表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
oh! 銭ぜに銭 ぜに銭ぜに。  作者: 渡良瀬ワタル
14/248

(稲葉山城)2

 妻子の消息を心配する義龍の代わりに長井が質問した。

「その姿だが、武具を身につける暇もなかったのか」

「いいえ、そう言う訳ではありません。

負けたので身包み剥がされました。

刀も腹当ても取り上げられて城を放逐されました」

「全員か」

「全員です。

戦死した者もです」

「徹底してるな」

「代わりに負傷者は全員手当てを受けています。

その薬代と手間賃だそうです」

「珍しいな。

敵にも治療を施すとは。

しかも薬代と手間賃か」

「死体は全て城から出されております。

その担ぎだしは我等に課されました。

一晩だけですが、我等は城下での宿泊を許されております」

 珍しい事ばかりを聞かされ、皆して相手の正体を掴み兼ねた。


 翌朝はせわしなかった。

陣払いを済ませると、全軍で稲葉山城へ急いだ。

道三軍や織田軍は敢えて無視した。

追撃して来れば反転して殲滅するだけ。

気概が見て取れたのだろう。

両軍はおずおずと距離を空けてついて来た。

昨日の一戦で疲弊したのか、動きがのろい。

一足先に城下町へ向かわせた物見が次々に戻った来た。

「城下町の入り口にお味方の死体が山積みされています」

「城門は閉まっています。

掲げられている旗印は赤い桔梗紋二つ。

城内各所に兵が配置されています」

「城下町に伏兵はおりません。

お味方の兵が続々と城下町から出てきます。

何れも平服です」

「山の手に伏兵はありません」


 斎藤義龍は決めあぐねた。

「長井」発言を促した。

 長井道利が献策した。

「城攻めは性急すぎます。

まず道三軍と織田軍への備えを置き、残りで城を囲みます。

それで降伏勧告の使者を送りましょう。

何者なのか正体を探らなくては対処の仕様がありません。

その話し合いの間に味方を収容する、如何でしょう」

「誰を送る」

「一人は私。

他に幾人か。

見る目が多い方がいいでしょう。

ついでに山伝いに物見を送りましょう」


     ☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ