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辺境領リネルメ興隆記  作者: 常世神命
七章 大戦勃発 ~ザルバル戦役~
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閑話 エルベリアにディベロップメントしに行きました

ベリアル「いつもありがとうございます・・・ねぇ、セフェラ知らない?」


メアラ「セフェラ様は例に拠って居ませんよ」


ベリアル「・・・あいつわぁ。それよりメアラ。今回はどんな話しだっけ?」


メアラ「今回はザルヘルバ王国の隣国の隣国であるエルベリアに行って色々するお話しですよ」


ベリアル「そうなんだ。まぁ、あまりぶっちゃけてもネタバレになるから、これ位が適当なのかな?」


メアラ「それではどうぞ」






王国歴322年6月27日 エルベリア首都レバオラ


 わたしは、外交交渉に因り連邦に組み込む事になった、エルベリア王国の首都レバオラに首相として来ています。


 レバオラに一番近いラナバルラントの拠点は、バテルク州に在るレストリアという村になります。

 そこからこのレバオラ迄は、ザールラントに隣接していた大森林よりも広大な森林が横たわっているのですが、ザールラントの大森林同様街道が整備されておらず、現在までエルベリア北部の山脈、西部の大密林、東部の大河と併せて周辺諸国の侵攻を阻んでいました。

 そこを、通常何も無い平原なら半月程の距離を、馬車が一台やっと通れる道を造りながら二ヵ月掛けて来ました。

 ええ、地球でならあり得ない期間(本来、推定工期一ヵ年)ですが、このガルダフェリナという世界には、地球に無い魔法が在りますので、それが可能になります。


 いいですねぇ、ファンタジーは。


 先日、わたしもリル様に倣って土の精霊でミヘルバという()と契約しました。

 こちらが出した指示を頑張って(こな)している姿は健気で・・・・・・

 可愛いですねぇ。

 これが所謂【萌え】という物ですか。


おっと()、いけ()ません()わね。()


 レバオラに到着後、部下に命じて調べさせた所、レバオラ・・・というか、エルベリアの総人口が一万人に満たなく、天然の要害が在るとは言え、よく保ったものだとは思いました。







わたしの今回の目的は、この国の国王であるメリエ三世と会談し


①ザルヘルバ連邦への加入の条約の締結

②レバオラにザルヘルバ王国大使館の設置

③エルベリア国内をザルヘルバ王国企業がディベロップメントする際の手続きの簡略化及び省略

④ザルヘルバ王国軍のエルベリア国内の駐屯の許諾


 と、以上4つを承諾させる事です。

 この中でわたしは③を重要視している。

 理由としては、事前に調査させた所、エルベリア王国は資源の宝庫で、特に国土に原油が埋蔵されている気配もあるという事のためです。

 もし、原油が埋蔵されていて、採掘が開始されれば、我が国ではディーゼルエンジンやガソリンエンジンの開発が開始される事になり、他国に先駆けて自動車が走る事になります。

 まぁ、木炭車も自動車と言えば自動車ですが・・・


 精製施設自体はアジェラル州のモルフェという所に出来ている。

 あとは原油が発見されるのを待つだけです。







7月2日 エルベリア北部トゥベリエ村郊外


 わたしは、先日部下の報告により、原油らしき物が発見されたという事で、その発見場所に来ている。


「閣下。どうですか?」


 副官のバセレイルがそう尋ねてくる。


 確かに見た限りでは原油に見える。

 適当な長さの棒にそれを絡め火を着けてみると、良く燃え出したので、原油の可能性は高いが、残念ながら調べる為の施設はまだ無い。


 無いのだが、リル様に由ればわたしにもアイテムボックスというのが在るので、それで簡単に分かるそうだが・・・試しにやってみますか。


 もう一度それを棒に絡め、事前に用意していたガラス瓶に入れ、蓋をして・・・イメージしてみると、何も無い筈なのにその瓶は何かに入ったかの様にして消えた。

 すると、目から20センチ程の位置に、スマートフォン程の大きさの画面が浮かび上がり、その画面にアイテム一覧と表示されていて、スマートフォンを操作する様な感じでやってみると、例の物も有った。


原油(159ml)の入ったガラス瓶


・・・これは便利ですね。


「どうやら原油で間違い無いわね」


「それは良う御座いました。それでいかがなさいますか?」


 と、バセレイルは聞いて来たが、精製施設は在るが採掘技術が無く、現時点では自噴している物を採取する事となる。

 尤も、精製施設と言っても、1日の精製量が10バレルにも満たないが・・・







 油田の採掘権を2,000万ズゼ(約4億円)で購入するのだが、それを、エルベリア通貨に変換すると、レートの関係で35,000エルベリアディ(約4億2千万円)ナールとなります。

 この差額は、ザルヘルバとエルベリアとの力関係、国内経済規模、早い話し、ザルヘルバとエルベリア、どちらがどれだけお金を持っているか。

 という事です。


 現に、この採掘権に支払った35,000EDという金額は、エルベリア王国の国家総予算の凡そ二年半分に相当する。

 リル様が領主に成った頃ならいざ知らず、リル様が女王に成った今では、この金額は年間予算の0.1%程でしかない事が、その証左になります。







7月15日 エルベリア南東部カテブル村


 沿岸部に在るカテブル村に来ています。

 この村もそうですが、エルベリアには小さな漁村程度は在れど、貿易港の様な大型船が接岸出来る場所は在りません。

 何故わたしがこの様な場所に来ているかと言えば、ひとつは製塩です。


 そもそも、ザルヘルバは内陸国ですので、塩は輸入するしかありません。

 ザルヘルバの周辺諸国からしたら、塩は戦略物資も同然ですので、かなりの値で吹っ掛けて来ます。

 当然、国内の塩の価格は高くなり、塩の密売も増えて来ます。

 ああ、因みに、先月末の塩の()()価格は1kg当たり3,500ズゼ(約7万円)もする上に、()()価格になると更に三割から四割程高くなります。


 日本では下手したら1kg100円もしないかも知れない塩が、ザルヘルバでは輸入時の価格ですらその700倍以上もします。

 補助金を出して価格を下げさせている上での価格ですので、補助金が無ければ(たちま)ちのうちに塩の価格は暴騰して、最早庶民は塩を買えなくなり、それに因り暴動が起きる可能性が在ります。


 現在、エルベリアでも塩自体は生産されていますが、生産体勢は、良くて家内制手工業程度で、機械制大工業(又は工場制機械工業)はおろか、工場制手工業(マニュファクチュア)すら行われておらず、ザルヘルバ王国凡そ1,500万人だけでなく、今後併合予定のラナバルラント南東部凡そ1,200万人の需要を満たすには少なくともマニファクチュア程度には発展させて、安価な塩をザルヘルバに流通させる事は、塩が人体に欠かせない物である以上急務になります。


 もう1つは、造船所の建設です。

 しつこいかもしれませんが、ザルヘルバは内陸国です。

 湖に浮かべる程度の船の造船の技術は有りますが、当然ながら外洋を航行する為の船の造船の技術は戦闘艦は元より輸送艦ですら有りません。


 また、エルベリアにはそのどちらの造船技術も無いのです。

 漁船程度の造船所しか無いので、当たり前ですが・・・


「閣下。ここはどうですか?」


 バセレイルは、わたしに周辺図を見せ、造船所を建設するのに適当な場所を指し示す。


・・・流石、バセレイルね。

 この場所なら、村から適度に離れているし、ゆくゆくは装甲艦を建造したいと思っている。


 まぁ、最初はラティーナ級から建造して技術の蓄積を図るのが肝要ね。


 兎も角、バセレイルの指し示した場所は、ほかの候補地を探すのが億劫になる位の、素晴らしい場所だった。


「そうね・・・この場所なら問題無いですね」


 そこは、入り江であり、広さは大型船(例ガレオン級)が数十隻停泊しても余裕が有り、軍港を併設出来そうな地形構造ですね。

 本来なら、何ヵ所か候補地を見繕って、その中から選定するのですが、今、本国ではラナバルラントとの戦争の最中であり、今後のメゼリエの動向次第では、このエルベリアも戦火とは無縁では無くなります。


 エルベリアの戦力は、治安維持隊として百名程居るだけで、外征はおろか、敵軍からの守備すらまともに出来ません。

 角言うわたしも、歩兵3個大隊からなる歩兵旅団を1部隊3,000人しか連れて来て居ませんので、東部の川沿いに張り付かせるには些か心許ないですが、幸い川の水深は深く、大型船でもある程度航行可能ですので、海軍を創る事が出来れば、効率的な防衛可能ですので、今はその為にも造船所並びに軍港の建造場所の選定に時間を掛ける事が出来ません。


「閣下。早急に手配致しますか?」


「そうですねぇ。お願い出来ますか?」


「承知致しました」







ベリアル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字などありましたらよろしくお願いします。既出の読み返したら見付けたらしいけど、あとでにしたら誤字の場所が分からなくなったというwそれでメアラ。キナ臭いね」


メアラ「そうなんですよね。いくらエーベレンスとの国境に大河が在るとは言え、現時点では兵站に問題があるため、現状の兵力しかエルベリアに駐屯出来ませんから心配ですね」


ベリアル「エルベリアはもう手放せないものね。で、メアラは一度リルの所に行くの?」


メアラ「実際に大河の具合を見に行かなくてはならないし、南西部のジャングルの調査に、アジェラル~レバオラ間の鉄道の開通も同時進行ですし、暫く離れませんね」


ベリアル「・・・ラセルが副官として就いてるから大丈夫って事かな?」


メアラ「まぁそう言う事ですよ。それでは今後とも辺境領リネルメ興隆記をよろしくお願いします」







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