。休んでみて楽しく面白ければ、ここで住む。そして文明を発展させるための準備を行う。それでよいか?」
「王がオレ達と決めるならそれでよいさ!」
「王よ、一人で抱えては駄目よ。文句も言いなさい?」
「ピピュン、お前はどうなのだ?」
「・・・おれには、意見は許されないのだろ・・・だから、」
「だから何なのだ?その続きを教えてくれ」
「ここの地面に穴を開けて、水を溜めたい。それで飲み水を作ってみたい」
合意の証のように、固くはなくもっと楽な言葉遣いを自然にして往く。王と言うのは「そういうものだ」と、教わった訳でもなく王冠を貰ったお礼としてブレトルは皆を平坦に誘うのだった。「どうせ、なんて」と聞く事はもしかすると別の可能性に未知を創ることを翼の民から教わった記憶があるのだと、民達も理解していた様である。
そういう意味で偏った価値観に従っては成らない事をブレトルはジェイルに教えていたばかりで、それから時が一つ刻まれていった。
「王よ、道を広げた。ここは居心地がいい」
「私は苔を育ててみた。温かいね王よ、貴方はどう?」
皆が自由に足跡を付けていった。そこが新たな大地なら「名付けてみてもいい」と言ったのはブレトル自身だったからだ。皆が尋ねる、名を教えてくれと。
「“コンハーツ”というのはどうだ?」
皆で協力し、協調をしたという意味で“包括的”という意味合いを見出した事がその名となった。以降、その名をどう呼ぶのか、「色んな名前で呼んでも構わない」という事を皆で相談し合った。
一人はコンポと呼んだ。
一人はコーツと呼んだ。
一人はハツと呼ぶ者も居た。
ジェイルはコンハーツに従った。
ブレトルはこうして民達を先導する訳で「最も光る者」という名を挙げられると、次代の王”眩き王”として名声を挙げる事となった。何故そうなったのか?それは太陽に焼かれたアキシルのように、完全なる頂点を目指す訳でもなく、歩いてきた事から現れた言葉だと民達は言った。
それは黒点から差し出す“眩しい光”である事を示す。誰もが自由に言葉を並べ、したい事をする。傷付け合う事などしなくて済むように、ブレトルは告げる。
「何が在っても食うなよ?」
像の民は最小50センチ
成長すると最大4メートル




