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辺境領リネルメ興隆記  作者: 常世神命
五章 農政改革
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五話 砂漠を開発しました4

ベリアル「いつもありがとうございます。ハイ、ブクマしている方で、直接この話に来た方は、前話が概読になっていないと思いますが、本編は一切有りませんので、前書き&後書きが見たい。という方以外はスルーして結構です」

常世「それで、今回は予約投稿の形をとっています」

ベリアル「前書きが一寸短いけど、五話、砂漠を開発しました4をどうぞ」

砂漠の農地化を始めて一ヶ月と少し過ぎた。


塩類集積が起きていた農地の方は、順調に作物が育っている。


畝の谷間に、油ヤシの苗木と、ドルトンに調達して貰った柑橘類の苗木を列で交互に植えている。

どちらも苗木と言っても、上手く栽培出来れば、今年にでも実を付ける事が出来るくらいの大きさだ。

油ヤシが銀貨一枚、柑橘類が銀貨三枚、手始めにそれ

ぞれ20本ずつ調達して貰った。


金額にすると80万ズゼ掛かり、それを日本円に直すと約1,600万円となる上に、この後更に80本ずつの苗木を二ヶ月以内に植えるので、計画上の総額は400万ズゼ掛かる事になる。

これには、植樹する為の人件費などの経費は含まれていないので、実際はもっと掛かる事になる。

あたしが辺境伯を継承した年の領政府の予算が600万ズゼだから、結構いい金額というのが分かるかと思う。

当然、今年の領政府の予算はそれとは違う。


今年の歳入は五億ズゼを超え、領内の開発に使用する事の出来る予算は、二億七千万ズゼ余り有るので、金貨に換算すると270枚、金貨に直した瞬間ショボい感じにはなるが、王国内のほかの辺境領クラスの歳入は、多くても二億ズゼどころか、精々一億ズゼを少し超える程度なので、リネルメ辺境領の歳入がいかに多いかというのが分かるかと思う。


しかし、このラゼリア砂漠の農地化に関して、領政府から出る予算は、びた一文出ない。

なぜなら、連結街道の概算は間に合ったが、砂漠の農地化為の概算は、領政府の予算編成に間に合わなかったからだ。


サラには概算要求を出したのだが「もう予算は組終わってしまいましたので、それは来年に回してください」と、鰾膠(にべ)も無く突っぱねられてしまった。


400万とも、500万ともいうお金は、どこから出たの。

という話しになるが、それは、あたしの今年分の役員報酬(約200万ズゼ)の前借りと、屋敷の調度品の売却金(約250万ズゼ)からなる。


これを元手に、ラゼリアファームを立ち上げて、砂漠の農地化を行っている。


(さて、それでも明らかに、100万くらい足りないわよねぇ・・・金貨一枚じゃん。とはいっても、無い袖は振れないのよ・・・銀行が有れば、足りない分を融資して貰って・・・という話しもあるけど、銀行自体まだ存在して無いし・・・そう言えば、小銅貨以上の硬貨の鋳造は御法度だけど、銑貨の鋳造の権利は有るから、作れない事も無いかなぁ?・・・今度、ベリアルと相談するか・・・・・・ああ!そうだ、ホント足りない資金、どうしたものかしら・・・)





あたしが、足りない資金に頭を悩ませているうちに、更に一ヶ月が過ぎ、砂漠の農地化計画の進捗具合はというと、塩類集積の方は、粗方、塩類集積が起きていた農地に植え終わり、今度はその周辺を、同様に農地化していく段階になった。

ピートモスとグラベルマルチを併用した方は、当初より作付け面積が減るが、毎日少しずつ増やしている。


(・・・困ったわねぇ。とうとう資金が百万を切ったわ。今月末はなんとかなるけど、来月末の決済の時には間違いなく足りなくなるわ・・・何か金策をしないといけないわねぇ・・・)


あたしは、いくら考えても妙案が浮かばないので、メアラに相談する事にした。


「メアラ。ちょっと相談したい事があるのだけどいいかしら?」


あたしがそう言うと、少し思案するも、すぐに返事を返した。

「ひょっとして、資金繰りの事でしょうか?」


(ハァ。流石というべきか・・・あたしの顔に出ていた・・・んな訳無いわよねぇ・・・でも、最近、渋い顔をしていたのは確かよねぇ・・・ひょっとして、独り言を呟いていたのかも・・・)


「・・・そうなのよ。ちょっと開発の資金が足りなくてねぇ・・・普通に農業するのに比べ、砂漠の農地化は想像以上にお金が掛かるわ。地球みたいに、水道設備やスプリンクラーに、バック・ホウみたいな重機が無いから、余計に人件費が掛かるわね。まぁ今のところ、順調ではあるけれど、収穫量まで予定通りとは言えないわ。だから、どこからかお金を借りて・・・というやり方は、今年の収穫後に租税作物が、直ぐに現金化出来ない以上、借入金がこげ付く可能性が有るから出来ないわ。だからと言っても、決済は待ってはくれないし・・・」


「そうでしたか。それでしたら、この手紙をティアちゃんに、サラ女史まで持って行って貰いましょう」

メアラはそう言うと、一通の手紙をあたしに渡す。


「・・・ひょっとしてこれに・・・」


「ハイ、この手紙には、リルーエット様のご懸念を解消しうる内容が書かれています。それを、今日来るティアちゃんに渡して貰えばよろしいかと思います」


「・・・ティアが今日来る事まで・・・流石ねぇ・・・そんなに、顔に出てた?」


「普通なら分からないですわ。本人ですら気付いて無い様な事ですから。まぁ、それとは別に、私自身の情報網という物もございます」


あたしとメアラが、そんな話しをしていると、ティアが空からやって来た。


「リルぅ。頼まれてたやつ持って来たよ」

ティアは着地し、あたしの所に寄って来る。


「ありがとうティア。木材とか大きい物は家の脇に、ほかはあそこの倉庫にお願い出来るかしら?」


「ラジャーだよ。じゃあ早速出すね」

ティアはそう言うと、拠点にしている家の東側に、アイテムボックスから木材を何本も出す。


木材は予め加工されており、あとは現地で組み立てれば、立派な建物になる。

予定としては、ラゼリアファームの社屋兼あたしの拠点にするつもりだ。

いつまでも、メアラの家に厄介になるわけにはいかない。

メアラに話せば、遠慮は無用とばかりに、場所を提供し続けてくれるだろうが、あたし自身が我慢出来ない。

詰まる所、プライベートスペースが欲しいのだ。

それでも、メアラには全て筒抜けている感じは拭えないが・・・





ティアに手紙を渡して二、三日が過ぎた頃、ティアが慌ててやって来た。


「リルぅ。サラさんからお金を預かって来たよ」


(!?お金?・・・あの手紙には、そういった事が書いてあったのね・・・)


「ハイ、250万ズゼ持って来たよ」

ティアは、急いであたしに寄って来て、アイテムボックスから、銀貨ばかり250枚、つまり250万ズゼのお金を取り出した。

これだけのお金が有れば、上手く遣り繰り出来れば、あと三ヶ月は事業が回せる。

その頃になれば、連結街道も完成し、油ヤシの加工工場の建設資材をザールラントから直接運んで来る事が出来る。

ザールラントには、ラゼリアに建設する工場とは別に、油ヤシから搾った油から石鹸を製造する工場を建設している。

ラゼリアでは、油ヤシから油を搾る、ラゼリア油脂を

ザールラントでは、その油を石鹸に加工する、ザールラント油脂を

それぞれ立ち上げる予定だ。


「サラさんがねぇ「ほぅ、この方法なら領政府から資金が融通出来ますねぇ・・・リル様がこの方法を考えたのでは無いのでしょ?それなら、概算要求なんて出しませんもの。新たな方が、お仲間になった様でなにより。私としても助かります・・・ああ!ティアさん。あと一応【融資】という形ですので、くれぐれもその辺はしっかり伝えて於いて下さいね」って言ってたよ」

ティアは、サラのモノマネをして、サラからの伝言を伝えてくれた・・・・・・に、似てるわよティア。


その後、運営資金として、200万ズゼが追加され、連結街道も完成し、手始めにラゼリア油脂を立ち上げ、工場を操業させて、油ヤシから油を搾り、しばらくの間、その油の殆どはドンカッター商会へ売却され、その売却金が砂漠の農地化に役立つ事になる。


ちなみに、ドンカッター商会に売却しなかった分はというと、リネルメ旅客の隣に、ラゼリア油脂の販売店を設置して、そこで販売する事になる。


それまで食用油は、その量が少なかった為、とても高価であったが、ラゼリア油脂が操業を開始する事に因り、食用油の価格が以前の三割程になり、庶民にも使える様な物になった。






常世「ここまでありがとうございます。誤字、脱字など有りましたらよろしくお願いします・・・時間との勝負だよ」

ベリアル「今日は忙しないなぁ。一週間以上開いたのにツッコメない」

常世「ゴメンねぇ、ベリアル。アチキも書きたい事あったけど、次に持ち越しだよ」

ベリアル「なんで、21時にしたの」

常世「・・・なんとなく」

ベリアル「・・・兎に角時間無いから締めるね。それでは、今後とも、新米領主の奮闘記をよろしくお願いします」

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