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First mystery

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「まぶしい!」


 僕は窓から差し込む朝日で目が覚めた。

 昨日は疲れてすぐに寝たので気づかなかったが、部屋には窓が一つあった。ここから朝日が差しているようだ。


 ピコン!


 <メッセージを受信しました>


 <確認しますか? はい/いいえ>


 ん?

 メッセージ?

 僕は不審に思いながら、メッセージを確認することにした。

 するとそこにはこんなことが書かれていた。


 <おはようございます! 突然なんですが、面白そうなのでスライム討伐に行ってみませんか? byシャロール>


 なんと! 昨日の女の子からメッセージが来ているではないか。

 僕は特に予定もなかったので、すぐに返事をした。


 <いいですよ、行きましょう。 by佐藤>


 それにしても、このゲームのスライムはどんなやつなんだろう。

 強い……ことはないだろうけれど油断大敵だ。

 そんなことを考えているとまたメッセージが来た。


 <よかった! ギルドの前で待っていますね。 byシャロール>


 よし!

 そうと決まれば早速準備だ。

 武器や防具を装備して、部屋を出た。

 ギルドの入り口にはもうシャロールの姿が見える。すでにギルドにいたのかもしれない。


「おーい!」


 僕がシャロールに声をかけると、彼女は振り向いた。


「あれ? もうギルドにいたんですか?」


「もしかして泊ってました?」


「そうだよ」


「へ~。どうでしたか? ここのベッドは」


「噂では寝心地が悪いそうですけど」


 昨夜は疲れていたから、そんなこと考えなかったな。


「ぐっすり眠れたよ」


 彼女は少し意外そうな顔をした。

 しかし、すぐに目をキラキラさせて


「そんなことより、早く依頼を受けに行きましょうよ!」


 と言った。

 僕もそう思っていたので、一緒にギルドに入る。

 そして、依頼板の前に立った。

 そこにはいろいろな依頼が書かれた紙が貼ってある。


「これです!」


 彼女が指さした紙を見るとこう書かれている。


 <依頼:スライム討伐 報酬:10ピロー/匹 おすすめレベル:1~ 概要:初心者にお勧めのスライム討伐です>


「はい、わかりました。スライム討伐ですね。では、担当の職員を呼びますので少々お待ちください」


 こんな声が聞こえたので受付を見ると、シャロールはもう受付にいた。

 僕が依頼を読んでいる間に、討伐に行くことを受付に伝えたようだ。


 それからしばらくすると、優しそうなおじさんが奥から出てきた。

「おっ、あんたらがスライム討伐に行く冒険者かい?」

「はい、私たち初討伐なんです」

「お~、そうかそうか。張り切っていくんだぞ」

 おじさんは笑顔でそう励ましてくれた。


――――――――――――――――――――


 しばらく歩き、町の外に出ると、そこには野原が広がっていた。

 どこまでいっても緑色が広がっている。

 しかし、どこかおかしい気がする。

 というのも、モンスターがまったくいないのだ。

 まるで、あらかじめ誰かに討伐されているようだ。

 僕は思ったことをギルドのおじさんに伝える。


「そうだなぁ」


「まあ、冒険者は一人じゃないんだ。誰かが先に討伐しちまったのかもしれんなぁ」


 確かに、そんなこともあるかもしれない。

 僕は無理やり納得しようとした。

 すると、シャロールがこんなことを提案した。


「スライムって、じめじめしてるところが好きそうじゃないですか?」


「だから、あの森に行ってみませんか?」


 彼女は木が生い茂っている場所を指さした。

 野原にはもういないが、森にはいるかもしれないとでも思ったのだろう。

 しかし、おじさんは


「森はちょーと苦戦するかもしれないぞ~」

「スライムよりも強いモンスターもいるだろうな~」


 と言って脅してきた。

 それでも彼女の目はやる気に満ちていたので、おじさんは折れてこう言った。


「まあ、いざというときはおじさんがついているから安心しな。はっはっは」


 ということで、僕たちは森に入った。


――――――――――――――――――――


 幸運にも、森にはスライムがいた。

 これで、報酬金を受け取ることができる。

 食事ができることに感謝しつつ、スライムを倒していく。

 彼らはとても弱く、剣で一刺しすれば倒せるので考え事をしながらでも倒せる。

 楽な依頼で本当に良かった。

 

 ガサッ。


 後ろで物音がした。

 スライムだろう。

 そう思い、振り向くとそこにスライムはいなかった。


 人間だ。


 その人間は剣を構えて、こちらをじっと見つめている。

 彼もスライム討伐に来たのか?

 いや、彼の眼はまるでスライムでも狩るかのような眼だ。

 本能的に危険を感じた僕は目の前の人間に背を向けて逃げ出した。

 すると、目の前から少し離れた場所にいたギルドのおじさんが何かから逃げるように走ってきた。


「おい! そっちに行くと殺されるぞ!」


 おじさんはそう叫んだ。

 前をみると数人の男達が走ってきている。

 しかし、後ろからも何人かが来ている。

 僕たちは謎の男達に取り囲まれてしまった。


「お前達の目的は何だ!」


 僕はそう叫んだ。

 すると男たちは笑い出した。


「かわいそうに、だまされたことに気づいていないみたいだぜ、こいつ」


「こりゃあ、傑作だ」


「冥途の土産に説明してやったらどうだ、シャロール」


 シャロール?

 どうして彼女の名前をこいつらが知っている?

 知り合いなのか? それとも同じ名前の別人?


「ごめんなさい!!!」


 シャロールの大きな声が聞こえた。

 ここで僕は彼女が僕たちを包囲する謎の男達の後ろにいるのに気づいた。

「謝る必要はないだろう、どうせこいつらは今から死ぬんだからな」

「少しは金目のものがあるといいがな」


「そろそろ片付けるぞ、おまえら!」


 誰かがそう言うと、彼らは一斉に襲い掛かってきた。

 僕らは抵抗もむなしく、殺されてしまった。

 最後にシャロールのか弱い声が聞こえてきた気がする。


「仕方なかったの……」

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