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彼女のいる街  作者: しし
2/11

学校

学校に向かう途中で会う子どもも、大人も、挨拶を返してくれる。

学校の先生たちも、ちゃんと返してくれる。


お母さんは言ってた。

「先生は仕事だから優しくしてくれるの。あんまりわがまま言っちゃダメよ」って。

道ですれ違う大人も、子どもに挨拶されたら返さないと変だからって。


TPOって言うらしいけど、よく知らない。

アルファベットで言われても、想像すらできない。

日本語で説明してくれたらいいのに、って思う。


家の中だと、TPOは関係ないのかもな。

誰も返してくれないのが普通だ。

やっぱり、わかんないな。


今日は授業があんまりない日。

校長先生の長い話が、僕の頭の上を風のようにすーっと通り抜けていった。


「知らない人にはついていかないように」

「みんな元気に、また会いましょう」

「さようなら」


先生の挨拶が終わると、教室が一気に明るくなった。


「海行くんだー!」

「旅行!楽しみ!」


クラスメイトたちが声を上げて、はしゃぎだす。


「おまえは? どこ行くの?」


「うーん、まだ未定」


曖昧に返して、少し笑ってごまかす。

みんな、夏休みが好きなんだな。

僕は、ちょっと苦手かもしれない。


「夏休み、楽しんでください」

「変な人がいるから、知らない人についていっちゃダメですよ」

「また元気に、みんなで再会しましょうね」


先生の言葉を聞き流しながら、

はしゃいでる友達に合わせて笑いながら、

僕は、心のどこかで思っていた。


夏休み、嫌だなぁ。


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