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Seventh mystery

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「フワァ~」


 僕はあくびをしながら寝室を出た。

 やはり明日のことが気になって、よく眠れなかった。

 とりあえずシャロールが起きてきたら朝ごはんをもらおうかななんて考えながら椅子に座った。

 それにしても、僕はここの家族じゃないのにどうして彼らはこんなによくしてくれるのだろうか。何か裏があるのか、それとも恩義か。


「嫌!!!」


 ん?

 今のはシャロールの声?

 寝室からお母さんが出てきた。


「どうかしたんですか?」


「全く、あの子ったら……」


「あなたと顔を会わせたくないって言うのよ」


「え?」


 何か嫌われるようなことをした記憶はない。

 まさか昨日のあのことに気づいたのかな。

 それなら素直に謝ろう。


「僕、とりあえず謝ってきます」


 しかし、立ち上がった僕をお母さんが制した。


「いいのよ。放っておいてあげなさい」


「あの娘はあなたに負い目があるのよ。私もだけど」


 なるほど。確かにそうかもしれない。

 僕は死んでも平気だから案外気楽に考えていたが、おそらく僕以外は死んだら終わりなのかもしれない。未だにこの世界のことはよくわからない。


「待っててね。朝ごはんを用意するから」


「ありがとうございます」


 僕は朝ごはんを食べながら、シャロールの心配をしていた。


「今日の決闘は……前にもいったけど逃げてもいいのよ」


「私の病気を治してくれただけでも十分感謝してるから。どうか無理はしないでちょうだい」


 お母さんの目が少しうるんでいる。

「はい、わかりました」


 もしかすると、彼女達が僕によくしてくれたのは最後の晩餐という意味もあったのだろうか。

 死ぬ前にこの家族と楽しいひと時が過ごせてよかった。

 ……まあ、死んでも生き返るんだけど。


「大丈夫です。僕はただでは死にませんから」


 そう僕が意気込むと彼女は少し笑って


「そうかい」

 とだけ言った。

 その後、僕は準備をして家を出た。

 結局、見送りにもシャロールは来てくれなかった。

 寝室からは彼女のすすり泣く声がかすかに聞こえていた。

「じゃあ、行ってきます」


――――――――――――――――――――


 ギルドに着いて、しばらく待っていると奴らがぞろぞろやってきた。


「逃げずにやってきたか。そこは褒めてやろう」


「誰が逃げるかよ」


 僕はこう言い返したが、本当は怖かった。


「ふんっ。ここじゃ人目につくから場所を変えるぜ」


 またあの森に行くのだろうか。

 そうなったらこいつらに囲まれて、殺されてしまう。経験済みだ。


「人目につかないところじゃないと勝てない卑怯なドラム君だから、しょうがないな~!」


 僕が大声で叫ぶと、ドラムは激昂してこう言い放つ。


「なんだと!? じゃあ、そこの広場でやってやろうじゃないか!」


「ちょ、兄貴!? 計画と違うじゃないっすか!」


「負けそうになったらどうするんですか!?」


 ドラムにこんなことを言ったまぬけな奴が殴り飛ばされた。

 どうやら相当お怒りらしい。

 広場に着くと、お互いに剣と防具を装備した。


「さあ、始めようぜ」


「ああ」


 僕が返事をするや否や、ドラムはこちらに全速力で走ってきた。

 そして、剣を頭上高く掲げて、僕に向かって振り下ろす。

 僕はなんとかかわそうとするが、間に合わない。

 しかし、ここで昨日の練習を思い出した。

 相手の攻撃を受け流すにはこう構えて……。


 ガキィン!


 まずい、こいつ馬鹿力だぞ。事実馬鹿だし。

 こんな付け焼刃の技術と高校生の僕の体だと数発耐えるのがやっとだ。

 かといって、逃げることもできない。

 いや、逃げてどうする。そんなことしてもどうにもならない。

 シャロールのためにもどうにかこいつを……けれど……。


 勝てない。


 僕がそう思ったと同時に強烈な一撃が僕の腹に入った。

 さきほどの攻撃で上からの攻撃を防いでいた僕の両手は、突然の横からの攻撃へ反応できなかった。


 意識が遠のいて……。

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