表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
oh! 銭ぜに銭 ぜに銭ぜに。  作者: 渡良瀬ワタル
43/248

(関ケ原)5

     ☆


 私が床几に腰を下ろしている間に戦場は西へ移動していた。

残された私の周りでは後片付けが行われていた。

空堀の埋め戻し、馬防柵の解体、とにかく大わらわ。

 敵味方の死体も一つ残らず集められた。

引き取り手がいない者は身包み剥いで空堀に投げ入れられた。

同時に解体した馬防柵の丸太をお供にした。

乾燥させてあるので、これがよく燃える。

疫病が発生せぬように火葬し、埋めて行く。

 負傷者は敵味方問わずに治療していた。

明智印の塗り薬、服用薬が大活躍。

これ幸いと新製品も試した。

戦場は新薬や新治療法の実験場だ。

喜んでいいのか、・・・どうかな。


 夕刻近く、黄昏ていた私のところに参謀・大石蔵人が来た。

後ろに見慣れた顔を連れていた。

稲葉山城で使番を務めている者だ。

四人目に抜擢した参謀・片岡源太郎からの言伝を持って来たのだろう。

二人して顔色が悪い。

何となく予想がついた。

「美濃より使番が参りました」

 使番が跪いた。 

「殿、ご実家が兵を挙げました」


 やはりな。

六角の手が伸びているのは知っていた。

でも詰問の使者は出さなかった。

実家は私の家来ではないし、物証もなかった。

好きにやらせる事にした。

「どのように動いた」

「殿の留守を狙って稲葉山城へ軍勢を向けました」

 私が稲葉山城を落としたのを真似たか。

「数は」

「近隣の兵を糾合して千」

 だろうな。

その程度だろう。

「して」

「途中で包囲殲滅しました」


 腐ったものは切り捨てるしかない。

事前に私はそう申し渡して置いた。

「父上は」

「ご立派な最期であったそうです」

 父よりも供にされた者達が悲しすぎる。

地縁血縁で断り切れなかったのだろう。

でももう遅い。

合掌。

「他は」

「お兄上様や叔父上殿はご参加されてなかったので、ご無事です。

ただいまご実家で謹慎中です」

 関わった家は例外なく全て取り潰す。

残された者達は帰農するか、領外に去るか、それとも最後まで戦うか、

彼等自身に決めてもらう。


 二日後、私は浅井家の居城・小谷城に向かう事になった。

浅井久政の討ち死を受けて小谷城が開城した。

それに伴い浅井家の降将達の扱いだけでなく、

美濃勢の論功行賞もあるから、

総大将は小谷城へ急がれたしと使番が来た。

 関ケ原の後始末も済んでいないので私は旗本隊のみで移動した。

小勢ではあるが距離も近い。

早さを優先させた方が安全であると判断した。

 旗本隊千名の隊長は千人頭である近藤勇史郎。

先手百名を率いているのは百人頭の沖田蒼次郎。

二番手には斎藤一葉。

三番手には長倉金八。

四番手には山南敬太郎。

五番手には近藤勇史郎。

そして後方の五百名を率いるのは五百人頭の土方敏三郎。


 その途中を襲われた。

山中から伏兵が湧いて来た。

およそ百。

彼等は一斉に馬印と旗印のある部隊に突入した。

 敵が集中したのは五番手の近藤勇史郎の隊列。

騎乗の者達で厚いところへ殺到した。

敵が私に狙いをつけてるのは明白。

怒鳴り声がした。

「あの細い奴だ」狙いを絞った。

 その細い奴が落ち着いて従者から槍を受け取ると、

馬上で軽く振り回し、向かって来た二人に槍を繰り出した。

目にも留まらぬ早業。

遅れて噴き出す鮮血。

 従者も刀を抜いて防戦に務めた。

それ以上の敵の接近を許さない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 名前が新撰組みたいなのは主人公がそう名付けたから? [一言] 光秀どうなるんだろう 信長にやるくらいなら殺して欲しい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ