四話 ガレッゼレル攻防戦
ベリアル「いつもありがとうございます・・・随分空いちゃったねぇ。で、何か聞いてる?」
リル「聞いて無いわよ・・・って、あのヘボ作者またベリアルに丸投げしてエスケープしたの?」
ベリアル「まぁ、そんな所かな?」
リル「・・・先月の初旬には、今回更新分は書き終わっていたけど、続けて書くか、次話にするか悩んでたみたいね」
ベリアル「ハァ。1ヵ月もねぇ。それで、どこ情報?」
リル「メアラさんからよ」
ベリアル「ボクもセフェラとの付き合いは長いけど、メアラはそれ以上だからね」
リル「そうなんだ」
ベリアル「兎に角、ガレッゼレル陥落をどうぞ」
7月5日八つ刻 ガレッゼレル近郊
首都近郊の丘に陣を構えて、さてそろそろ夕飯だなという時間に、増援の部隊が到着した様だ・・・この時分に増援が来るなどと言う話しは聞いていないのだけどね。
少しすると、増援と思われる部隊を率いている者が、あたしの天幕に入って来た・・・ってタレザかぁ。
「タレザ。よく来たわね。所で貴女に課していた任務は終わったのかしら?」
あたしは冷ややかな笑顔でそう言う。
「ハイ。遅滞無く完了しました・・・あっ、メアラ殿がエルベリアに行く前に当人から手紙を預かっています」
そう言うとタレザは一通の封書をあたしに差し出す。
手紙の内容は、ホントにタレザが敵対していた保守派と反乱軍を瞬く間に制圧して、内戦を終結させた事と、国内の残存兵力の内、歩兵五個師団をこちらに向かわせ、残りを残党狩りやクレインの居るディエッセルに向かわせた事に、増援の部隊に新式の140mm野戦砲20門含む砲兵旅団を三個旅団派遣させて居る事などが書かれていた。
「フム。大体分かったわ。それでは貴女には、明後日からのガレッゼレルの攻略を手伝ってもらうわね」
メアラクラスになると、その時その場に居なくても、ある程度見通せてしまうのねぇ。
どこぞの軍師みたいだわ。
尤も、三國志の時代とは違ってこちらには無線が在るから、緊急時はそれで連絡を取り合えばいい訳だしね。
それにしても6月4日の消印が押してあるわね・・・ひょっとして戦時郵便で送ってたのかしら?
という事は、メアラから預かったというのは真っ赤な嘘で、途中配送車を見付けて無理言って来た様ね。
まぁ、配送車よりは数日早いから不問にするけど・・・
「承知致しました。攻略には全力で当たらせて頂きます」
タレザは恭しく頭を下げた。
7月6日二つ刻半
あたしは、いつもなら三つ刻位に目が覚めるのに、何故かこんな時間に目が覚めてしまった。
あたしが背伸びをしていると、誰かが扉をノックする。
「リル様。緊急事態が発生致しました」
声の主はタレザだ。
「どうしたのかしら?」
「本日未明にガレッゼレルの市民が蜂起した様です」
「・・・分かったわ。主だった者を至急執務室まで召集して頂戴・・・と、言っても、貴女のほかはラセルだけかしら?兎に角急いで」
「はっ」
タレザは一礼するとすぐさまその場をあとにする。
・・・まさか、市民が武装蜂起するとは思わないわね。
しかも、反政府側はマスケットを使用している。という報告があったわね。
誰とは言わないけど、旧式の銃を反政府側に横流ししていた様ねぇ。
誰とは言わないけど・・・
7月7日一つ刻半頃
私は遂に計画を実行に移す事にした。
「ラセル大丈夫かしら?」
「問題ありません。日の出が二つ刻より少し前ですので、夜明けと共に砲撃を開始する事が可能です」
「それなら、三つ刻に降伏勧告を行い、砲撃開始は四つ刻とします」
「それなら、ちょっと待って貰えませんかね?」
そこに、沙漠縦断鉄道を敷設し、その北端に陣地を構築し終えたバルストックが戻って来た。
「あら早いじゃない。それで待つのはどうしてかしら?」
「市民が武装蜂起したという事なら、その混乱の隙に乗じて主要施設を押さえる事は可能ですぜ」
「・・・今の手持ちで行けるの?」
「歩兵4個師団、騎兵5個旅団の計48,000も居れば問題有りません」
因みに、ガレッゼレル市突入部隊の部隊編成の内訳は。
歩兵1師団当たり
歩兵2個旅団 1旅団 4,000人
各歩兵4個大隊 1大隊 1,000人
通信支援中隊 250人
計8,250人
騎兵1旅団当たり
騎兵3個大隊 1大隊 1,000人
計3,000人
という編成をしています。
通常なら、歩兵師団には上記のほかに、工兵、衛生、補給、砲兵の支援中隊が、騎兵旅団には通信、衛生、補給の支援中隊がそれぞれ配置されているのだが、市内に突入する際には必要無いと判断した為に除外したという事だ。
装備は、年初位からボトルアクション式小銃の生産を開始していて、支給開始は5月からしており、今回ラナバルラントに派兵している歩兵凡そ14万人全てに支給している。
騎兵は銃身を短く騎兵銃化した物を支給している。
国内の部隊はまだスナイドル銃を使っていて、マスケットは破棄するのも勿体ないので、倉庫に厳重に保管している。
このガルダフェリナという世界で銃を所持している国は殆んど無く、マスケットでも他国には脅威になるので、同盟国にレンドリースするのに使う様にすると、メアラは言っていた。
同日二つ刻半
「撃っー!」
あたしの指示に因り、140mm野戦砲20門ほか大砲が火を噴く。
大半は空砲だが、こけおどしと侮られない様に少し実弾を混ぜ、それはあさっての方角に向かって撃たせている。
何故、大半を空砲にしているかと言うと、スパイの報告に依れば、市民の疎開が殆ど行われていない為だ。
なので、市民に出来るだけ被害が及ばぬ様に配慮し
ている。
「砲撃が始まったな・・・よし、突っ込めー!」
バルストックの号令の元、歩兵4個師団がガレッゼレル市内に雪崩れ込む。
「こちらも負けてはいられぬな・・・突入するぞ!」
負けじとタレザ率いる騎兵5個旅団も市内に進入する。
同日 三つ刻 ガレッゼレル市内市庁舎前
「リーダー。ザルヘルバ王国軍が市内に進入して来た模様です。それと、大音量の攻撃魔法の様な物も確認されております」
そう伝令兵は心配そうな表情で私に伝える。
その大音量の攻撃魔法の様な物というのは大砲だろう。
それより、ついにザルヘルバ軍がガレッゼレル市の攻略に乗り出して来たか・・・これは急がないといけないな。
こちらにマスケットが有るとは言え、軍政局の奴等も兵力がこちらの何倍も有るせいか、そう簡単には退いてくれない。
尤も、私とてこれが無ければ蜂起する事もなく、ただザルヘルバ軍を上手く誘導してやるのが精々だっただろう。
だから、ザルヘルバ王国から我々にマスケットをタダ同然の価格で横流ししてくれた輩には感謝をしたい位だ。
だが、折角のマスケットも事前に練兵が出来ない事に因り、十全に活かす事が出来ず、60万の大軍とは言え銃砲を持たない彼等に対して、1万梃のマスケットが有りながら、現状維持が精々だった。
しかし、ザルヘルバ軍が市内に侵入してから、軍政局の連中が少なくなった様だ。
これは攻勢に打って出る好機ではないのか?
「閣下。軍政局からの攻撃が散発的になって来ましたけど、どうしたのでしょうか?」
「恐らく、カリベ丘に布陣していたザルヘルバ王国軍が市内に侵入して来たのだろう」
「えっ!?それだと我々は挟撃されてしまうのですか?」
「いや、それは無い。この武器を流したのはザルヘルバ王国軍で間違い無いから、さしずめこちらを支援したのだろう」
そしてこちらに傀儡政権として立てと言って来るのだろう・・・・・・あの頃を思い出させる。
ベーメン・メーレン保護領
チェコスロバキア第二共和国が解体された後に出来た傀儡政権だ。
最初のうちはノイラート氏から一定の裁量を頂けていたが、あのラインハルトが副総督に就任すると、権限は全て剥奪された上に私の側近達は、でっち上げられた罪状に因り粗方逮捕されてしまった。
その後、あのラインハルトが、連合国に煽動及び支援された強硬派に因り暗殺された時は、罪の無いチェコ人が1万3千人余りも殺害され、ヒトラーの恫喝を受けた。
まぁ、私が何を言いたいかと言うと、傀儡には良い記憶が無いという事だ。
ザルヘルバ軍は、大量の空砲と、多少の実弾は人気の無い所に撃ち、市民が生活しているエリアには殆ど砲撃して来ない事から、ナチスよりは付き合い易いだろうとは思っている。
何にしても、軍政局の連中を市外に追い出してからだ。
ベリアル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字などありましたらよろしくお願いします・・・で、まだ書き掛けのが有ったみたいだけどどうなの?」
リル「ん~、あれね。あれはラナバルラントに傀儡政権を立てた後の話しだから、まだ投稿できないみたいよ」
ベリアル「そうなんだ。じゃあ、次の更新は何時になるか分からないねぇ」
リル「そうなるわねぇ。早く更新して欲しいものねぇ」
ベリアル「そうだねぇ。懇意で居てくれる読者さんに申し訳ないとは思わないのかな?」
リル「だからエスケープしてるんでしょ?」
ベリアル「ああ、読者さんに顔向け出来ないと」
リル「多分ねぇ」
ベリアル「さてさて、それでは皆様、今後とも、辺境領リネルメ興隆記をよろしくお願いします」
リル「またね」




