プロローグ
「お兄ちゃん、起きてよ〜」
目を開けると、妹の秋穂が俺の顔を覗き込んでいる。
「早く起きないと遅刻するよー」
と言いながら俺の体をベットから引きずり降ろそうとしている。
「あーわかったから引っ張るな。」
「朝ごはん出来てるから早く降りてきてね。」
秋穂は俺の部屋から出て行った。
下に降りるとテーブルの上には料理が乗っていた。いつもの平和な朝だ。
おっと、ここで自己紹介しておく。
俺は宮沢優。浜崎市の浜崎高校に通う高校2年生。妹の秋穂も同じ学校に通っている。同じ高2。家には俺と妹の秋穂と2人暮らしだ。両親は海外で仕事をしているから、家にはめったに帰ってこない。
自己紹介はこの辺で。
朝ごはんを食べ終わると、時間の余裕がなくなってきたので、急いで家を出た。
「待ってよお兄ちゃーん!!!」
後ろから秋穂が追ってくる。家から学校までは歩いて10分と近い。
遅刻ギリギリで教室に滑り込む。後ろにはいつの間にか追いついた秋穂もいた。
「おっす、優、秋穂。」
「おはよう、準」
「おはよう、準君。」
幼馴染の神崎準が挨拶してきた。準とは小学校からずっと同じクラスだ。これはある意味奇跡だと思う。
「おーい、みんな席に着けー」
担任の高岡先生が入ってきた。今日は入学式なので昼までで終わる。クラスのみんなは午後遊びに行かないかなどと話している。
「今日は、入学式で昼までで授業がない。連絡は以上だ。みんなとっとと廊下に並べ。」
先生は手短に連絡を済ませると、みんなを廊下に並ばせた。
入学式が終わり、下校の時間になった。
「お兄ちゃん、帰ろうか。」
「ああ。準、帰るぞ。」
俺はまだ友達としゃべっている準に言った。
「俺はこいつらと今から遊びにいくからおまえら2人で帰ってていいぞ。」
「わかったよ。秋穂、帰るか。」
「うん。」
家に着くとのどが渇いたので冷蔵庫を開けた。
「なんだ、ジュースはないのか…ん?奥にあったか。」
俺は奥にあった赤い色のジュースをがぶ飲みした。
「なんか…あまりうまくないな。まあいいか。」
秋穂は夕飯の買い物をしに行ってるから家には俺しかいない。俺はゲームをしたりして時間を潰していた。
「ただいまー!!」
秋穂が買い物から帰ってきたみたいだ。俺はゲームも飽きて、特にすることがなかったので風呂に入ることにした。
風呂からあがると、ちょうど夕飯ができていた。俺はご飯を食べると強い眠気に襲われたので、自分の部屋に入ってすぐに眠った。
次の日、朝早くに目が覚めた。すると、自分の体がやけに軽いことに気がついた。
なんか体が軽いし、胸が重いような気が…
体を起こすと、自分の胸に2つの山があった。しかも、起きあがったときにサラサラしたもの
が視界に入ってきた。
俺は部屋にあった鏡で自分の姿を映した。すると、鏡には息を呑むほどの美少女がいた。
その子に向かって手を伸ばすと、鏡の向こうの美少女も手を伸ばした。
「まさかこれって、俺なのか?」
自分の声よりも明らかに高い凛とした声が自分の口から出た。
そして、ようやく今の状況を理解すると、可憐な声で絶叫した。
「えぇーー!!!」