閑話 エミル・ハーハー3
ベリアル「いつもありがとうございます。ねぇリル、今年の夏は変だよね」
リル「そうねぇ。本来なら盂蘭盆のあと位から太平洋高気圧がデーンと張り出して来て梅雨が明けるのだけど」
ベリアル「今年は6月の終わり位から張り出して来たよね」
リル「関東を中心にね」
ベリアル「まぁ、平年からすれば想定外だよね」
リル「気象庁もなかなか梅雨明け宣言しなかったわよね」
ベリアル「意地でも張ってたのかな?」
リル「そうかもね」
ベリアル「でさぁ、今日はというと、あれ?太平洋高気圧何処え~ん・・・って感じだよね」
リル「・・・ベリアル無いわ」
ベリアル「ボクも無いと思ったけど、セフェラが「一発かまして」って耳元で囁くんだよね」
リル「え~!?セフェラ。あんた何時から居たの?」
セフェラ「いつもありがとうございます辺りから」
リル「最初からじゃない。って影薄っ」
ベリアル「セフェラってそういう所有るから困るよね」
リル「で、ヘボ作者は放っ置いて、話しを元に戻すと、今、在る筈の太平洋高気圧が遥か東の彼方に行っちゃったから」
ベリアル「大気が不安定になり易くなってるね」
リル「そうよ。それに台風5号が来週辺り本州に接近しそうね」
ベリアル「そうだね。あと、気圧配置が去年と酷似しているから」
リル「今年のお彼岸も長くなりそうよね」
ベリアル「さてさて、それでは前振りもこの位で、今回は?」
リル「エミル・ハーハーって人の3回目よ」
ベリアル「本編が思い付かないから、ハーハー氏の話しを挟んだよね。あっ!ガルダフェリナではハーバスって名字だね」
リル「・・・来月更新出来るのかしら?」
ベリアル「サァねぇ。それではどうぞ」
ザルヘルバ王国暦324年2月8日 ガレッゼレル市内 王宮
ザルヘルバ王国との戦争がラナバルラント王国側と終結してから早1年半。
ザルヘルバからの大量の資本の流入に因り、我がラナバルラント国は好況に沸いていた。
好況に沸いているが、物価は終結時より下がり、軍政局が政権を掌握する前の水準に近い位までになっていた。
「陛下。これが今日の閣議で決まった事になりますので、お目通し下さい」
「ウム・・・・・・・・・ハーバス首相。この数値は本当の事なのかね?」
「もっと詳しく調べれば、正確な数値が出ますが、概ねその方向性です」
確かに俄に信じる事は出来ないだろう。
かく言う指示を出した私ですら、国民の所得が前年と比べたら倍、混乱期前と比べても
6割増えてはいるという結果に最初は我が目を疑った。
「ところで、軍政局の無頼漢共は未だ現状維持か?」
「左様に御座います。ザルヘルバ軍は兵站の問題から沙漠を抜けた北端に要塞を築造して、今のところはそこから動いてはおりませんが、鉄道の敷設は順調との事ですので、年内には攻勢を掛けれる見通しだと言う事です」
「そうか。いよいよか」
「つきましては、ザルヘルバから動員命令が有る事かと思いますので、下準備をしておきます」
「ウム。頼んだぞ」
先ずは武器のレンドリースの申請からだな。
旧式でもいいからライフルは入手したい。
あとは野戦砲だな。
王国軍の主力は140mmだから、それより格下・・・確か100mmだったか、それでも射程距離は3kmは有った筈だから、これもリストに加える。
そうだ!王国には木炭車が有った筈だな・・・ダメ元で申請してみるかな。
ドクトリンか・・・かの国も急速な近代化を遂げた訳で、当然、将校の数も限られているだろうが、こちらはこちらで軍を一手に担っていた軍政局があの有り様だから、現時点では、こちらに軍を指揮出来る将校は皆無だ。
・・・あちらが動員する様言って来たらお願いしてみるかな。
まぁ、否とは言わんだろう。
5月22日 ガレッゼレル市内 首相官邸
先日、我が国の隣国のタラベア王国が、ザルヘルバ王国に宣戦布告をしてきた旨を、ザルヘルバ王国から連絡があり、こちらには動員令を布告する様、指示があったので、例の件を伝えた所、数名派遣してくれるそうだ。
ガレッゼレル市郊外に、ザルヘルバ王国の資本で軍需工場を建設する事と、新に150mm牽引式野戦砲が量産体制に入ったとの事で、140mm野戦砲が旧式化するから、こちらにレンドリースする旨の連絡があった。
彼の国の技術レベルは、正に、日進月歩だな。
まさか、140mm野戦砲がもう旧式化するとは思っていなかった。
去年から量産化して、今日までに恐らく千門以上生産されているだろう。
動員の準備等は終わっているが、100mm野戦砲のレンドリースは300門程度と推測していたから、この分だと140mm野戦砲を全体の3割から4割は回してくれそうだから、動員する民兵の師団編成を変更しなければならない。
現在の編成は、歩兵大隊3個大隊を3連隊に、支援中隊として工兵に砲兵を加えた1師団9,500人の編成を予定していた。
まだ動員令の布告前だったのは不幸中の幸いだ。
・・・野戦砲のレンドリースは、合計すると600門を下回る事は無いな。
これなら、1師団に配分する野戦砲を倍に増やせば、下手に編成を変更する事も無い。
これで、この国では、旧式のライフルを装備の民兵が12個師団、マスケットを装備の民兵が18個師団出来る訳だ。
早速、関係各所に通達をするか。
6月1日 ガレッゼレル市内 旧軍政局司令部 現ラナバルラント国軍庁舎
「ハーバス閣下よろしくお願い致します」
そう、私に挨拶をしたのは、ザルヘルバ王国から派遣されて来た、筆頭将校のディザント少将だ。
ザルヘルバ王国からは、このディザント少将ほか4名派遣されて来た。
「こちらこそよろしくお願いする」
「閣下。先ず私は、この派遣団のまとめ役と本国の全権大使を兼ねておりますので、ご承知置き下さい」
そう、彼女は言った。
つまりザルヘルバ王国は、全権大使という名の監視役を寄越して来た訳だ。
本来なら全土併合な所、あちらさんの諸事情に因り、私を首班とした政権を、親ザルヘルバ傀儡政権として発足させざるを得ない事になったのだが、あちらさんとしては、こちらの内情を少しでも把握しておきたいのだろう。
「承知した」
「それからこちらへは、新兵の訓練に、ラナバルラントの将校の指導と、サスタカーン首相から伺っていますが」
「ウム。概ねそれで問題無い」
「閣下。将校や兵の指導はこちらの流儀で行って差し障りありませんか?」
「新たな事を一からやる事も同然だから、そちらの好きにやって貰って構わない」
さて、お手並み拝見と行こうか。
リル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字等有りましたら、お気軽に感想欄までお寄せ下さい・・・作中のディザント少将ってラ・・・」
ベリアル「わーわーわーわー・・・リル!ネタバレネタバレ」
リル「あっ!ゴメン、ベリアル。でも最近見ないと思ったら・・・」
ベリアル「リルぅ!」
リル「ゴメンってば」
ベリアル「じゃあ、リルが誤爆しない内に、この辺で締めます」
リル「それでは皆様、今後とも辺境領リネルメ興隆記をよろしくお願いします」
ベリアル「またね」




