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辺境領リネルメ興隆記  作者: 常世神命
五章 農政改革
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九話 ゾアレ村のリゾート開発をしました1

常世「いつもありがとうございます」

ベリアル「おっ!今回は中々早いジャン」

常世「前回より少し短いけどね」

ベリアル「それでもさ」

常世「・・・・・・」

ベリアル「どうしたの?」

常世「ネタが無い」

ベリアル「・・・兎に角、リアルじゃいよいよ夏だねぇ」

常世「今年の冬の状況から、冷夏だと予想してたんだけどなぁ」

ベリアル「その予想とは真逆で今年も暑そうだねぇ」

常世「嫌になるね。インドとかは熱波のせいで連日40度超えとか想像したくないねぇ」

ベリアル「今年は日本も、普通に40度を超える日が何日も有るんじゃないの?」

常世「ハァ、気が滅入るよ」

ベリアル「仕方ないよ。ラニーニョ起きなかったみたいだし、前回は何年前だっけ?」

常世「随分前だとしか覚えて無いよ」

ベリアル「今年は空梅雨って噂だから節水に気を付けないと」

常世「それとは真逆の所も有るけど、もう一寸ねぇ何とかならないのかなぁ」

ベリアル「自然の事だしどうにもならないよ。兎に角、ゾアレ村の方はどうなの?」

常世「それは、これからの話しだよ」

ベリアル「という訳で、それでは、第九話、ゾアレ村のリゾート開発をしましたをどうぞ」


まだ、リネルメ土木の連中の半分が、今回の街道整備事業が終わっても、残務整理で残って居たので、早速とばかりに指示を出す。


集落東側の廃屋は全て撤去。

撤去後の廃材は、建材として再利用出来る物は利用し、そうでない物は、木材ならリネルメ窯業に運び木炭として再生産する。


集落西側は、ゾアレリゾートの宿泊施設を中心に廃屋を鑑定して、修繕すれば使える物と、もう匙投げ撤去するしかない廃屋とを選り分けて、前者はゾアレリゾートの宿泊施設としてか、再び住居として、使用出来る様修繕工事し、後者は、東側と同様の処理を行う様に現場監督に伝える。





廃屋の撤去、修繕作業が始まってから半月経つと、東側は七割程撤去が進み、その端には建材として再利用出来る物と、リネルメ窯業に運び木炭として再生産する木材などが山積みになっている。

雨が少ないせいか、建材として再利用出来る物が結構多い。

とは言え、東側だけでも千軒を超える廃屋が在るので、木炭として再生産して売った場合の純利益で、この事業で必要な資金の何割・・・具体的に言えば、三割から四割程度は最低でも賄える。

再利用出来る建材に付いては、ゾアレ村リゾート化計画で余る分は、半分をリネルメ土木に買い取らせて、残り半分は、ドンカッター商会に売却する。

その売却益で、どう贔屓目に見ても、五割は賄える事が分かっている。

あたしは、残りの一割強の資金を工面すればいいという事だ。

一割と言っても、一千万ズゼは最低要る見通しなので・・・さてどうしたものか・・・

兎も角、無い物ねだりしても仕方ないので、今有る物を活用するしかない。





数ヶ月後、温泉が加わり、ただの宿泊施設だったのが、温泉旅館に変貌し、浴場は四ヶ所、廃屋を修繕した客室が百軒を数える様になり、旅館の外にも公衆浴場を建設した。

旅館の稼働率は、まだ三割程度だが、徐々に増えて来ている。

その客層も、最初の頃は、行商人が殆どであったが、現在は、この温泉目当ての観光客が増えて来ている。

一週間後には、王都とゾアレ村とを結ぶ定期便が一日二便就役する予定だ。

王都からゾアレ村迄は徒歩だと、一刻二千セルで大体一日三刻程歩いて、十一日と少し掛かる所を、リネルメ旅客の定期便なら、朝三つ刻に王都を出れば、途中休憩を入れて、夕方八つ刻には到着する。(約十時間)

尤も、街道が整備できればもっと早く着くのだが、あたしの領地でも無ければ、直轄領でも無いので、それが出来ない。


王都側の発着所は、入市税の関係で城門の外に在る。

そこは、馬車が常時四台待機していて、厩舎に従業員用の宿泊施設も併設されている。

運賃は、王都からゾアレ村迄銅貨二枚(約4,000円)

現時点でも、ゾアレ村を経由してほかの領地に行く便は有るが、四日に一便しか出ていない上、運賃もゾアレ村迄乗って倍の銅貨四枚も掛かる。

しかも、リネルメ旅客の馬車の様に板バネを入れて無いので、乗り心地が悪い。


「みんな頑張ってる?」


「あっ!社長。計画通り順調ですぜ」


「そう、ありがとう。でも、まだこれからだから頑張って頂戴。あと、社屋に酒樽を何樽か置いて行くから、仕事が終わったら、みんなで飲んでね。くれぐれも深酒はしない様にね」


「おい!野郎共。社長が差し入れを持って来て下さったぞ。今日の終業迄のあと数刻、頑張るぞー」


「「「「おー!」」」」


さてあたしは、今、王都の発着所まで来ている。

開設作業に忙しい従業員に、激励をしにやって来た。

まぁ尤も、他に用事が有ったのだが、喜んで貰えてなによりだ。

入市税対策に、関係者用の係留所に預けていた馬車を受け取り、ゾアレ村に戻る事になった。





就行同日、今か今かと、王都から来る定期便を、このゾアレ村で待って居た。


「リルぅ。馬車が来るの夕方でしょ?もうお昼だから、ご飯にしようよ」


「そうは言うけど、理論的にはそろそろ着いても・・・」


「それは、ちゃんと街道が舗装されてればでしょ?こんな悪路batな街道じゃ、まず不可能だよ。メアラさんが作った料理早くしないと冷めちゃうよ」

ティアは、あたしに未だ来ない馬車を待つより、早く昼食にしようと催促する。


仕方ないので、昼食を摂る事にしたが、緊張で折角メアラが作ったおいしい料理なのに味が分からない。


それから、ヤキモキしながら待つ事二刻。

遂にそれらしき影が見えて来る。


「来たか!」


「ちょ、リルぅ。ここで待ってなよ」

あたしは、興奮して思わず駆け出そうとするも、ティアに押さえられる。


「そうは言うけど・・・」


「リルの肝入りの事業なのは分かるけど、少し落ち着こうよ」

尚もソワソワするあたしを、ティアが(たしな)める。


それから四半刻すると、ようやく最初の便が到着する。

あたしは、乗客を労うべく、おそるおそる馬車に近付き、中の様子を見ると、改造を加え、十人乗りのを三十人乗りにした馬車に、二十人もの乗客が居た。


事前に王都内で宣伝はしたが、温泉旅館自体馴染みが無いし、宣伝という行為すら馴染みが無い状況で、最初の便で乗車率66%という数字は、上出来どころではない上々な成果だ。


乗客は、二台目の馬車に積んでいる荷物を、御者から各自受け取り、ゾアレリゾートの職員に先導され旅館に向かう。

この際、荷物を受け渡す時に、事前に割符を使い、片方を荷物に括り付け、もう片方を持ち主が持つ事で、間違える事無く荷物を受け渡す事が出来る。

仲間内という事なら、そんな面倒な事をしないで済むのだが、この旅客便は、ほぼ赤の他人どうしなので、偽って受け取る、という事をする輩が居ないとも限らないので、日本とかではお馴染みだが、この世界用にアレンジしてやってみた。

乗客の感想を聞いてみた所、「最初は不安だったが、しっかりした見張りが居るし、割符も有るので、自分で管理する事が無い分、楽して馬車旅が出来た」と言った感じの感想がたくさん有ったのは、更に満足する事が出来る結果になった。





それから一ヶ月。ゾアレリゾートの従業員への指導を一旦終え、あたしは、関係者用の浴場に浸かっていた。

定期便の乗車率は、平均して七割から八割位で、旅館の稼働率も六割を超えて、中に数名長期逗留する人も出だした。

どうやら、傷や病気に効果が有るらしいと、口コミで広まっている様だ。

因みに、一泊二食付きで銅貨二枚。

長期逗留の場合昼食は?という話しになるが、別途小銅貨一枚で軽食を頼める。


(今後、長期逗留者向けのプランも考えておかないと。それに、観光スポットの開発もしないと、何も娯楽が無い状態で一ヶ月の逗留とか、かなり厳しいものがあるもの)


兎に角、温泉旅館が順調に滑り出せて良かったと、ゆったり浸かりながら思った。


ん?タレザ?

あんなレズっ子入れる訳無いジャン。

当の本人は、血の涙を流しながら入れる様、あたしに懇願したが・・・


ベリアル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字など有りましたらよろしくお願いします。で、見事に齟齬が生じちゃったね」

常世「そうなんだよね。地図で見た場合、王都からザールラントまで馬車で三日の距離だと、王都からゾアレ村(大体ワジの交点の近く)まで一日で到着なんて有り得ない訳だけど、個人的には一日で到着させたいので、一章の方の内容を後日修正します」

ベリアル「期日を決めない所が常世らしいよねぇ。で、大体距離的に何れくらい?」

常世「王都からゾアレ村までは約135kmとしています。それで、馬車の速度15km/hで休憩に計一時間使って、全行程10時間という事になります。因みに、全行程舗装されていない、という前提条件が有ります」

ベリアル「確かに、それだと、王都からザールラントまで三日も掛からないよね。掛かっても精々4時間位だよね」

常世「王都からザールラントまでの全行程の内、リネルメ辺境領内に当たる約七割が舗装されているので、リネルメ旅客の馬車なら2時間半位で行ける計算になるね」

ベリアル「因みに、時速15kmってリネルメ旅客が使っている馬車での速度だよね。一般的な馬車だと何れくらい出るの?」

常世「一般的な馬車だと、良く整備されている馬車でも、時速10kmに満たない。そうでない馬車は精々時速6kmといった所。まぁ歩くよりは早いし楽って感じだね。因みに、運賃は王都内は一律小銅貨五枚で、王都からゾアレ村までだと銅貨五枚掛かる」

ベリアル「へぇ、リネルメ旅客の運賃って安いんだね」

常世「リネルメ旅客の馬車が定員30人なのに対して、一般的な馬車の定員が10人というのも大きい。それに一般的な馬車の場合、乗客の手荷物の量で定員が減るし、定員通り10人乗る事は滅多に無いよ」

ベリアル「へぇ、そうなんだ。まぁ、常世的には、これを基準にって考えているんだろうけど、どうせ話しが進んで行くうちに、また齟齬が生じて変更になるのがオチだね」

常世「否定出来ない所が悔しい」

ベリアル「さて、タレザが抗議して来ない内に締めるね」

常世「わかった」

ベリアル「それでは、今後とも、リルの奮闘記をよろしくお願いします」

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