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oh! 銭ぜに銭 ぜに銭ぜに。  作者: 渡良瀬ワタル
96/248

(交錯)かな。

 ええ、反抗期です。

あっ、間違えました。

大人の夏休み前のミニ繁忙期に突入しました。

ちょっと忙しいです。

誰か代わってよ~♪ 僕の代わりに~♪ 仕事してよ~♪

 五輪に出場せず、コロナにかからず、台風に飛ばされず、

ただひたすらに仕事に専念します、たぶん。

そんなこんなで更新が遅れます、ゴメン。


 文字数が足りないと表示されたので続けます。

別の物語の導入部です。


 始祖龍が泳いでいた。

遥かなる蒼穹を、巨大な体躯で悠然と泳いでいた。

その姿が見える者は極々々僅か。

悠久の年月を経ても数えるほど。

見るには特別な目を必要としていた。

感じ取れるスキル、視えるスキル。

ただし、ただの目にも見えるときがある。

それは裁きが下されるとき。

打ち砕く、噛み切る、焼き尽くす、凍らせる。

それは罪状によって違う。

たまにだが、胴体で押し潰されることもある。


 五右衛門は後ろ手に縛られ、

河原に敷かれた畳の上に正座させられていた。

石川五右衛門。

言わずと知れた盗賊団・石川党の頭目。

顔色は悪いが、目はまだ死んでいない。

悪足掻きせずに、ゆっくり辺りを見回した。

 河原の真ん中には四人ほどが入れそうな大釜が設えられ、

その周りには磔にされた罪人が十二人、

畳に正座させられた五右衛門を合わせると十三人、

石川五右衛門とその一党だ。


 ここは京の三条の河原。

野次馬が押し掛け、竹矢来の外を十重二十重に囲み、

処刑の合図を今か今かと待っていた。


 磔にされた者達が泣き喚いていた。

「許してくれ」

「助けてくれ」等々・・・。

両脇から槍で突き刺される恐怖に身を震わせていた。

刑場の露と消える重罪人にしては醜態だ。


 河原に据えられた大釜。

役人の一人が五右衛門に、「水は張られていない」と教えた。

親切心ではない。

下に薪が積み上げられていることから、

五右衛門を入れてから空焚きするつもりと分かった。

どうやら、事前に恐怖を味合わせ、

醜態を晒すのを期待してのことらしい。


 五右衛門は不穏な空気を感じ、刑場を見回した。

竹矢来の内側は京都所司代の兵が厳重に警戒をしていた。

野次馬には所司代の陰働きを行っている忍者群が紛れていた。

内も外も怠りがない。

五右衛門を助けようとすれば千の兵が必要だろう。

その兵が現れる気配はないが、勘が五右衛門に告げていた。

雲行きが怪しい。

五右衛門は空を見上げた。

雲一つない晴天。

太陽が頭上に昇ろうとしていた。

そろそろ刻限だろう。

朝から無風だった刑場に一陣の風。

木の葉を、砂塵を、宙に舞いあげた。


 処刑開始の合図。

途端、地を揺るがす歓声。

野次馬が興奮のあまり、竹矢来を押し倒しそうな勢いをみせた。

所司代の兵が迅速に駆け、槍の穂先を並べて彼等を威圧した。

 磔十二基それぞれに槍を構えた兵二人が待機していた。

彼等が立ち上がり、順に一人ずつ、

左右から脇の下に槍を突き刺して行く。

罪人達から許しを請う声が上がるも全て無視された。

刑が執行されて行く。

噴き出す鮮血。

この手の執行に慣れた兵ばかりなので、鮮血を浴びる愚は犯さない。


 五右衛門は皆の関心が磔に向かうのを待っていた。

注意が逸れた今が好機。

後ろ手に縛られていたが、あらかじめ縛られる時に、

巧妙に隙間を作って置いた。

その僅かな隙間を利用して手首を捻り、

掌に隠し持っていた小さな刃物を取り出した。

縄を削る様に切って行く。

 刃物の入手は簡単であった。

豊臣政権の高位にある旧友が前夜、密かに牢を訪れ、

差し入れてくれた。

みえみえの不正であるが、彼の仕業と指摘する者はいないだろう。

何しろ彼は所司代の人事すらも左右できる重職にある。

加えて、さらに高位にある者が彼の後ろ盾でもある。



なので更新が遅れます。

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