日比谷徹
私『・・・。』
ジャカジャカジャカジャカジャーン!!!
佐村『いやっほぅ!!』
私『あのさ・・・赤ちゃんに音が聴こえるようになる時期だって言われたって、言ったけれど・・・。』
佐村『なんだよ、赤ちゃんの成長なんて嬉しいだろ(笑)アルバムも12月に発売決定だ!!ふぉーっ!!』
ジャカジャカジャカジャカジャーン!!!
うっるさいっ!!赤ちゃんに聴かせているつもりでも、私に一直線に音符が飛んでくるんだよ!!
私『こんなときは、モーツァルト、モーツァルト。』
私はCDをかけた。するとサムは大人しくなる。他人の音楽を汚さないのは、流石ミュージシャンだ。
私『この前のライブのあと、人見はどうだった?』
佐村『打ち上げに参加しなかったな。』
私『それって、珍しいの?』
佐村『そりゃ、いつも人見は最後の最後まで残って俺らと・・・め、珍しいな。』
私『ふーん。あの女にゾッコンなのかな。』
佐村『さあ、俺たちには関係ないだろ。』
サムは私の胸を指でツンとした。
私『それもそうだね。』
私もサムの胸を指でツンとした。
ピンポーン
モーツァルト効果も手伝って、いい感じだったのに。
私『はーい。』
麻里『私。』
私『あ、いいよ。』
ガチャ・・・。
麻里はソファに腰掛けた。
私『どうしたの?』
麻里『私・・・。』
麻里は私とサムを見て、誇らしげに・・・。
麻里『3年ぶりに彼氏が出来ましたーっ!!』
私『・・・。』
佐村『・・・。』
麻里『ちょ、ちょっと、びっくりし過ぎちゃった?ワタシ、カレシガ、デキタノヨー。』
佐村『堀?ぐえっ!?』
麻里『あんな酒呑みのはずないじゃない!!色葉は嫉妬しちゃうよ・・・へへへ・・・。』
私『うわっ、悪い笑い方。誰なの?』
麻里は私に耳打ちした。
私『うっそ!!反松!?なんで!?』
麻里『ドラマにゲスト出演した回があって、その時に気が合ったの!!』
私『あれ、夏から秋にかけての放送だったでしょ?隠してたの!?』
麻里『まだ、ハッキリしなかったからね!!』
佐村『お前、騙されてるんじゃないのか。』
麻里『あー聞こえなーい!!絶対に幸せになるんだもーん!!勘違いなんかじゃないもーん!!』
私『(でも、1話限りのゲスト出演で、こんなことになるのかな・・・?)』
佐村『(ヒロインの町嶋の方が現実味があるよな。)』
私『(あ、あまりにも恋に飢えてるから、やっぱり勘違いしてるのかな・・・?)』
佐村『(業務用の番号を教えて貰っただけかもしれないのにな。)』
麻里『だからさ、なんかお料理の作り方教えてよ!!カレーとか!!』
私『カレーは今、縁起が悪そうだから作りたくない。味噌汁の作り方教えてあげようか。(ラクだし)』
ちょっとボケたつもりで、味噌汁って言ったんだけど・・・理想のツッコミは『味噌汁くらい、私でも作れるっちゅうねん!!』アタマバシーン!!でも・・・麻里は、『お願いします、先生!!』って感じで頷いた。
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ガチャ・・・。
穂『いらっしゃい・・・わぁ、ヒトミン!!久しぶり!!』
人見『久しぶり。マスターはいるか?』
穂『いるよ!!マスター!!』
穂はバーの奥へと駆けて行った。
人見『顔を隠す必要ないだろ?ここは隠れ家バーなんだ。』
人見はフードを深く被った佳奈に言った。
佳奈『本当に安全なん・・・?』
人見は佳奈のフードを取った。
人見『初対面の相手と話すときはお互いの目を見なくちゃな。俺たちは睨んでるんじゃないんだぜ?』
佳奈『でも、怖いもんは怖い・・・。』
人見『お前の真っ赤な目も怖いぞ(笑)』
穂とマスターが戻ってきた。
岸谷『なんだ(笑)色葉とサムが結ばれたから、通い始めたのか?』
人見『まあ、そんなところかな。佳奈だ。』
佳奈『・・・。』
人見『恥ずかしがり屋なんだよ。』
岸谷『そうか、そういうことか。穂、佳奈さんを連れて、買い物でもしてこい。』
穂『え?・・・20時。勤務中にいいの?』
岸谷『勤務中って言っても、カウンターで暇潰ししているだけだろ。行ってこい。』
佳奈『・・・私も?』
人見『行ってこいよ。気になる店を見つけたら今度の休みの日、一緒に行こうぜ。』
ガチャ・・・。
岸谷『色葉より酷そうだな。』
人見『佳奈は人間不信も入ってるからな・・・クスリに頼らないと生きられないと思ってるみたいで、深夜に抜け出そうとすることもある。』
岸谷『・・・で、用があって、ここに来たんだろ?どうした。』
人見『ああ。佳奈にクスリをどこで手に入れたんだと聞くと黙り込んでしまったんだけど、このバーのある通りって怪しいだろ?ここの通りなんじゃないのか?って聞いたら頷いたんだよ。だから、何か知らないかと思ってバーに来たんだよ。』
岸谷『クスリはわからないな。草ならわかるぞ。』
人見『草でもいい、何か知ってるのか!?』
岸谷『日比谷徹って言う男のことだ。』




