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馬鹿

佐村義一、疑惑の妻!?


私『嘘でしょ・・・。』


麻里『酷い・・・過去のあることないこと書かれてる・・・。』


週刊誌には私の過去のことが書かれていた。麻里は知らないことも書かれている。


佐村『週刊誌を買っても、得なんかしないだろ!!なんで、わざわざ自分が中傷されてる読み物を買うんだよ!!』


麻里『だって、私の習慣なんだもん。』


私『私は、まさか自分のことが書いてあるなんて思わなかったから・・・。』


佐村『色葉じゃなくて、麻里の習慣だったのかよ!!』


麻里『私はびっくりするくらいスキャンダルがないからね。』


私『はあ・・・こんなはずじゃなかったのに・・・。』


佐村『大丈夫だって、顔は掲載されていないだろ。』


私『根拠のない風貌を書かれてる・・・もう、外に出たくない・・・。』


巨乳で茶髪・・・私は普通の胸の黒髪なのに・・・削って、染め直したって思われちゃうよ・・・。


佐村『そうだ根拠がないんだ・・・気にするなって。』


私『あっ・・・なんか、お腹を蹴られてる・・・?』


私は初めて胎動を感じた。サムは私のお腹を触り耳を押し当てた。


佐村『・・・全然、わからない。』


私『わからない?なんだろ・・・上手く説明できないけれど、なんかぐるぐるしてる。』


佐村『本当に?』


私『やだー、くすぐったい!!』


いちゃいちゃ、いちゃいちゃ・・・

・・・いらいら、いらいら。


麻里『・・・幸せそうだね。』


プルルルル・・・プルルルル・・・


私『また、電話・・・。』


ピッ


人見『佐村、今日はどうした?』


佐村『人見か、今日は・・・というか、曲が出来るまでレコーディングはしない。ミニアルバムの方は適当に完成させといてくれ。』


人見『適当って、また、適当なことを言うなよ。』


佐村『まぁ、育児休暇ってことで説明してくれよ。』


人見『まだ産まれてないのにか?』


佐村『初めての出産なんだから、サポートも必要だろ。』


私『出来たら、この4ヶ月をサポートして欲しかったかな・・・。』


佐村『じゃ、じゃあ、よろしく頼む。曲が出来次第再開するから、そう長くはならない。』


人見『わかった。・・・あの、女の子には会ったか?』


佐村『女の子?』


人見『2週間前にお礼を言いたいって訪ねてきたろ?あの娘だよ。』


佐村『どういうことだ・・・。』


人見『いや、上目遣いで可愛い声の関西弁で迫られたからお前の自宅の住所を教えたんだ。色々な意味で、いい娘だったから大丈夫だと思ったんだよ。』


佐村『色々な意味ってお前・・・。』


人見『お礼はしてもらったけど、なんかまずいことでも起きたのか?』


佐村『まだ起きてはいないけれど、兆候はある・・・お前、女いたよな?』


人見『いるけど、お前には関係ないだろ。じゃあな。』


ピッ


私『人見?』


佐村『人見だ。あいつが住所を教えたらしい。』


サムは私に何故そうなったのかを手短に話した。


私『人見の馬鹿・・・。』


麻里『なんか私もいらいらしてきた・・・呼びだして説教しようか。』


佐村『まぁ、結婚してないんだから、自由にさせてやれよ。』


私『なにそれ!!』


麻里『ああ!!佐村にもいらいらしてきた!!』


佐村『い、いや、住所を教えたことについては今度会ったときにきつく言うぞ!!』


麻里『私、普通の女の子よりパンチ力あるんだよね・・・。』


私『ちょ、ちょっと待ってよ。人の夫を奥さんの見てる前で殴るつもり!!赤ちゃんも聞いてるんだから、こういう話はやっぱりやめようよ。』


佐村『ナイス!!さすが俺の嫁さん!!』


私『でも、さっき、結婚してないから自由にって言ったよね?』


佐村『・・・はい。』


私『そんなこと言っておいて、また浮ついた噂が出てきたときはわかってる?』


佐村『またって、今回のは未遂・・・じゃなくて・・・誤解だからノーカウントだよな?・・・な?』


私『わかってるならいいよ。』


ノーカウントにはしないけど。


私『ん、麻里、なにそれ?』


麻里『歌詞集。』


佐村『お前・・・そんなの書いていたのか・・・。』


麻里『な、なに引いてんのよ!!必要なんでしょ!!』


私『でも、麻里って、ご無沙汰だから・・・。』


麻里『想像の賜物よ。』


佐村『・・・。』


麻里『黙り込むのは絶対にダメ!!とりあえず、見るだけ見てみてよ!!』


サムは麻里のノートを開いた。私も横から覗き見た。


私『キスをしたい・・・抱き締められたい・・・いずれは結婚したい・・・。』


佐村『こんなに可愛いのに・・・こんなにスタイルいいのに・・・こんなに明るいのに・・・。』


私『悪いけれど、サムが歌うには、ちょっと・・・私が歌うにしても、ちょっと・・・。』


麻里『他にも、歌詞は書いてるでしょ!!たまたま目に入った歌詞でげんなりしないでよ!!これだから勝ち組は・・・。』


私『自分が負け組だって認めちゃダメだよ。まだ30じゃない。』


麻里『ああ・・・勝ち組特有の余裕が・・・。』


麻里は相当寂しいみたいだ。私は麻里の耳元に囁いた。


私『ここだけの話、勝ち組でも面倒くさいことはたくさんあるよ。むしろ面倒くさいことが増えちゃった。自分の好きなものばかり夕食に出す訳にはいかないし、洗濯物も2倍だし


佐村『増えちゃった辺りから聞こえてるんだけど(笑)』


私『ね、こういうこともあるの。』


麻里『佐村、怒らなくなったんだ・・・。』


私『怒らなくなった?今は機嫌が良いから、機嫌悪いときもあるよ。』


佐村『禁煙再開で機嫌は悪いんだけどな・・・。』


麻里『はあ・・・笑って許してくれるようになるまでに別れちゃうんだよね・・・私。』


佐村『なんだよ、恋愛相談に来たんじゃないだろ。』


私『いいじゃない。外は物騒みたいだから、麻里の話を聞いてあげようよ。歌詞作りにも役立つかも。』


麻里は自分がどれだけモテないか、付き合えたとしてもすぐに別れてしまうのかを涙ながらに語った。


私『もしかして、相手に多くを求め過ぎてるんじゃない?で、自分が求めた分を相手にお返ししてないでしょ。』


麻里『だって、料理は下手だし・・・掃除はキライだし・・・。』


私『言葉だけでいいんだよ。私はたまたま言葉で想いを伝えるのが照れ臭いから行動で示してるんだけど、人気タレントの麻里さんは言葉の方が疲れないでしょ?』


麻里『お喋りは好きだけど・・・。』


私『なにもステレオタイプにならなくてもいいじゃない。自分に合った方法で幸せを見つけようよ。』


決まったーっ!!私、今かっこいいこと言ってるーっ!!麻里も頷いてるーっ!!・・・まぁ、料理や掃除が得意な方が近道だけど。

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