香り
「待ちに待ったよ……」
最近、インターネットで見つけて興味を持ったアロマテラピー。ついに今日、残り少ない小遣いを使い果たし、一式を揃えたのだ。
無駄遣いだとは思っていない。こんな浪費は学生にしかできない特権だと思っている。
花の香り、森の香り、果物の香り……
種類の多さに迷ったが、結局、ラベンダーとラズベリーのアロマオイルにした。ラベンダーは代表格、ラズベリーは単純に好きな果物だったからだ。
「楽しみだなぁ」
想像するだけでワクワクする。
部活をやっているので帰りが遅く、時間はあっという間に過ぎる。
お風呂入って、ご飯食べて、歯を磨いて、勉強は……とやっていると、日付が変わる前にはベットの中___とても忙しい学校生活を送っている。
今は、その内のひとコマ、自分の部屋にいる。至福のひとときだ。
だからこそ、この時のためにとアロマテラピーを選んだのかもしれない。
「もう寝よっかな。疲れた。」
明日も早い。アロマの匂いに包まれながら寝よう。
内心、思いながらアロマが入った機械の電源を入れた。
今日の香りはラベンダー。安眠効果があるらしい。
「いい香り……」
薄れた意識の中に漂う香り___何だか心地よい。
彼女はとても深い眠りについた。