12,新たなる象徴
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民達は3人の神の象徴たる者達と共に、伝説の像、ファイオクスを建設した。これこそ新たな文明を築く事だろうことを予兆してのことだ。
まず、ミキュールは道を作った。像と蛇に別れたために屈強なる変化を築いていたいと思った。ウリュエルは生活の場を作った。その頭脳に見合うこれまでの「意志の象りとは何なのか」を民達へ問うてみた。すると「形は螺旋状がよい」との回答があった。だからガヴリールはその骨取りを叶えようとした。その形成上には屈強なる螺旋状の象り、つまり別の生命から取り出した“脳”と同じものだと考えた。
民達は、それぞれに別れたのだが、一つだけその証が欲しいと感じていた。確かに魂と意志は別れていたが、一つだった頃の思い出が欲しい、記憶が在ればその場を懐かしいものだと感じることが出来る、などと言い出した。
「しかし我々は土の民だ」
分類した人類を像の民と名付けたミキュールは、その屈強なる体を見るなり大地に光るマグマの炎を浴びせる事を考えた。すると炎の火花を被った像の民はまるで痛みも火傷も負わなかった。それは弟ガヴリールの強靭な体質と似通っていてまるで道理に反しない形を創っていたのだった。
「鉄を作ってみせた。これならどんな固い大地をも削り、新たなる形を創ることも出来るだろう。すると硬さに敵わぬ虹色の鉱石に近い物をも削り取り、様々な道具を創ることも出来るだろう。それが我等の像の証たるもの!」
分類した人類を蛇の民と名付けたウリュエルは、その“しなやか”なる体を見るなり踊りを誘って見せた。すると様々な輪の形を創り出し、全員がその図形のような態度を取り出した。それはまるで弟ガヴリールの頭脳そのものにも感じ取れる様子だった。
「植物から新たなる匂いと味を創ることが出来た。こうなれば美味しいという言葉が益々(ますます)、広がりを見せられるかもしれない。どんな表情でどんな踊りを見せられる事だろう。あの女性の形を見てごらん?」
ミキュールは道を創り、ウリュエルは意志を創り始める。
ガヴリールは頭脳となり、二人を助け、3人で民を支えたのである。
道が出来ると、民は流れた。それはまるで川のように勢いよく流れて行った。遺伝による力である。交信された意志が示したのはその道を辿るように生きる事である。その強さを示す様に支え合い、紡ぎ合い、そして信頼し合った。それを頭脳を使って解消してみせたのである。倒れるのではなく新たなる道を支え合うと、今までにない文明の象りを示したのである。
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こうして5つの道と8つの意志が示された。
それは荒ぶるような時だった。
それはまるで炎のようだった。
費える言葉が羽となるのだった。
「大いなる意志から成る、意志を思い返せ」
始めは胎児だったのに、それは形状ですらなかった。なのにそれが「宇宙」と名乗るまでそう疲れない動きを示し、それが破裂したに過ぎなかった。そこから英知を得るまではたった一つの「点」に過ぎなかった。
それがますます大きく広がり他の点と形状を変えて行ってから、新たなる宇宙を表していった。もしかするとその点自体が宇宙だったのかも知れない、とミキュールは民へ伝えている。
するとその妹ウリュエルは、土に生命が宿る時、骨の様な形状となり、筋を創るための神経や血液が現れたことを語り始めた。そのようにして大気濃度の低い大地で人類が現れたのであるのだと様々な解釈を取入れていた。
頭脳は更に時を刻まれる度に生まれ変わると、遺伝が重なり合った。それが交信と呼ばれる瞬間で様々な成長と、進化となっていった。それが文化であり文明である。その様な機会は生きている限り現われるだろう。
しかし問題はその時を刻む度に気になる“寿命”というものであった。
なぜこうも瞬間でなく永遠なる形状で再生が可能になったのか。それは虹の鉱石の力であったことは紛れもない事実であった。初めは亀裂にある生命を感じられた惑星に、湿りがあり苔が生えていたように、水脈が益々現れていった。それから苔から緑と成って生命の安定が保たれていった。
随分と永い時が刻まれていったのに、何故か永くも感じられない。それなのに突如、神の申し子の“よう”な人類が現れると“リョウリ”が作れるようになった。そのおかげで美味しい、嬉しい等とする言葉が文化となっている。もう人類が神の子であった事など記憶に残ってはいないだろう・・・。
「もはや永く語るべきではない」
“フワッ”
何か理解できぬ、光の柔らかな一筋が舞い降りた。
そう感じられる時の刻みが不吉なる壁を打ち破った。
“赦し”が与えられたようだった。
新たなる遺伝を受入れたその時の刻みによって人類は変わっていったのだ。
大地から生まれる土の質も色も変わっていたため、民はそれを水で練り続け再び新たなる象徴を表した。頭は像、胴体は蛇、同じ両の腕と足があり、何故か枝のような硬い角が付けられ、それを和らげるように“翼”が背中へ取り付けられ、その尻には触手のようなものが取り付けられた。それがファイオクスだった事の名残である。
「では、オレが土の民に神託を与えよう」
民達はその声を脳で伝って分かち合った。「嬉しい・悲しい・再びか」等、それぞれの魂と意志が語り合った。「儚くも新たなる望み」という信じる言葉を創った。信じる事で再び、神が宿るのだと感じ合えた。一度ではない徐々に詠うように期待を寄せていた。
もはや、それ等は人類“らしき”象徴であったと―――。




