七話 リゼルア辺境領の端に来ました
ベリアル「いつもありがとうございます・・・あー前回は何時更新したのかな?」
常世「すいません、遅れに遅れまして」
ベリアル「せめて、週一更新でないと、忘れられるよ・・・というより、もうダメかな?」
常世 ブワッ
ベリアル「泣くくらいなら、何とか更新する努力しないと」
リル「泣いてる暇ありゃ更新しろ!!」
ベリアル「リルっち、そりゃ一寸厳しくない?」
リル「常世に関してはこれくらいが丁度いい」
ベリアル「確かにねぇ・・・まぁ、僕の主だし、もう一寸お目こぼし貰いたいなぁ」
リル「兎に角、今回はこれで勘弁するとして、今回は、ラゼリアラントの端の村に来て、さてどうするかって話しです。それでは、七話、リゼルア辺境領の端に来ましたをどうぞ」
あたしは今、ラゼリアから王都街道に向かい、その交差地点から東に馬車で二日の所に来ている。
村の名前は、ゾアレ。人口は二百人程度で、ラゼリアラントの東の端で、ラゼリア砂漠の東に位置する村だ。
街道上に存在するが、ラゼリア砂漠の中にある上に、特にこれといった産業が無いので、寂るに委せる感じになっている。
あたしは、この寒村の開発に着手する事になった。
昔は、この村も小麦が豊に実る穀倉地帯の一角で、ラゼリア砂漠自体も、この村から2万セル(約40km)の彼方に在り、人口も最盛期には一万を超える程だった。
それも、五十年程前の話しなのだが、それからは、毎年ではないにしろ、度々起こる干ばつに、小麦の増産に次ぐ増産に因る無理な耕作が加わり、急速にラゼリア砂漠が拡大していった。
少し前、ベリアルと気象の事で話し合っていたら、セバスチャンが「そう言えば、私が子供の時よりも、幾分寒くはなっていますなぁ」と言っていたのを覚えている。
という事は、この世界が寒冷化して来ているのではないか。
だとするならば、寒冷化に因り、内陸国で有るザルヘルバ王国は、その影響が特に強く現れた為、その分余所より降水量が減少し、砂漠の拡大に拍車を掛けたのではないかと推測出来る。
この村が、ラゼリア砂漠に飲み込まれたのは十年前。
その影響で、数年前から急激に小麦の収穫量が減りだし、農業で食えなくなった農家が離農し村も離れる。
という事が、ラゼリア砂漠の拡大に比例し増加していく。
十年前は折しも、その数年前に勃発した、隣国との戦争が長期化していて、兵士としての職ならばいくらでも有り、離農し村を離れた農民はこぞって志願した。
この流れは、ラゼリアラントだけではなく、全国的どころか、世界的な流れで、後世では【悪夢の百年】と言われる様になる。
あたしがセバスチャンから聞いて、推測してみたのだが、ザルヘルバ王国だけでも、贔屓目に見ても経済規模が戦前の七割以下にまで落ち込んだと思われる。
今現在でも、あたしのリネルメ辺境領以外は、それの良くて九割、運営が上手くいって居ない所は、寧ろ悪化、つまり規模が縮小している。
尚且つ、それが寒冷化の影響とするなら、今後も、農作物を中心に世界的に悪化の一途を辿る事が容易に推測出来る。
農作物の生産が減少すれば、食べる物が無くなる。
食べる物が無ければ、飢饉が起こり、奪ってでも肥沃な土地を手に入れ様とする国が出てくる事で、世界的に戦争が増える。
戦争が起これば、更に農民も徴兵され、農作物の生産が減少し、通商も滞り経済規模が縮小する・・・・・・負のスパイラルだ。
そんな中で、あたしが農務卿に就いた訳だ。
まったく・・・勘弁して欲しい。
あたしだって、農務卿に就任してから、自分の領地に付きっきりってわけでもない。
しっかりと、国内の食糧の生産高を上げるべく、仕組み作りをしている。
ザルヘルバ王国に限らず、この世界では、まだ二圃制は殆ど行われておらず、専ら焼き畑か、連作→収穫高減少→放棄→開墾→連作という物だ。
なので、輪作の導入となる。
あたしの領地みたいにいきなり疑似三圃制は無理なので、先ずは、耕作地と休耕地との二圃制からになる。
だが、ザルヘルバ王国はどちらかと言えば、武の国なので、内政で成り上がり、しかも【小娘】であるあたしの改革を快く思っていない領主は結構多い・・・寧ろ大半かも知れない。
なので現状では、あたしの所と友好的な小数の領主が導入に意欲的だが、交流が無かったり、交流が有っても批判的な領主の所には、導入が進んでいない。
あたしの所はもう七年も疑似三圃制(小麦→大豆→レンズ豆)をやっているので、そろそろ、大豆とレンズ豆の間にカブを挟んで四圃制に切り替えたい所だ。
そうそう、何故、あたしの領地の輪作には小麦の作付割合が少ないというと、ヨーロッパの半分くらいしか雨が降らない上に、冬は乾期で降水量が少なく、小麦に回せる水が少ないので、秋播きの小麦が作れない。
あたしの領地では、農業は雨期である夏にする物になっている。
話しが大きく逸れたが、なぜこんな寒村に来ているかというと、前述にも有るが、この村は街道上に存在している上に、この村を起点に他国へ繋がる街道が延びていて、言わば交通の要所になっているのだ。
それなのに、この様に寂れているのは、この村に農業以外の産業が無かったからだ。
そうでなければ、この村が栄えていない訳が無い!
兎も角、この村を、交易の重要中継地とするために、先ずは、宿泊施設を建設する事にし・・・・・・ああ、街道の整備が先だわ。
・・・・・・サラに「ラゼリアファームにお金結構使ってるのに、そんな余分なお金有る訳無いじゃないですか!来年にして下さい、来年に!」と言われてしまった。
のっけから暗礁に乗り上げるとは・・・
・・・異世界に来てまでお金、お金とは、世知辛い事だ。
あたしは一旦屋敷に戻り、家探しをしてみる。
由来なんぞ知った事か!という様な、出所不明な宝石と、初精錬記念にくすね・・・頂戴した金塊を、ドンカッター商会に売却して350万ズゼ(約7,000万円)の資金を作った。
その時、トコヨと名乗る女性と会ったが、問題ないなら召し抱えたい位の腕はしてた。
タレザとやったらどちらが強いのだろうと思った。
縁が有れば、また会う事もあるだろう。
「メアラ。一応軍資金は用意出来たけど、どうしょうか?」
あたしはラゼリアに行き、メアラに相談した。
「そうですねぇ。それでしたら、空き家を修繕してみてはどうですか?昔は一万人を数える位でも、今は二百人にも満たないのでしたら、相当数の廃屋が在る筈です。そういうのを宿泊施設として修繕する様にするなら、結構安く上がる筈ですよ」
(メアラはそう言ったけど、確かに村の中心から少し離れただけでも、随分空き家が在ったわねぇ。それなら、結構な数の廃屋を宿泊施設とする事が出来るわね・・・早速リネルメ土木に発注しないと・・・あたし個人だと後々面倒だから、この際、ゾアレリゾートって名前の会社を立ち上げるかな?)
それからあたしは、ザールラントにとんぼ返りをし、リネルメ土木にゾアレ村に在る廃屋を、宿泊施設として利用出来る様、修繕及び整備を発注しに行った。
数ヵ月後、ゾアレ村の一角に、二十軒の宿泊施設が完成する。
それは、日干しレンガを使った塀で囲まれており、食事をする場所は、施設の敷地の入口付近に、大きなレストランを作って、そこで済ませて貰う事になる。
この事に因り、村人を20人程雇用する事になった。
ドンカッター商会の誘致も上手くいき、ザールラントに初めて支店を開設した頃の様な、小規模だがゾアレ村に支店を開設して貰う事が出来た。
それから、十日程で年末になったので、メアラも連れて一旦屋敷に戻り、蕎麦が無いので、年越しうどんを啜り、この世界に来て八年目の年越しをする。
あたしが来た最初の年の年越しは、あたし、母、マチルダにセバスチャンの四人で、あたしが作ったうどんで年越しをしたが、今年の年越しは、ティア、ベリアル、タレザ、ターシャ、サラにメアラと、あたしの契約精霊達が加わり、ずいぶん賑やかな年越しになった。
年も明けて一月の半ば、また、ゾアレ村に来た。
ゾアレリゾート、ゾアレ村本店の状況を確認した所、稼働率は八割前後だと言う事だ。
まだ、出来て間もないのに、結構稼働率が高い。
それだけ、このゾアレ村を通る街道の往来が多い、という事だ。
年が明けて、ゾアレ村に来る迄、半月も過ぎたが、あたしは何も遊んでいた訳ではない。
更に宿泊客を呼び込むべく、街道整備の予算案を作成していたのだ。
まぁ、サラに二十回くらい「ダメです。リテイク!」と言われ続けたが、ようやく「これなら、合格です。今年分のに組み込んでおきます」と言ったので、それでは、ゾアレに向かおうとしたら、すぐに呼び止められ「ラゼリアファームはどうするんですか?現状で債務超過ですから、今年は500万位しか回せませんよ。兎も角返済の目処は立っているんですか?でないなら、今年の計画の概容を紙に書き起こしてから、ゾアレ村に行って下さいね」と言われ、更に三日ザールラントで足留めを食らう。
話しを戻すけど、現状の稼働率が八割程なら、今後の利用客の増加を見込んで、拡張しなければならなく筈だ。
とは言え、先立つ物が無いのでしばらくの間、規模は現状維持で、新たに浴場の設置がいい所だろう。
それから半年、ラゼリアから伸びる街道の新設と、ゾアレ村から境界迄の街道の拡張及び整備が終わり、街道を通行する交通量は、あたしが来た時の三倍位は有るだろうか、かなり交通量が増えた。
王都からゾアレ村を経由するルートは、整備拡張した街道がラゼリアラント内だけなので微増程度だったが、ラゼリア-ゾアレ村間は、殆ど行き交う人の居ない細く今にも消えてしまいそうな道から、幅が15セルで総石畳の立派な街道が出来てからは、ザールラントから王都を経由しなくても、ゾアレ村から隣接する他領に行ける様になったので、ゴール共和国から来る商人は、王都に用が無い場合、例外無くこの街道を通る様になった。
リネルメ旅客も、ザールラント-ゾアレ村、ラゼリア-ゾアレ村のルートを新設した。
前者が、朝昼夕の一日三便、後者が、朝と昼の一日二便運行する事になった。
宿泊施設は出来たが・・・・・・如何せん、観光資源が皆無だ。
(さて、どうするか・・・廃屋の整理も行わないといけないし・・・温泉でも掘るか・・・ああ、ボーリングが出来ないじゃん)
仕方ないので、また、ラゼリアに行き、メアラの知恵を借りる事にする。
「ん?お嬢様、土の精霊と契約は済ませましたか?恐らくですが、土精霊なら、ボーリングの問題も解決すると思いますわ」
と、メアラに言われ、今更ながらに気付き、ガクッと項垂れるのであった。
常世「ここまでありがとうございます。誤字、脱字など有りましたらよろしくお願いします。ええ、次更新は一週間以内に出来ればと思っています」
ベリアル「断言しない所が常世クオリティだよね」
リル「まぁ、端っから期待はしてないけど、もう一寸頑張ってよね。ホントに」
ベリアル「ん?何?時間無いの?それなら、次回予告だけ、次回は土精霊と契約しました。でお送りします」
リル「某アニメみたいに二本立てとか無いの?」
ベリアル「そりゃ無いでしょ」
リル「面白く無いわねぇ」
ベリアル「そう言う作品じゃないし」
リル「こいつがもう一寸面白いの書ければ話しは別なんだけとね」
ベリアル「ああ、それは分かる」
メアラ「それでは、今後とも、リルの奮闘記をよろしくお願いします」
リル「良かったら、ブクマとか評価してくれたら嬉しいなぁ」




