八話 土精霊と契約しました
常世「いつもありがとうございます」
ベリアル「少なくても、これの間隔で書かないと」
リル「あたし的には、3日で更新して欲しいわねぇ」
ベリアル「無理でしょ」
リル「確かに無理よねぇ」
常世「二人共、何気に酷くない?」
リル、ベリアル「「出来るの!?」」
常世「ぜ、善処します・・・」
ベリアル「テンプレとか無いわ」
リル「いつもの事じゃん」
ベリアル「ハイ、ハイ、そんな落ち込まないで、いっぱいハグしてあげるから」
リル「そんなに甘やかしちゃダメよ・・・と言っても、あまり厳しくして放置しちゃったら、本末転倒だし・・・」
ベリアル「兎に角、第八話、土精霊と契約しましたをどうぞ」
早速あたしは、ラゼリア庁舎の裏に行って、適当な場所を探し、土精霊を喚び出す為に念じた。
暫くすると、辺りが薄暗くなり、その中心部が、仄かに明るくなる。
『・・・ようやくですか・・・貴女は・・・リルーエット様で宜しいでしょうか?・・・姿形はリルーエット様なのですが、魂の色は微妙に違います。お教え願いませんか?』
喚び出す事に成功したが、やっぱり、一からかいつまんで説明しないといけない様だ。
ちなみに、この娘は、名前をゼセテルールと言い、あたしがバブーと言う様になってからの付き合いだ。
髪は緑色で、マチルダを思わせる肢体で、マチルダと違う点は、ある部分が異様に大きい所だ。
・・・羨ましい・・・あたしもあれの半分位は欲しい・・・と言いたいが、ちょっと大き過ぎ。
出合いの切っ掛けは、当時、あたしはどうやら見える子だったらしく、ある日、ゼセルが屋敷に来た時にキスをしたらしい。
あたしが危篤だった時は、悪くも長からの命令で、その二週間前から一時的に屋敷を離れていた。
『・・・そうでしたか・・・そういう事でしたら、再契約という事で宜しいでしょうか?』
「それで構わないわ・・・それで・・・ちょっと聞きたい事があるのだけどいいかしら?」
『構いませんよ。どういった事でしょうか?』
「・・・その・・・契約の時なんだけど・・・あれ・・・じゃないとダメなのかしら?」
『契約の際にする接吻の事ですか?それでしたら、この世界の創世の頃からの掟の様な物なので、遺憾ですが変更不可能です』
「あぁ・・・やっぱりダメなのね・・・」
ゼセルの残酷な答えに、あたしはガクッと項垂れる。
「仕方ないわ。ではサッと済ませましょ」
『承知致しました』
そうすると、ゼセルの方からあたしにキスをしてくる。
それは、互いの舌を絡める濃厚なものだった。
(ゼセルの想いが、あたしの中に入って来る・・・)
暫く互いに無言になり、あたしの方から声を掛ける。
「ありがとうゼセル」
あたしがそう言うと、ゼセルは顔を真っ赤にして慌てる。
『い、いえ、わたくしは大した事は何もしてませんよ』
「違うわ。わたしの事を想い続けてくれていた事よ」
あたしがそう言うと、ゼセルは更に顔を真っ赤にして、その尖った耳まで真っ赤になり、さながらゆで蛸の様だ。
『そ、そんな・・・わたくしには勿体ないお言葉です』
「これからよろしくね」
『こ、こちらこそ粉骨砕身お仕え致します』
「さて・・・始めますか」
契約が無事終わり、あたし達は、ゼセルに手伝って貰って、温泉を掘って貰う為に、ゾアレ村に戻って来た。
『その・・・ここ・・・ですか?』
「そうよ。ここがあたしが運営する宿泊施設よ。道中で説明したけど、この施設内に温泉を当てて欲しいのよ」
『・・・残念ながら、わたくしでは無理でございます・・・申し訳ありません』
「無理って事は在るのね?深さはどれ位?500セル?それとも1000セル(約2,000m)位かしら?」
あたしが凡その深さを言うと、ゼセルは驚く。
『えっ!何故分かるのですか!?確かに深さにしたら大体600から700セル位ですよ。でも、わたくしの能力では精々500セルがいい所、ですので、無理だと申したのです』
「それなら、わたしが手を貸そうかしら?」
『えっ?失礼ですが、リル様は・・・』
ゼセルは、半信半疑であたしの方を見る。
「いいから、手を出す」
『はい』
ゼセルから、差し出された手を掴み、あたしは、大気を自分の中に取り込む様な感じと、それをあたしからゼセルに流れるイメージを浮かべた。
『!!凄いです。これなら1000セルどころか、1万セルでもいけそうです』
「いや、1万セルも要らないから。兎に角、温泉までお願い」
『承知致しました』
四半刻程すると、温泉の水脈に当たったのか、豊富でないにしろ、体感で、1分間に一斗缶一本分の温泉が湧き出て来た。
「何とか成功ね」
『リル様。その、この温泉ですが、後程湯船を拵えて、そこに注ぐとしても、それまでは、そのままなのですか?』
「ああ、失念してたわ。急いであそこの排水溝に繋ぐ必要があるわね」
『それ位でしたら、わたくしにお任せください』
ゼセルはそう言うと、魔法を使って地面に深さと幅が半デルセル四方の溝を作り出し、それを30セル程先の排水溝に繋げる。時間にしたら四半刻の半分も掛かってはいない。
「ありがとうゼセル。しばらくはこのままね・・・さて、温度はどうかしら?」
あたしは、そこでウィンネを喚ぶ。
『ん~、何じゃ。主様かぇ。どうしたのじゃ?』
「ゼセルと一緒に温度を掘ったんだけど、ちょっと触るのがねぇ・・・」
『そう言う事かぇ・・・フムフム・・・これ位なら直に触っても火傷はせぬぞ』
ウィンネはそう言うと、温度の状態を調べてくれる。
「そう、それなら・・・」
あたしは、アイテムボックスからコップを取り出し、温泉水を汲み、またアイテムボックスに入れる。
ガラスコップ(温泉水入り)
泉質・・・・炭酸水素塩泉
ラゼリア地方に眠る一般的な泉質を持つ水
地下深い所の物なので、多少ミネラルも含む
飲用する場合は、そのままでは飲めない為、濾す必要有り
『リルちゃん。結構澄んでるし・・・とか思っても、絶対に濾してから飲んでね』
(何、この説明文。まぁ、泉質とかは良いとして、最後のリルちゃん辺りからの行は・・・フランク過ぎるのだけど・・・)
あたしは、アイテムボックスに表示される説明文を見てどっと疲れが出た感じがする。
とは言え、飲むなと言われると、逆に飲みたくなるのが人情というもの。
『リルちゃん。ダメって言ってるでしょ。飲んだらルシフェルの雷が落ちるわよ。ホントに絶対そのまま飲んだらダメだからね・・・ホントに絶対・・・そのまま飲んだらダメだからね・・・大事な事だから二度言ったわよ』
ではと思い、取り出そうとすると、説明文が変わった。
(・・・ってか誰よ。あたしの事を、リルちゃんなんて呼ぶ者の心当たりは無いわ・・・精霊女王?会った事も無いのに・・・兎も角、説明文が煩いし、ウィンネに頼むか)
「ウィンネ。ちょっと頼みたい事があるのだけどいいかしら?」
『どんな事なのじゃ?』
「この、温泉水の成分はそのままで、体に悪い不純物を取り除いて、飲める様にして欲しいのだけど」
『フム。そう言う事かの。ならば、その器を渡すのじゃ』
あたしは、アイテムボックスから温泉水の入ったコップを、説明文を無視して取り出して、ウィンネに渡す。
『ほれ、出来たぞ』
ウィンネはそれに何か呪文らしきものを唱えると、直ぐにそれをあたしに渡してくる。
「・・・大丈夫?」
『ウム。主様の要望通りじゃぞ』
あたしは、ウィンネからそれを受け取り、飲んで見る。
(・・・微妙ねぇ。ホントに健康にいいのかしら?まぁ、一々浄化しないといけないのは面倒だから、浸かるだけでいいかな)
『どうなのじゃ?』
「微妙ねぇ」
『にしても、何故これを飲むのじゃ?』
「わたしの居た国では、こうした温泉が全国各地に在って、観光で訪れたり、病気を治す為に訪れて【湯治】という事をしていたわ。その過程で、飲んでも効く温泉というのも在ったのよ。それなら、極端な話し、温泉水を汲める様にしとけば十分だから、お金を掛けずに温泉を利用出来る訳よ。有名な所は、遠方から態々何時間・・・この世界なら何日もって距離を掛けて来る人も多いのよ。わたしは、仕事が忙しくて、そんなお金も時間も無かったから、内風呂に入浴剤を入れて済ませていたわ」
『ホウ。して、入浴剤とは何なのじゃ?』
「入浴剤とは、人工的に温泉の成分を模して作られた物よ。わたしの居た国では、各家庭に内風呂が普及していて、遠くの温泉地に行きたくても行けない人は、その入浴剤を入れて、温泉地に行った気分に浸ったりするのよ。だから、人気の温泉地を模した入浴剤は、結構売れるのよ」
『そうじゃったか』
「そう言う事。それで、この温泉の泉質は炭酸水素塩泉。別名重曹泉という物で、疲労回復に効能が有るのは元より、痛風とかにも一定の効能が期待出来るわ。飲用した方が効能が高い病気も有るけど、飲むのには適して無いのは残念な所ねぇ。さて、この温泉を目当てに来る金持ちに期待して、今の規模の倍の規模にする必要が有るわねぇ」
兎も角、簡単なゾアレ村の周辺を拙いが図にしてみた。
黄色い線が、ゾアレ村が一番栄えていた時期の市街地の範囲だ。
赤色の線が、ゾアレ村の現在の市街地になる。
当然、黄色線内、赤色線外の範囲は全て廃屋になる。
あ、ゾアレリゾートの宿泊施設は当然除外となる。
そして、その廃屋の殆どは所有者不明であり、当然、領主であるあたしに裁量権が有る。
何千も有る廃屋を、活かすも殺すもあたし次第という事だ。
ベリアル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字等有りましたらよろしくお願いします・・・遂にゾアレ村のリゾート開発が始まったねぇ」
リル「そうねぇ。資金繰りが大変だけど。まぁ、やっぱり日本人なら温泉よねぇ。中々いいわよゾアレ村の温泉」
ベリアル「へぇそうなんだ。因みに、何故に重曹泉にした訳?」
常世「家の近所・・・と言っても数分・・・いや、10分位歩くんだけど、そこに赤〇温泉って言う温泉が在るんだよ」
ベリアル「入りに行った事は有るの?」
常世「いや、どうもねぇ、近くに在ると何時でもいいやみたいな感じになって、まだ、入りに行った事は無いよ」
ベリアル「ダメジャン。で、その赤〇温泉の泉質が重曹泉だと」
常世「そう言う事」
ベリアル「今度、入りに行ったら?」
常世「んー・・・今度ねぇ」
ベリアル「何か行く気無さそうだなぁ」
リル「何!10分歩くのが嫌?バスが有るジャン、バスが、あたしなんてザールラントからゾアレ村まで、どんだけ掛かると思ってんのよ」
常世「何れくらいって、確か、ザールラントを朝6時の便で出て、ラゼリアで一泊して、ゾアレ村に着くのは翌日の昼過ぎだっけ?」
リル「何事も無ければ、13時半頃よ。ラゼリアだって朝4時出発よ。贅沢言わないで。年内に一度は入りに行く事、いいわね?」
常世「善処します」
リル「・・・」
ベリアル「兎に角、今後とも、リルの奮闘記をよろしくお願いします。次回は、リゾート開発をしましまになると思います」




