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プロローグ
―――――『そのとき、巨龍の爪がパウロニア帝の眼前に迫りました』
「わっ! ちちうえがあぶない!」
――――――大丈夫だよ。『ですが、パウロニア帝は一歩も動かず、巨龍を睨みつけました。すると、巨龍はその姿に恐れおののき、はるか遠くの空へと逃げ去ってしまったではありませんか。しかし、パウロニア帝は逃亡を許しません。巨龍の逃げ道をまるで予知していたかのように瞬間移動し、地面に叩き落としたのです』
「かっこいい!! おれも、ぼうけんしゃになる!」
――――――でも、怪我しちゃうかもしれないよ。
「それでもなるんだ! ちちうえみたいにつよくて、かっこいいぼうけんしゃに!」
――――――そっか、それなら応援するよ。
「ありがとう、だいすき!!」
――――――私も大好きだよ、ゲンジ。
だって、私は君の本当の父親なのだから。