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悪夢

ある日のことである。

彼が卯を食べたのは、

私は目を疑った。

「何を食べてるの?」

私は聞いた、息を飲んで聞いた。

飲まずに聞いていられるか……だ。

「何って?何が?」

そう言って、彼は、卯をゴクンと飲み下すと、

次は何処からか取り出したパンを二枚に切って、

卯をまた、鞄から取り出す。

彼は、私の夫であって、夫ではないことに気づく。

「あんたは誰なの?」

彼は、平然と、ジタバタしている卯を、二枚のパンで

サンドすると、血に染まった卯には、

もう、既に息など無く、吐いたところで、血だけが飛び出る機械へと様変わり。

「僕は、僕だよ」

いや、辞めて!そんな顔で言わないで、

「私は貴方を殺すわ!」

家の扉を開け、中に入る。

入ると、そこには、猫がいた。

猫は見知らぬ猫である。

全身黒い毛に覆われた猫が、

ニヤリと人間のする気持ちの悪い表情をして、

「君をサンドするかいねぇ、友よ」

私は振り返る。

太陽はあるが、彼によって、掻き消された光、

どうやら、私はここまでのような気がする。

「あっ……あっ……」

なにも言えない、

助けてと言ったって、

希望が見えないこの気持ちは何なのだろうか?

「さぁ、我々の食物としようぞ」

「えぇ、えぇ、同胞よ」

一人と一匹に囲まれる私は無力だ。

抗えぬほどの無力、唯一できることは恐怖することだけ、

「終わったわ、何もかも終わり、」

そう思った。

その時だった誰かが私を呼ぶ声が聞こえたのだ。

「起きて、起きて、」

という言葉、他でもない本物の貴方の声が、

私はその声の方へと走る、走る。

「「おいぃぃぃぃ、まてよぉぉぉ、おまえぇぇよぉぉぉ」」

二つの邪悪な声に追いかけられて、私は逃げる、逃げる。

戦う術はあるかもしれない。

しかし、知らなければ逃げるのみ、そう、逃げるしか道がないのだ。




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