十五話 備える事にしました2
ベリアル「いつもありがとうございます。いやーほんとに暑いよねぇ」
セフェラ「もう堪らないよ。多少気温が下がって少しは楽になるかと思ったら、湿度が上がったから大して変わらないどころか、期待していた程山背も吹かないし、踏まれたり蹴られたりだよ」
ベリアル「まぁ、山背はあまり酷いと逆に冷害で凶作になるから、何事も程々だよねぇ」
セフェラ「日照りに不作無し・・・って過去に新聞に有ったけど、やっぱり限度って物があるよ。米は兎に角、果物や野菜はやっぱりある程度雨が降らないとダメだよね」
ベリアル「日照時間が長ければ、果物や野菜の味は良くなるけど、降水量が少なければ当然出荷量は反比例して少なくなる・・・味が良いのに出荷量は少ない・・・ん?このまま行くと、米以外の農産品が高騰する?」
セフェラ「さぁねぇ・・・今の所は目に見えてって感じじゃないけど、天気次第では無いとは言えないねぇ」
ベリアル「ただでさえ、色んな物の値段が上がっているのに、野菜や果物まで上がったら、上向いて来た感じのある景気が冷や水を被ってしまうね」
セフェラ「アチキみたいな庶民があれこれ言っても、結局政治家の匙加減ひとつだからどうにもならないよ」
ベリアル「悪化しない様に願うだけだね。それでは、十五話、備える事にしました2をどうぞ」
あれから、何とか資金を調達する事が出来、緊急の予算を編成する事が出来た。
予算の規模は一億ズゼ。
ドルトンとゼトルの両商会から1,200万ズゼずつで2,400万ズゼ。
あたしのグループ企業から7,000万ズゼ
来年の予算から取り崩しをして600万ズゼ
締めて一億ズゼである。
この中には、あたしのポケットマネー分は入っていない。
当然、予算の取り崩し以外は借金という事になり、領債を9,400万ズゼ分新たに発行した。
一年単利で利率は年率10%
これを、五年後に償還する事になる。
ポケットマネーの場合は、有る時払いの催促無しな上、元金しか戻って来ない・・・
一億ズゼの使い道の内訳は
軍施設等に7,500ズゼ
街道整備等アジェラルの経済対策に2,500万ズゼ
となる。
「何とか集めたわね」
「一億ズゼだもんね。そうそう、保守派の間者がうろうろしてたから、偽情報流しといたよ」
「ありがとうベリアル。でも、正直言うと」
「「足りないよねぇ」」
あたしとベリアルは、顔を見合わせハモりながらため息を吐く。
個人的には倍欲しいけど足りない分は、来年の予算で対応するつもりだ。
ダナルブルクから二日の所に、デンフー丘が在る。
そこに、あたし達は来ている。
先に来ている先発隊百名が、自分たちと後発隊四百名の寝起きする場所を建設中である。
申し訳程度の森が丘には在るので、その扱いも大切になる。
計画では、丘の中心部に司令部を作り、それを取り囲む様に兵舎が出来る。
外壁は司令部の半径千セル程の所に、円形に鉄筋コンクリート造の壁を作る。
出入口は、街道との接続点とその反対側との二ヶ所作る。
物見櫓はその出入口付近と、その中間点の四ヶ所作る。
屯田兵としての畑は、駐留地の中と街道沿いに作る。
あと、基地から数百セル南西に行った所に、ここより小さいが丘が在るので、そこに百名程が駐留出来る陣地を将来的には作る予定だ。
「メアラ。円形で良かったかしら?」
やはり、しっかりとした基地を造るならば、ペンタグラム型の物が良かったのだが、財布と期間の関係で簡単な円形の物にしたのだが、些か不安なので、メアラに聞いてみる。
「まだ銃も大砲も無いので、五芒星型にしなくても、問題有りませんわ」
メアラは、大丈夫だとそう答えた。
「そう。で、銃の試作品が届いていたわね」
そう言えば、ティアが銃を持って来ていたのを思い出す。
「フリントロック式ですわね。こちらの注文通りで出来栄えも中々ですわ」
メアラは、ターシャに依頼して銃の試作をしていた。
あたしは、最初は火縄式の物で良いのではないか?と言ったら「ダメですわ。それですと、雨が降ると使用出来なくなりますわ。それなら最初からフリントロック式を導入した方が後々手間を減らせますわ」
「試し撃ちはしたの?」
「昨日届いたので、早速撃ちましたわ」
「えっ?したの?」
「ハイ」
「リル様凄かったですぞ。弓では到底届かない150セル程離れた場所から、20射して19射がほぼど真ん中。逸れた1射も真ん中を僅かに外れただけですぞ。弓でもこれだけの名手は居ませんぞ」
タレザは、メアラの射撃の腕の凄まじさに、兎に角ベタ褒めだ。
「フフフ。私自身驚いているのですわ。ライフル銃でも無いのにあれだけの命中率。本来なら良くて的に5発当たれば上出来ですわ。それは、ターシャさんが初めて銃を作るにも関わらず、私が注文した寸法を寸分違わず、これだけの物を作って頂けたからですわ。旋盤も無いのに凄い腕ですわ。ターシャさん程の名工はあちらにも居ませんですわ」
今度はメアラが銃の製作者であるターシャをベタ褒めする。
ターシャの妹であるタレザは、姉の事を我が事の様に誇らしげにしている。
それから、年が明け二月。
駐留地と陣地の建設が完了し、銃の方も百丁弾薬は三万発完成した。
ベリアル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字など有りましたらよろしくお願いします・・・一寸短いけど、どうしたの?」
セフェラ「書きたい事が出来たから、短いとは思ったけど切り上げた」
ベリアル「へぇ・・・ところで、次話のタイトルは決まっているの?」
セフェラ「決まっているけどヒ・ミ・ツ」
ベリアル「・・・セフェラがそう言う風に言っても
ちっとも
全然
全く
微塵も
似合わないね」
セフェラ「ひ、酷い」orz
ベリアル「ゴメン・・・言い足りなかった
壊滅的に
どうしようもなく
素晴らしく
似合わないね」
セフェラ「は、ハゥッ!」(バタッ)
ベリアル「・・・大根役者」(ボソッ)
メアラ「それでは、今後とも、新米辺境領主リルーエットの、異世界奮闘記をよろしくお願いします」
セフェラ「エーまだ続きが有るのに締めないでよ」
メアラ「締めさせて頂きます」(ニコッ)
セフェラ「・・・りょ、了解」




