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辺境領リネルメ興隆記  作者: 常世神命
五章 農政改革
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十話 ゾアレ村のリゾート開発をしました2

ベリアル「いつもありがとうございます・・・・・・一寸時間掛かり過ぎじゃない?」

常世「何かねぇ。インスピレーションがねぇ・・・」

ベリアル「えっ?常世にそんな物が有ったの?」

常世「失礼ねぇ。アチキにだって有るよ」

ベリアル「ってか、ただ単にネタ切れでしょ?」

常世「・・・」

ベリアル「図星かぁ・・・それでは、十話、ゾアレ村のリゾート開発をしました2をどうぞ」

「ハァ~。いいお湯ねぇ」

今、あたしは、旅館内に在る、従業員用の風呂に入っている。


浴室の広さは、横が12セルで、奥行きが7セル有り、2セル×4セル深さ2デルセルの湯船が奥に在る。

今は、朝の忙しい時間帯なので貸切状態だ・・・と、思ったのだが・・・


「リル。確かにいい湯だねぇ」

そこには、ベリアルが居た。


「なんで貴女が居るのよ。ザールラントで仕事してたんじゃないの?」


「僕だって、たまには世俗の喧騒を忘れてゆっくりしたい時はあるよ」


「・・・何か裏が有りそうねぇ・・・サラに言われて来たんじゃないの?で、サラが近くに居ないから、気が抜けたんでしょ」

ぶっちゃけ、逃げて来たんだろうけどね。


「ってか、あのサラって子なんなの。僕は悪魔だよ。それもアッチなら上から数えた方が断然早いという位強いし、それだけ地位も高い悪魔なんだよ」

ベリアルは、話しながら涙目になる。


「そんな事知ってるわよ」


「そんな僕に対して、あのサラって子は・・・」

何かトラウマでも有るのか、ベリアルは湯に浸かっているのに身震いをする。


「で、兎に角何の用なの?」


「サラが言うには、「リル様。暫くそちらに居るつもりなら、税収が増える様な事をして下さい」って言ってたよ」


「・・・仕方ないじゃない。王都とゾアレ村とを結ぶ街道の殆どは、他の領地だから、街道を整備する事が出来ないのよ」


「それなら、王都とラゼリアを結ぶ街道を造れないかな?」


「・・・そうねぇ・・・ベリアル、地図有ったかしら?」


「地図なら有るよ。ちゃんと魔法で撥水加工してあるよ」


「なら、ちょっと出して頂戴」

ベリアルが、アイテムボックスから、王都とリゼルア辺境領を含む西半分の地図を出す。

あたしは、そう地図を見て、王都からラゼリアの間の土地の帰属を確認する。


「これで見ると、王都からラゼリアの間の地域で、このルートとこのルートなら、辺境領と直轄領以外の領地は無いわね」


「それで、王都側の街道の起点は既存の街道から延ばすの?」


「そう言う事は無いわ。確か、幅1セル高さ1セル半程度の大きさの門が在った筈よ」


「ふーん。それなら、どうせ城外に発着所に造るのだから、門の大きさは関係無いね。でも、馴染みが無いから、城内に定期便を走らす必要が有るんじゃない?」


「下りないのよ」


「ん?笑いの神が?」


「違ーう!城内での定期便の就行の認可がよ」


「分かってたさ。既存の辻馬車の運行に影響するって事でしょ?」


「そうよ。その辻馬車を管轄しているのが、保守派筆頭のマクドナル侯爵よ」


「あちゃ。それじゃ絶対認可なんて下りないね。改革派筆頭のリルーエット辺境伯」


「わたしが推進する、農政改革にも強固に反対してるし、何なのよあのゲーハーは」


「えっ!?あれってズラだったの?」


「そうよ。改革派の一部には、農業の不振に、山林の過剰伐採を揶揄して、不毛の領主って言われてるけど」


「おお、上手い事言うねぇ」


「話しを戻すけど、城内での定期便の就行の認可は下りなかったけど、営業所は作れたわ」


「城外の停留場だけでは不十分だもんね」


「そうよ。場所は城内の大広場に面した所に、空き(むね)が一棟在ったから棟ごと買ったわよ。木造三階建てで、部屋数は25有ったけど、一階全部をリネルメ旅客のフロアにして、二階、三階を他のグループ会社のオフィスにしたわ」


「へぇ、良い所に物件が在ったんだね」





あたしと、ベリアルがそう話し込んでいると、ウィンネがお盆を持って来る。

(ぬし)様よ。酒を持って来たぞ』

そのお盆には、共和国から取り寄せたワインの瓶と、おちょこ位の大きさの器がみっつ乗っていた。


「ありがとうウィンネ。器がみっつ在るという事は貴女も飲むんでしょ?」


『ウム。そのつもりじゃ。ほれ』

ウィンネは、お盆を湯船の傍らに置き、器をひとつあたしに渡す。


「ありがとう。ベリアル。貴女も飲むでしょ?」


「そりゃ当たり前田のクラッカーだよ」

あたしは、ベアリルに最後のひとつを渡す。


「大銀貨四枚(約80万円)したんだから大事に飲んでよね」


「へぇ。このワインそんなにしたんだ」


「そうよ。共和国の名産地の40年物のワインだそうよ。何でも、当たり年の物だから、向こうで買ってもこちらの換算で最低大銀貨三枚はするそうよ」

まぁ尤も、安物って言われるワインでも大銅貨数枚掛かるので、庶民は飲めないのだけど・・・

庶民は、その安物を更に水で数倍に薄めたやつを飲んでた。

一度飲んでみたけど、粗悪品と思えるほど不味かったわ。

そんな物でも、王国のお金に換算すると、一杯小銅貨五枚(約千円)も要る。

安物のワインを一度飲んでみたけど、地球で言えばコンビニとかで買えるテーブルワインね。

あたしは、気軽に飲めてこっちの方がいいかな?


『フム。中々味に深みが有るのはそのためか』


(あぁ。ウィンネは水の精霊さんだもんね。あたしは違いが分からないわよ・・・そこ!貧乏舌とか言わない!悪かったわねぇ。貧乏舌で・・・)





「あー、何かおつまみが欲しいねぇ」


「そうね。何か有ったかしら?」


『主様よ。アイテムボックスに何ぞ有るのかのぅ?』

ワインも残り半分位になって、アテが欲しくなったので、アイテムボックスの中を見て、何か無いか確認すると、干し肉が丁度三切れ入っていた。

入れた記憶無いんだけど・・・


「干し肉が入ってたわよ」


『干し肉か』


「この際何でもいいや」

この酔っ払い共め・・・ってあたしもだけど・・・

兎に角、干し肉をそれぞれに渡して、チビチビ食べながらワインを楽しむ。


『噛めば噛むほど味が出るのぅ。その後ワインを流し込む・・・・・・贅沢なひと時じゃのぅ』


「同感。冷えたビールなら尚いいんだけどなぁ」


『・・・ん?ベリアルよ。ビールとは何ぞや?』


「あぁ。ビールはこっちに無いのねぇ」

という事で、あたしはウィンネにビールの事を説明する。


『そう言う物なら、一度飲んでみたいのぅ・・・とは言え、残念な事じゃが、この世は食うのに精一杯で余分な麦は無いのぅ』


「そうねぇ。もう少し生産量が増えないとダメかしら」

そう、リネルメでは、あたしが領主になってから、農法を擬似三圃制にした事で、穀類の単位面積当たりの生産量も増えているし、風車による地下水の揚水も行っているので、耕地面積自体も約四倍位増えている為、穀類だけで言えば、その自給率は100%を超えている。


しかし、リネルメ以外では、まだ二圃制すら行われておらず、あたしと同じ改革派の領主が、擬似三圃制をあたしが農務卿に就任してからしばらくして導入したので、リネルメを除いた王国全体として見ると、穀類の自給率はやや減少している。

なので、余剰分はドンカッター商会経由で流さざるを得ないので、とてもじゃないが、醸造に回せる穀類は今のところ全く無い。


共和国は、王国と違ってそれなりに降水量が有る為に、近隣国に輸出する位は生産量が有るので、お酒を造る事が出来るが、醸造の技術自体が秘匿されている為に、お酒の生産量は少なく、その為に高価なのである。


「ハァ。湯に浸かりながら、お酒を飲むなんて贅沢だわねぇ」


「この世界の事情から言えば、王様でもやってないんじゃない?」


「何か、どうでもよくなっちゃうわ」


「そうだよね・・・朝焼けが綺麗だねぇ」

そう、この従業員用の浴場は、露天風呂になっている。

当然、周囲は高さ1セル半ほどの長さの板で囲っているが。

細かい時間を言えば、今は二つ刻半ほど(午前5時位)で、季節は晩秋。

つまりは朝風呂である。

そこに、湯船に浸かり、朝焼けを見ながら酒を飲んでいるのだから、この世界でなくても贅沢なのは確かだろう。


「社長。お持ちしました」

少しすると、ゾアレリゾートの従業員が、朝食を三人分持って入って来る。


「ありがとう。そこに置いて頂戴」


「承知致しました」

従業員は、あたしが指定した場所に朝食を置くと、浴場を退室する。


『この上、この場で朝食とは・・・贅沢じゃのぅ』


「同感。どんなに贅の限りを尽くした料理が出されるよりも、遥かに贅沢だよ。」

あたし達は、自然の景色をながめながら朝食に舌鼓を打つ。



ベリアル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字など有りましたらよろしくお願いします・・・タイトルサギ?」

常世「いやいやいや。一応有るし」

ベリアル「何処に?」

常世「・・・・・・あ、あれだよ、ほら、ゾアレ村へのアクセスを良くする為の、ラゼリア経由の街道整備が有るじゃん」

ベリアル「それ、強弁じゃない?ってかどう見ても、リルと僕とウィンネが風呂を楽しんでる様にしか見えないけど・・・因みに、スタートからラスト迄、一時間も経ってません」

常世「いや、それだけじゃないし」

ベリアル「じゃぁ具体的にどの辺り?」

常世「・・・いや、一寸待ってよ」

ベリアル「待てないよ・・・縦んば有ったとしても、略お風呂回としか思えない感じなのは分かってるよね?」

常世「いや、ゾアレ村のリゾート開発回だよ」

ベリアル「まだ言うか!・・・リルぅ。コイツ何とかならない?」

リル「言って何とかなるなら、こんなにはならないわよ」

ベリアル「それもそうか・・・常世。これからは?」

常世「・・・一応、農務卿としての話しも入れたいなぁ・・・とは思っているけど・・・ほら、この章のタイトルが農政改革だし」

ベリアル「あっ!そう言う意味では、随分脱線してるんだね・・・」

リル「章タイに見合う内容の話しも書いてよね。そうじゃないと次章に入り難いわよ」

常世「そう言えばそうだねぇ」

リル「コイツわ・・・兎に角、今後とも、新米辺境領主リルーエットの、異世界奮闘記略して、リルの奮闘記をよろしくお願いします」

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