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人間嫌いの魔人間と脳内嫁の聖女  作者: めんどくさがり
6.社会不適合民隔離施設
48/82

四十一柱目 獣人・ジャガー・ジャック

 もはや視界を遮る煙は無い。

 俺はアルスの姿を探しながら叫んだ。


「アルス! 狙撃に警戒しろ!」

「わぁーってるッ! っせぇなッ!」


 声のするほうを見ると、なるほど聖女の三人を逃がしているところだった。


「思いのほか仲間思いなのか」

「使える手下を減らしたくないだけだ。んで、狙撃野郎はどうした」

「さすがに位置がばれたから移動したんだろう。まだ近くに居るかもしれないから警戒しててくれ。俺は事情聴取するから」


 狂信者改め、黒猫少女Jに歩み寄ろうとした瞬間、再びあの殺気が俺の全身を襲った。

 しかし俺は歩みを止めない。当然の報酬とばかりに銃声が響く。


 だが銃弾が命中することはない。

 思わず笑みが零れた。

 

「無駄だ」


 この空間には、未だ俺の魔力が飽和状態で存在している。

 エアリエルとは俺の魔力が生み出した、人工精霊の一種。俺への攻撃は俺が意識することもなく空気の壁と暴風によって捻じ曲げられ、掻き消される。


 そしてそれは俺が望みさえすれば、俺以外の人間をも守護する。

 立て続けに響く銃声と空気を裂く銃弾は、Jの傍の地面を抉る。


「最悪。情報の流出も防げないなんてね」


 悪態と共に、屋上に姿を現す影。


「お前か、射手は」

「初めまして、敬虔なる勇者様。私は狂信者のG。もしくは親しみを込めてグィルシアちゃんと呼んでね?」

「どうも、勇者のレクトだ。よろしくグィルシアちゃん」


 狂信者のG、グィルシアと名乗る長い黒髪の乙女。

 夏だというのに全身を季節感ガン無視の黒いコートで覆い、鋭い眼光をこちらに向けている。

 左手にある黒い横長のケースには恐らく狙撃銃が入っているのだろう。


「殺せればそれで終わりの仕事だったけど、殺せなかったから一応伝達しておくわね。勇者レクト、貴方には背信の容疑がかかっているの」

「背信? なんでまた」

「貴方、勇者にあるまじき黒い炎を出したそうね。それもこの聖都で、よりにもよって高々と天をも焦がす勢いで」


 記憶を探れば、すぐに思い当たる。

 アルスと戦った時のアレだ。

 俺の黒炎の柱が、歓喜のあまりに加減を間違えてしまった時の。


「あれから各地で邪教や異教の動きが活発化してるの。しかも聞くところによれば、貴方は最近ここに来たばかりの、いわば外部の勇者らしいじゃない。大人しく連行されなさい」

「嫌だよ。どうせ異端審問とかかけて俺を殺す気だろ」

「まあ、そりゃそうね。疑わしきは神に委ねるってことになってるから」

「直送はやめろ」


 なんだこいつら。生贄するタイプの邪教と大して変わらないぞ。

 しかし、まさか黒い火柱一つで邪教が活発になるなんて思いもしなかった。影響受けすぎか。


「まあ、わからないでもないが……」

「というわけで、大概拒否されるから初手で殺せれば手間も無くていいかなって」

「それで、失敗したわけだが、まだ続けるのか?」


 人工精霊を維持するのも疲れるんだ。そろそろヤるのかヤらないのかハッキリしてほしい。


「いいえ、今日は引き上げるとするわ。無駄死にこそ怠惰だもの。ジャックはとりあえず預けとくわね」

「怠惰、ね」


 ジャック、それがこの獣人の名か。

 ナイフ使いのジャック……ジャックナイフ?


「それじゃ、また近いうちに」


 グィルシアは呑気に徒歩で去っていく。

 そういえばこれほどの騒ぎになっておきながら誰一人として野次馬がいない。


「おい、追わなくていいのかよ」

「今はまあ……俺も疲れたし。まずはこの子から話を聞かないと」


 一先ずは解散とし、俺はジャックを抱えて自室へと戻ることにした。






 狂信者J、その名はジャガー・ジャック。

 ナイフを駆使して戦う獣人であり、手足は黒い毛に覆われ、黒髪からは三角のネコミミが存在する。

 年齢は分からないが、見た目はリムルやブッキーと変わらない少女系だ。


「失敗した……」

「そう、君は失敗した。俺を殺せず、アルスも殺せなかった」


 俺は年端もいかない少女を椅子に縛り付けた状態でベッドに腰をかける。

 傍から見れば完全に犯罪者。悪人と呼ばれるに相応しい構図。


「私は狂信者。どんな責め苦も甘んじて」

「だが、俺は君を許そうと思う」

「受ける……えっ?」


 叱られることを覚悟していた子供が、肩透かしをくらってきょとんとしている。

 いや、もっと残酷なことをされると思っていたのだろう。つぶらな瞳に浮かんでいた涙がまた不憫さを思わせ、庇護欲を掻き立てる。


「その代わり、教えて欲しいことがある」

「教えて欲しいこと……?」

「狂信者のこと。そしてお前のことだ」


 狂信者とはなんなのか。ジャックやグィルシア、新勢力を相手にするのだから、情報は得られるだけ得たい。


「嫌」

「えぇ……」


 なんでや! 絶対答えてくれる流れだったやろ!


「邪教に教えることなんてないです」

「なんて敬虔な……」


 まずいな、どうするか。

 俺に人を甚振る趣味はない。ましてやこうも可愛いキャット・シー。半分人間とはいえ、人間嫌いとはいえ。

 それに俺は猫派だし。<黒の太陽>はジャガーを神聖な生き物としているし、猫科だし。


「お前の猫好きは分かったから、その雌猫を結局どうするんだよ」


 リムルにケツを蹴られ、俺はリステアを見る。


「どうしよう」

「エリザの黄金号令なら、ある程度の強制力があるので強引に自白させることができるかもしれません」


 そういえばエリザの神通力はそんな感じだったな。

 神通力は悪魔や魔物に対して特効力がある。だが、普通の人間にもある程度の効果が見込める。

 エリザの黄金号令は絶対服従を強制させる力。


 というわけで、エリザに黄金号令を頼んだのだが、彼女は渋い顔をする。


「どうかしましたか、エリザ」

「……リスティ、貴女は私の親友ですわ。親友の頼みとあらば、是非力になりたい」

「はい」

「しかし、私は聖女として、狂信者に手を出せません」

「どういう意味ですか?」


 そういえば、勇者は狂信者に逆らうと異端扱いされるとか聞いたな。聖女にも適応されるのか。


「狂信者とは、いわば正教における内部の暴力装置。過激派は正教にとっての利となるなら、それが神の教えや国の法に反していても行う。ある意味敬虔すぎる者たちなんですの」

「正教にとっての利……まさか」

「そう。正教の利を害する者は、それが何人であれ異端と指定されますわ。教義や法律に縛られない過激派だからこそ、王族でさえ手に余る」


 なるほど、それは手が出しにくい。

 ましてや聖女が狂信者を神通力で従わせたとなれば、完全に悪者扱いされるのが目に見えている。


「どうしますかレクト」

「ふむ……」


 花王エリザベスは貴重な協力者だ。そう簡単に捨て駒にはできない。

 かといって、このままではジャックから情報を引き出せない。

 手詰まりだ……というか俺はもう完全に異端者扱いされるってことだな。


「でも妙だな。俺は異端者なのに、リステアは攻撃されなかった」

「基本的に狂信者は指示外のことはしませんわ。判断は全て過激派の幹部に任せているのでしょうね。それにリステアは百年に一人と言われる銀髪の聖女。簡単に異端として処理するわけにもいかないでしょう」


 銀髪、リステアの聖女としての価値はトップレベルなわけだ。

 しかしどうする……ふとエリザが立ち上がった。


「仕方ありませんわね。ならばこの花王エリザベス、一肌脱がせていただきます!」

「いいのですかエリザ」

「待て待て、早まるな。今考えてるから」

「安心なさいなレクト。リステアの友人として、将来の王として私はそのジャックと顔を合わせるのです。聖女として相手を屈服させるためではありませんのよ?」


 かなり自信があるようだ。

 それもそうか。彼女の持つカリスマは世間が認めている。

 エリザならたとえ貧民からだって王に成り上がれる。そんな気すらするほどの人格と才覚を持っている。


「そこまで言うならよろしく頼む」

「あの、なんで本人の前で相談してるんですか……?」


 エリザはジャックの問いに答えず、堂々と胸を張り、猛々しく名乗りを上げる。


「初めましてジャック! 私は花王にして聖女エリザベス。いずれこの国の女王となる者!」

「じょ、女王さま?」

「その通り! 少女が人生に一度は夢見る姫、乙女が羨む王女様。その最終形態となる者ですわ!」


 なんてテンションが高いんだ。この女王様は。

 ジャックは圧倒されて引いているように見えるが。


「ふふん、どうですジャック。生の女王様をこんなにも近くで見た感想は」

「あの……す、すごいですね」


 あ、語彙力の無い子供らしい返答だ。少し親近感を抱かざるを得ない。

 しかしエリザはその答えで納得したらしい。満足そうな笑みを浮かべて、跪く。

 視線の高さをベッドに座るジャックに近づけ、手を差し出す。


「ではジャック、貴女をこの国の民として、私の友人となることを認めますわ!」

「あっ、はい。ありがとうございま……えっ?」


 ジャックはきょとんとした表情でエリザを見ていた。

 当然だ。俺も不思議に思っていた。

 国民が女王様の友人となる。ちょっと難解だ。


「どうかなさって? それとも、私は貴女の友人には相応しくありませんかしら?」

「い、いえ、そんなこと……その、びっくりして」


 無理も無い。いきなり一国の女王と友人になるなんて、突拍子も無さ過ぎる。


「あ、そういえばそうでしたわ。最初は誰もが驚かれるんでしたね。なぜか」

「なぜかって……」


 ふとエリザは立ち上がる。

 胸に手を当て、時に首を横に振り、踊るように演説を始めた。


「私はねジャック、知っての通り女王様。この国を統治し、人々の上に立つ身分にある者ですわ」


 踊るように、謳うように。

 しかしその言葉に偽りは感じ取れず、全てが心の底からの叫びであるかのように。


「でも、王とて民の一人に過ぎません。神の下に全ての人が平等であるならば、王が成すべきは何か……それは、身分を越えた友情」

「ゆう、じょう?」

「そう、友情ですわ」


 優しさが込められ、しかし力強い言葉に、心が解けていくような安心感。

 その声は花の香りのように、聞くものの心地を良くさせる芳しさ。


「私たちは神の下に平等。ならば王がすべきことは、人の上に立って私腹を肥やすためではありません。国民全ての手を取って、共に一致団結して試練を乗り越えること」

「っ……!」

「喜ばしいことがあれば共に祝い、悲しいことがあれば共に泣き、困難を前にすれば共に悩み、争いが起これば共に治める。嬉しい事があれば、また祝う」


 それはあまりに理想的で、あまりに夢見がちだと言ってしまいそうな事。

 でもそれを他ならぬ王が口にしている。神の下に平等であるという言葉のとおりに。


「だから、私は民と友達になるのです。神の下に平等であるという証明として。身分とはまた別の、私的な在り方として」


 エリザが私的な聖女であるか、それとも公的な王女であるか。

 彼女は自身の言葉でそれを示した。


「ジャック、貴女もまたこの国の民、私の友人です。これからきっと楽しくなりますわよ」

「ゆうじん……楽しく?」

「ええ、貴女の喜びを分かち合い、苦しみを分かり合う。これからはずっと一緒ですわ!」


 今度は立ったまま、ジャックへと手を伸ばす。


「ジャック、私の大切なお友達!」

「女王様……」

「エリザとお呼びなさい!」


 差し出された白い手を、ジャックは恐る恐る、しかし誘いに抗うことすら忘れて握った。

 瞬間、小さな体がふわりと浮いた。


「っ!」


 気が付けば、ジャックはエリザの腕の中だった。


「おかえりなさい。ジャック」

「エリザ……えりっ、ひぐっ……」


 ちょっと、ちょっと眩しい。尊すぎない?

 魔界ではまず見られない光景だ。これは相当のカリスマですね。

 花王エリザベス。ある意味、リステアよりも聖女している王女。


「ジャック、私たちはもうお友達。私に貴女のことを教えてくださいな?」


 ふと、もし親友と友人が対立したら、どちらを取るのかという邪念が湧いたが、この女王様ならきっと両方取るに違いない。

 王様と言うのは傲慢で、そして強欲なのだから。





 ジャック……その名は洗礼によって授かった名である。

 彼女はまだ赤子の頃に教会で発見された。いわゆる捨て子だ。

 この辺りでは珍しい獣人の赤子。

 だが完全な獣人ではなく、人間らしい部分が比較的多いためハーフだと予想された。


 今の正教は天上の主のみを信仰すれば、種族による差別はしない方針だ。

 だからジャックと名づけられた彼女も、正教の人間として教育された。


 さて、ハーフとはいえ獣人の身体能力は凄まじい。

 ましてやそれが捨て子となると、どのような教育があれど表に知られにくく、また守ろうとする者は居ない。

 そこに過激派は目をつけ、彼女を勧誘……もとい誘拐した。


 親に捨てられた悲しい子よ、その感情は正しい。

 その悲しさは人の罪業の証である。それは正しく罰せられなければならない。

 あなたは神と、神に仕える我々に拾われた。あなたは神の慈愛に報いなければならない。


 神に救われた命を、神のために使うことこそ、真の信仰である。

 神のために最もその手を汚し、足を汚し、罪人の血を流すことこそが、あなたにしかできない善行なのだと。


「どうしてママは私を捨てたの?」


 ジャックは問う。

 初めての任務、胸が押しつぶされそうな罪悪感の最中、ずっと<ママ>は怯え震えながら「ごめんなさい」と繰り返していた。


 もしこの時、<ママ>が事情を説明し、彼女に抱き締めてあげれば、ジャックは狂信に取り付かれなかったのかもしれない。


 <パパ>はもう死んでしまった。全身を毛で覆われた獣人。

 その実力は獰猛な獣。少女一人では手に余る。

 それでもジャックが<パパ>を殺せたのは、過激派の調教の賜物だった。


 罪悪感ではなく、ただの恐怖によって吐き出される謝罪の言葉が何度もジャックの心を切りつける。


 心臓を一突き、喉元を切り裂けば、生き物は死ぬ。少なくとも人間は死ぬ。

 魔物を殺すのには魔法や奇跡が必要だ。でもただの生き物を殺すのに必要なものは、刃物一本にも満たない。


 もしかしたら、幼い少女の外見に油断しきっていたのか。数回しか嗅いだ事の無い娘の匂いに途惑ったのか。今では知る由もない。


 森の奥、小さな小屋で一匹の獣人と女性が惨殺された。

 結局ジャックがその理由を知ることは出来なかった。

 単純に足手まといだったのか、それとも子供という存在に愛情を注げないと悟ったのか。

 とかく、彼女にとっての真実は、自分が両親に捨てられて、受け容れることすらしてくれなかったということだけだ。


「神様……」


 そのとき、ジャックは不意に思い出した。

 全ての人間は、神様の子供なのだと。

 もはや愛するべき両親が居ない彼女にとって、親と呼べる者が居るとしたらそれは、この血に濡れたナイフをくれた神様以外になかった。


 最初の任務、最初の殺戮。幼い少女の親殺し。

 彼女は狂信に目覚めた。




「それから、たくさん殺したよ。神様パパのためにたくさん練習して、神様ママのためにたくさん殺した。神様が罪人に騙されないように。私は神様パパに会いたい。それで、いっぱい抱きしめてほしい。いっぱい、愛して……にゃむぐっ?」


 そこまで聞いて、エリザはジャックの口を止めるために抱き締め、顔を胸に埋めさせた。

 ただ無言のままに、ジャックが無邪気に唸っても、エリザは強く、しかし苦しめないように抱き締めた。


「むー、むー」

「レクト」


 エリザはジャックではなく、俺に問いかけた。


「貴方は、貴方なら、どうなさいます?」


 それは、どういう意味だろう。

 俺がエリザだったら、彼女をどう救うかと言う話だろうか。

 それとも、俺がジャックだったらどう行動したか、と言う話だろうか。


「貴方に、この子を救えますか?」


 そっちか。なら簡単だ。


「無理だな。既に救われている者を救うことは出来ない」


 ジャックはもう自分の答えを見つけている。

 自分がどうすればいいのか、どうしたいのか。

 それが狂信であれ妄信であれ、調教の一種であれ洗脳の成果であれ、もはやそれがジャックだ。


「俺がするのは、求め欲する者に、それを達成するための力を与え、道を示すことだけだ。もっと切れ味の良いナイフが欲しいとか、な」

「むーっ!むーっ!」


 どうやら欲しいらしい。

 そういえばナイフはほとんど俺が叩き折ってしまったんだった。可哀想な事をしたな。

 ではどうするのか、リステアに問われる。


「レクト。どうしますか?」

「ふむ……とりあえず、ジャックはお前の好きにすればいい」

「えっ、あっ? 私!?」

「俺は仮にも異教徒。ジャックとはちょっとアレだ、合わない。リステアはこれからは俺と一緒だし」


 ふとジャックがこちらを向いた。

 その瞳には、あの時と同じ殺意。


「殺さなきゃ」

「あっ、そうだ。って感じに思い出したな?」

「ストップ! ジャック! 待てですよ! ハウス!」

「それ犬にやるやつ」


 ジャックは未だ狂信の徒。俺には殺意を向けている。

 さて、一国の主となる者。どう捌くか。


「ジャック、彼も私の友達です」

「えっ、でもこの人は……」

「大丈夫、私の友達なのですから、親友とはいかなくても友人にはなれるはずですわ!」

「……でも、罪人は裁かないと、神様パパが」


 さすがに友人よりもパパのほうが優先されるらしい。

 まあ産みの親だし。


「ふふ、産みの親とか……」

「レクト、あまり昔のことは思い出さないほうが」


 神が親のほうがいいだろう。親だって人間で、聖人ではない。


「まあ、類は友を呼ぶというしな。万が一くらいは友人になれるかもな?」

「るいは……?」

「碌な親の元に生まれてこれなかった不幸者同士ってことだ」


 まあ、俺の場合はただの我侭なのかもしれないが。


「背信者さんも捨てられたの?」

「いや、飼い殺しにされた……別に面白くも無い話だ」

「レクト、差し支え無ければ、ジャックに聞かせてあげてくださらない?」


 えっ、なんで俺のクソ詰まらない過去話を聞きたがるんだ?


「類は友を、あなたもそう言ったでしょう? 友情を育むには、まず互いを知り合うことから始まりますのよ?」

「俺は別に……だがまあ、いいか」


 これも一種の投資ということで、俺はいわゆる毒親と呼ばれる物について、実際の体験をもとに説明することになった。

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