(交錯)かな。
ええ、反抗期です。
あっ、間違えました。
大人の夏休み前のミニ繁忙期に突入しました。
ちょっと忙しいです。
誰か代わってよ~♪ 僕の代わりに~♪ 仕事してよ~♪
五輪に出場せず、コロナにかからず、台風に飛ばされず、
ただひたすらに仕事に専念します、たぶん。
そんなこんなで更新が遅れます、ゴメン。
文字数が足りないと表示されたので続けます。
別の物語の導入部です。
始祖龍が泳いでいた。
遥かなる蒼穹を、巨大な体躯で悠然と泳いでいた。
その姿が見える者は極々々僅か。
悠久の年月を経ても数えるほど。
見るには特別な目を必要としていた。
感じ取れるスキル、視えるスキル。
ただし、ただの目にも見えるときがある。
それは裁きが下されるとき。
打ち砕く、噛み切る、焼き尽くす、凍らせる。
それは罪状によって違う。
たまにだが、胴体で押し潰されることもある。
五右衛門は後ろ手に縛られ、
河原に敷かれた畳の上に正座させられていた。
石川五右衛門。
言わずと知れた盗賊団・石川党の頭目。
顔色は悪いが、目はまだ死んでいない。
悪足掻きせずに、ゆっくり辺りを見回した。
河原の真ん中には四人ほどが入れそうな大釜が設えられ、
その周りには磔にされた罪人が十二人、
畳に正座させられた五右衛門を合わせると十三人、
石川五右衛門とその一党だ。
ここは京の三条の河原。
野次馬が押し掛け、竹矢来の外を十重二十重に囲み、
処刑の合図を今か今かと待っていた。
磔にされた者達が泣き喚いていた。
「許してくれ」
「助けてくれ」等々・・・。
両脇から槍で突き刺される恐怖に身を震わせていた。
刑場の露と消える重罪人にしては醜態だ。
河原に据えられた大釜。
役人の一人が五右衛門に、「水は張られていない」と教えた。
親切心ではない。
下に薪が積み上げられていることから、
五右衛門を入れてから空焚きするつもりと分かった。
どうやら、事前に恐怖を味合わせ、
醜態を晒すのを期待してのことらしい。
五右衛門は不穏な空気を感じ、刑場を見回した。
竹矢来の内側は京都所司代の兵が厳重に警戒をしていた。
野次馬には所司代の陰働きを行っている忍者群が紛れていた。
内も外も怠りがない。
五右衛門を助けようとすれば千の兵が必要だろう。
その兵が現れる気配はないが、勘が五右衛門に告げていた。
雲行きが怪しい。
五右衛門は空を見上げた。
雲一つない晴天。
太陽が頭上に昇ろうとしていた。
そろそろ刻限だろう。
朝から無風だった刑場に一陣の風。
木の葉を、砂塵を、宙に舞いあげた。
処刑開始の合図。
途端、地を揺るがす歓声。
野次馬が興奮のあまり、竹矢来を押し倒しそうな勢いをみせた。
所司代の兵が迅速に駆け、槍の穂先を並べて彼等を威圧した。
磔十二基それぞれに槍を構えた兵二人が待機していた。
彼等が立ち上がり、順に一人ずつ、
左右から脇の下に槍を突き刺して行く。
罪人達から許しを請う声が上がるも全て無視された。
刑が執行されて行く。
噴き出す鮮血。
この手の執行に慣れた兵ばかりなので、鮮血を浴びる愚は犯さない。
五右衛門は皆の関心が磔に向かうのを待っていた。
注意が逸れた今が好機。
後ろ手に縛られていたが、あらかじめ縛られる時に、
巧妙に隙間を作って置いた。
その僅かな隙間を利用して手首を捻り、
掌に隠し持っていた小さな刃物を取り出した。
縄を削る様に切って行く。
刃物の入手は簡単であった。
豊臣政権の高位にある旧友が前夜、密かに牢を訪れ、
差し入れてくれた。
みえみえの不正であるが、彼の仕業と指摘する者はいないだろう。
何しろ彼は所司代の人事すらも左右できる重職にある。
加えて、さらに高位にある者が彼の後ろ盾でもある。
なので更新が遅れます。