八話 石油を掘り当てに行きました
ベリアル「いつもありがとうございます・・・ちょセフェラ。そこに居るならこっちに来なよ・・・何?イヤ?・・・・・・まぁ、ヘボ作者は捨て置いて、今回は、リルが油田を見付けに行くよ。という話しです・・・ちょアスモ」
アスモデウス「いやベリアル。まだあたしの登場はずっと先なのに出ていいのかい?」
ベリアル「問題ないよ。って言うか、主要面子は出払っているから、今居るのは、ボクと君とヘボ作者の三人だけだよ」
アスモデウス「ベリアル。あんたなら一人で間ぁもたす位訳無いだろう?」
ベリアル「ヤだよ。毎回毎回前書き何も無しとかボクが耐えられないよ」
アスモデウス「ああ、なんとなく察したわ」
ベリアル「でしょ?まぁ、ここに居たが運の尽きと思って付き合ってよ」
アスモデウス「了解」
ベリアル「それではどうぞ」
11月21日 ミヘーゼ沙漠中央部 ラナバルラント鉄道ミヘーゼ沙漠線付近
翌日、あたし達は、バルストックが敷設した鉄道に乗って、石油が埋蔵しているだろうという地点に来ていた。
「冬なのに暑いわね」
「砂漠の真っ只中ですし、暑いのは致仕方ありませんよリル様」
「そうは言ってもね・・・皆さん。暑さで倒れない様に、水分の補給とこまめに休憩して下さいね」
あたしは、貨物車から資材や物資を下ろしている作業員に注意を促す。
ザルヘルバ王国の大半は、夏に熱中症になる位に暑くはならないし、その概念自体無いので伝えるのに苦労する。
尤も、タレザとサラを除く上層部の面々は、来方はどうであれ皆地球にしかも全員日本に在住若しくは長期滞在していた事もあり、熱中症を気遣うのは当たり前の様な物なので、物資の中にも塩と水は大量に積まれている。
(尤も、水は精霊に定期的に浄化して貰わないとダメだけどね・・・食品はある程度の物は、乾物にすれば日保ちするけど、水はそうはいかないから、ホント、ファンタジー様様よね。でも早い段階には水だけは自給出来る様にしたいわね)
「デルフィア。ミヘルバと協力して、水脈を探してちょうだい」
『ハイ、リル様』
デルフィアは、ウィンネが諸事情に因り常駐出来ないので、新たに契約した水の精霊だ。
髪は群青色で短く纏めていて、目は水の精霊には似つかわしくない紅蓮で二重瞼、身の丈はやっぱりと言うか9デルセルと高身長で、水の精霊でも強硬派に属する。
(まぁ、ウィンネの思惑としては、武断だけが全てじゃないというのを分からせる為にあたしの所に寄越したんだろうけどね)
『リル様。この辺りですね』
『リル様ぁ。手伝って下さい』
しばらくすると、水脈のあたりが着いたのか、デルフィアと、ミヘルバがあたしの事を呼ぶ。
「フムフムこの辺ね?それじゃミヘルバ、手をつないでちょうだい」
『ハイ、リル様・・・ファー・・・す、凄い。リル様の力が流れ込んで来る』
あたしはミヘルバと手をつなぎ、魔力を送り込んであげると、ミヘルバの顔が紅潮してくる。
『ファー・・・・・・リル様。ホント凄いです』
「ミヘルバ。それはいいから早くなさい」
『ファッ!す、すいません。ただいま作業に入ります』
ミヘルバはそう言うと、八半刻で水脈を掘り当てる。
「ご苦労様ミヘルバ。これで水を一々浄化しなくても新鮮な水が飲めるわね。楓ちゃん。工兵にこれを水道として使える様に連絡しなさい」
「ハイ、承知致しました」
その刹那、楓ちゃんの気配はスゥと無くなる。
(・・・時々忘れちゃうけど、楓ちゃんって一応スパイなのよね)
と、あたしは苦笑する。
何でも楓ちゃんは、エーベレンスの更に東方の島国からやって来たらしい。
こっちに来た理由も、政争に敗れた君主の一族と一緒に、この大陸に落ち延びたらしい。
落ち延びたが、当然こちらで活動する基盤は無く、楓ちゃんの一族は、頭領以下数名を除いて暇を出されたらしい。
それで楓ちゃんは一族を離れて放浪の旅に出るが、その途上で人材の捜索をしていた今の上司である朧と、エーベレンスの片田舎で出会った。
(楓の故国は日本みたいな感じがするわね)
あっ、朧はあたしが名付けたコードネームな訳で、朧は生粋のザルヘルバ王国民よ。
朧は長い紫色の髪を纏めず、その小柄な体格から子供に間違われる事も稀にあるらしい。
たまに、というのは、朧ってばその体躯に不相応な胸の持ち主なので、朧を子供と見間違うのはよっぽどオツムがちょっとおかしいという事だ。
クレインがウチに仕官しに来た時に一緒に付いて来た。
(体つきが体つきだけにハニートラップは無理よね。需要は有りそうだけど・・・羨ましくなんてないんだからね)
話しが脱線してしまった様ね。
11月23日 同地
今日は、ミヘルバが見付けたという石油が埋蔵されているかも知れないポイントに来ている。
仮設の宿舎が今日の昼前に出来るという事で、今居るあまり日除けにも防寒効果もない仮設テントともおさらば出来る。
まぁ、レフィーナが手空きだったから、テントの周りに空気の層を作って貰って断熱材としたから、さほど寒暑に対して不便感は無かったけどね。
仮設と言っても7、8人位が不自由無く眠れる広さだから、ふたり用のテントと比べれば、大きいと言えば大きいけどね。
水の方は、手押しポンプを昨日の内に設置し終わっている。
「・・・ミヘルバ。この辺で合ってるの?」
あたしは、アイテムボックスから取り出した水筒の水をコキュコキュ飲みながら、ミヘルバに尋ねてみる。
『確か・・・この辺だと思ったのですが・・・』
ミヘルバは不安な顔をしながら、辺りをキョロキョロ見回しながら、在りかを探す。
『・・・・・・あっ!ありました!ここですよリル様』
どうやら再発見した様で、ミヘルバは笑顔であたしを呼ぶ。
「・・・そこがそうなのね?」
『いえ、先ほどリル様が居らした場所にも繋がっているのですが、ここが一番薄いので掘るのに都合がイイと思ったんですよ』
「ん?という事は、その辺を掘っても石油の鉱床に当たるの?」
『いえ、その辺と言わず、鉄道の下やあそこやあっち、有り体に言えば見渡す限り、その下には石油の鉱床が在ります』
・・・・・・・・・・・・は?
今、何て言った?
見渡す限りですって?
「ミヘルバ。因みにどれだけの石油があるか分かるかしら?」
『・・・少しお待ち下さい・・・・・・・・・・・・・・・リル様の世界の単位で言えば、凡そ4,500億米バレルは埋蔵されています』
・・・・・・前世での石油の可採埋蔵量(技術的ならびに商業的に採算が採れる埋蔵量)は1兆7千億バレルを超えるとも言われたけど、その4分の1以上の石油が眠っているとか・・・理解が追い付かないわ。
「ミヘルバ。その埋蔵量で全てかしら?」
『私には詳しい話しは分かりませんが、今の技術で採掘出来る量になります』
・・・原始じゃなく可採埋蔵量とか無いわ。
原始埋蔵量というのは、可採埋蔵量と違い採掘出来ない分も合わせた埋蔵量だ。
可採埋蔵量の換算する上での、この石油の鉱床から採掘する装置が、手押しポンプの改良型という程度なので、そんな稚拙な採掘技術で言った場合だと思うから、前世の日本の技術で換算しても倍はきかず、原始埋蔵量としたら途方も無い量になるだろう。
因みに、メアラがディベロップメントしに行って見付けたエルベリアの油田の可採埋蔵量が800万バレルである。
アスモデウス「ここまでありがとうございます。誤字、脱字などありましたらよろしくお願いします・・・で、こんな感じでいいのか?」
ベリアル「上出来」
アスモデウス「ところで、石油は見付かったけど、輸送とかはどうすんだ?」
ベリアル「ああ、それ次話のネタだから話せ無い」
アスモデウス「そりゃダメだな。ってか、金無い金無いって言ってた割には地味に出ていくな」
ベリアル「色々あるんだよ・・・というより、20億ズゼばかし開発国債を発行したからね」
アスモデウス「開発国債って?」
ベリアル「国内の開発を目的とした国債だよ」
アスモデウス「つまりは、戦時国債みたいに軍備等開発以外には使え無いという事か」
ベリアル「そういう事。開発国債とひとえに言っても、東部開発国債、西部開発国債、首都圏開発国債、ラナバルラント開発国債の四種類あって、今回はその内のラナバルラント国債を発行したんだよ」
アスモデウス「国民の年平均所得が14,800ズゼ(322年8月時点)だし、ザルヘルバの総人口が3,000万人を超えた程度なので、開発国債の発行額を日本の価値にしたら40倍位には見た方がいいんだな?」
ベリアル「まぁそうだね」
アスモデウス「でもさぁ、こんな事ここで言っていいのか?」
ベリアル「ハッ!もろにネタバレじゃん!」orz
アスモデウス「ハハ(乾いた笑い)。それでは今後とも、辺境領リネルメ興隆記をよろしくお願いします」
ベリアル「セフェラ途中で止めてよ・・・って居ないし」




