表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境領リネルメ興隆記  作者: 常世神命
五章 農政改革
58/101

六話 砂漠を開発しました5

タレザ「いつもありがとうございます・・・常世殿。私とリル様がイチャイチャするシーンが無いでは無いですか!」

リル「あたしがあんたとイチャイチャする訳無いじゃない。ややこしくなるから、あんたは黙ってなさい」

タレザ「ハイ」(シュン)

常世「何とか、一週間以内に上げれました」

リル「まぁ、当然よね」

ベリアル「毎日投稿している方に比べれば、大した事無い量だよね」

リル「兎も角、六話、砂漠を開発しました5をどうぞ」

それから、更に三ヶ月程経つと、人口の少なかったラゼリアにも、他所から仕事を求めて、多くの人がやって来る様になってきた。


あたしが来てから九ヶ月が経ち、ラゼリアの町は当初の約五倍程に膨れ上がった。


砂漠の農地化と言っても、作付けしているのは、主に油ヤシが殆どで、次には柑橘類と続き、穀物は一切無く、野菜が細々と生産される状態だ。

当然、小麦や豆などの穀物や肉類に、生活雑貨はラゼリアラント以外から持って来るほかない。


それで、ドンカッター商会の支店を、ラゼリアに誘致する為の交渉をしていたのだが、ようやくそれが実り二ヶ月前に小さいながらも、ドンカッター商会ラゼリア支店が開設された。


これに因り、今までラゼリアファームとラゼリア油脂の従業員の給料の一部を・・・というか半分を今月迄食料で支給していたのを、来月分から全て現金で支給する事になった。





「ラゼリアファームとラゼリア油脂の二社の運営資金は大丈夫でしょうか?」

経営なんて経験した事が無くて不安なのか、タレザはあたしに聞いて来た。


「タレザ。それは、メアラに聞いた方が早いわよ。まあ、ラゼリアファームで掛け買いした後、ラゼリア油脂で掛け売りして相殺しているから、実質現金が必要なのは人件費だけね。それに、貴女は、わたしが治める辺境領の、治安の責任者なんだからね。心配してくれるのは嬉しいけど、今、ラゼリアは急激に人口が増加している。わたしの予測だと半年後には、今より、倍とは言わないまでも、八割増し位にはなるわよ。砂漠の農地化一辺倒で、都市計画をおざなりにしていたツケが、今後乗し掛かって来るわ。今、メアラに早急に方策を練って貰ってるわ」


「そうでしたか・・・分かりました。しかし、法ではこれ以上兵は増やせませんが」


「それが、そうでもないわ。国法の書かれている書物を取り寄せ、わたしとベリアルで協議した結果、木の棒の様に金属製の刃が無い物なら、装備として大丈夫という見解に至ったわ。兎に角、現在、五百名募集しているのと、治安部隊の本部とする建物を、ラゼリアの中心部に作っているから、貴女には、その部隊の統括をしばらくお願いするわ。ゆくゆくは、辺境領全体にそういった仕組みを作るから、その時は、その組織の統轄をお願いするわね。ちなみに、わたしの護衛の任はそのままでね。でも、今後治安の方に集中して貰いたいから解くわよ」


「!?そ、それは、私は何か粗相致しましたでしょうか?」


「ん?何を言っているの?そんな事無いわよ。それどころか、良くやってると思うわ」


「それなら、何故、リル様の護衛の任から私を解くのでしょうか?考え直して貰えないでしょうか?」

あたしと離れたくないのか、タレザが懇願してくる。


「現状のままだと今後、領内の治安が悪化するから、貴女には、領内の治安が悪化しない様に、これから結成される治安部隊を統括して貰いたいのよ。この、治安の問題は、辺境領の経済発展にも影響する大事な事だから、信頼出来る貴女に頼みたいのよ」


「リル様ぁ。私は貴女から離れたくないですよぅ」

タレザは、泣きながらあたしにすがり付く。


「・・・仕方ないわねぇ・・・分かったわ、このラゼリアで何とかなる様に手配するわ。それでも昼間は、部隊の訓練をしてよね」


「良かった・・・」

あたしの話しを聞いて、タレザはホッと安堵する。


数日後、ラゼリア市内から少し離れたあたしの拠点前に、250名の治安部隊のメンバーが集められた。


あたしの拠点前は、縦50セル、横150セルの平らな砂地に芝を敷き詰めていて、ベンチとベンチが日陰になる程度の日差しの有る場所が、その周囲に何ヵ所か有り、さながら公園の様な感じになっている。

当然、この場所はあたし個人の持ち物ではなく、領政府の持ち物になっているので、通常は一般に開放している。


今日は、辺境領の治安部隊の発足式の為、四つ刻から一般の人を入場禁止にしている。


あたしはというと、拠点つまり辺境領公邸の窓越しに、タレザの勇姿を眺めている。

あたし自身、公邸の執務室で領主と農務卿の仕事をしている。

つまりデスクワーク中だ。


最初の方こそ、ラゼリアファームの従業員に農業指導をしたり、自身で従事したりと、六つ刻迄は外に居たが、今は四つ刻から、昼食時間を挟み、八つ刻迄一日中書類仕事に追われる日々だ。


(ああ、タレザが演説してるわ。それにしても、予想外に砂漠の農地化にお金が掛かるわねぇ)


そう、あたしの想定以上に、砂漠の農地化にお金が掛かっているのだ。

何も植物の生えていない不毛の砂漠を、農地にする訳だから、莫大な費用が掛かるのは覚悟していたし、そのために予算も組んだ。

ほら、そこ、組み込むのに失敗して金欠になってたんじゃないのとか言わない。


兎も角、スタートしてから早十ヶ月。

今年ももう残り三週間程になった。

あたしは、1000万ズゼ規模の費用を想定していたが、この十ヶ月の間に消費した費用は、倍近い1800万ズゼを既に使っている。

リネルメ地区の公共事業を幾つか凍結して、何とかその穴埋めをしているが、農地化出来た面積から言えば、砂漠全体の10%処か5%にも満たない。

この状況だと、最終的には50億とも、100億とも言う位掛かってもおかしくない。


タレザには言っていないが、ラゼリアファームの経営は芳しく無い。

ラゼリアファームは、前述の費用の内、800万は領政府からの借り入れ、つまりは借金だ。

収穫される油ヤシの実や柑橘類は、ラゼリア油脂やドンカッター商会に卸しているが、そこで売り上げた200万は農地化や人件費に回され、300万程足りない分は、金額分の社債を発行して、ラゼリア油脂が買い取るという形で何とか回している。

回しているが、大赤字なのは明らかだ。

ラゼリアファームを一時的に領有化するか、農地化するペースを落とすかしないと、二年目は迎えられない。


ラゼリア油脂は、ラゼリアファームから150万で仕入れた油ヤシから、油を抽出してそれを750万でドンカッター商会に卸している。

これから、ラゼリアファームの社債の購入費用と人件費合わせて380万を差し引いて、今年は220万の黒字だ。

大丈夫じゃん・・・と言いたい所だが、初期投資に500万掛かっていて、全て領政府からの借り入れになっているので、まだ280万・・・ああ、法人税を入れ忘れた。

法人税は、純利益の25%だから55万になるから、335万借入金が残る事になる。


ちょっと纏めてみる。

ラゼリアファーム

総資本・・・・・1,300万

 負債

  借入金・・・1,100万

  未払税金・・    0(赤字なので免除)

 純資産

  資本金・・・  500万

  剰余金・・・- 300万


総資産・・・・・1,300万

 流動資産

  現金・・・・  100万

  棚卸資産・・   50万

 固定資産

  土地・・・・  300万

  建物・・・・   50万

  樹木・・・・  800万(油ヤシと柑橘類の樹木)



ラゼリア油脂

総資本・・・・・1,020万

 負債

  借入金・・・  500万

  未払税金・・   55万

 純資産

  資本金・・・  500万

  剰余金・・・-  35万


総資産・・・・・1,020万

 流動資産

  現金・・・・  220万

  有価証券・・  300万

  棚卸資産・・  150万

 固定資産

  土地・・・・  100万

  建物・・・・  250万


ここで重要なのは、剰余金の項目だ。

この剰余金がマイナスの間は、どれだけ会社の保有する現金等が有っても、会社が儲かっているとは言えない。

ラゼリア油脂は、現在は剰余金がマイナスでも、油の価格が暴落しない限り、来年中には剰余金がプラスになる。


しかし、ラゼリアファームは一次産業なので、ラゼリア油脂やドンカッター商会に収穫物を売却しても、大したお金にはならない。

来年の推定売却益は300万位が精々だと思っている。

これから、人件費を差し引いかないといけないので、債務超過な状況では、現状維持で早く借入金を精算するか、領有化するかしかない。

だが、借入金は領政府とラゼリア油脂から、つまりは、あたしからすれば身内からの借金なので、有る時払いの催促無し。

という事も出来る。

但し、サラが煩いだろうが・・・


さて、こうして、二社を貸借対照表で簡単に纏めてみて、問題点やこれからの指針も見えて来た。


(ラゼリアファームの赤字分は、ラゼリア油脂の黒字分で穴埋めするしか無いかなぁ・・・まぁ、ラゼリアファームを一次領有化しないで済む事が分かっただけでも収穫ね)





外を見ると、夜の(とばり)が降りてきたのが分かる。

誰もいないから、どうやら今日の分の訓練は終わった様だ。


「リル様。食事のご用意が出来ましたわ」

そうメアラから声が掛かる。


「リル様。今日の分の修練が終わりました」

タレザも帰って来た様だ。


あたしは、メアラの夕食のメニューが何か考えながら、これからの事に思いを馳せるのであった。



ベリアル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字など有りましたらよろしくお願いします・・・もう少し何とかならない?」

リル「そうねぇ、五日も掛けるのなら、倍とはいかないまでも、五千文字位は無いと、しかも、今回は一部を貸借対照表で誤魔化していると、言えなくもないわね」

常世「どうもねぇ・・・この章の着地点が見えないんだけど・・・」

ベリアル「またぁ、この人は・・・それより例のヤツは?」

常世「アレね」


参考文献


遠山柾雄著『砂漠緑化への挑戦』読売新聞社、1989年



常世「以上になります。ちなみに調べてみたら、絶版らしいです。今になって、新品が欲しいんだけど・・・こんな事になるから、高校の時に買っておけばよかった」

ベリアル「後の後悔先立たず・・・新品じゃないとダメなら、図書館の借りて我慢するしか無いね」

常世  orz

ベリアル「それでは、今後とも、新米辺境領主リルーエットの、異世界奮闘記をよろしくお願いします・・・ねぇ、早く略称考えようよ。長い」

常世「出来るだけ早目にね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ